- Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
- / ISBN・EAN: 9784101121123
感想・レビュー・書評
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火星人を自称する謎の男と、訪問を受けた脚本家との会話で進んでいく。
自称火星人の扱う不思議な論理で、訪問を受けた脚本家と一緒に読者もどんどんと錯乱。
ページ数こそ少ないが、粘っこい読後感がいつまでも残る傑作。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
今でこそこのような「現実と虚構が混乱してしまう」テーマの話しは数多く作られてきたが、当時はかなり斬新だったのかもしれない。主人公の不安の高まりが徐々に伝わってくる。
安部公房の作品はかなり久しぶりに読んだ。本作品もその独特な不条理の世界観が面白い。どの作品も、日常の裏側の、しかしかなりかけ離れた世界にいつの間にか引きずりこまれ、そこに精神的に一体化されてしまうような話が多い。トリップ感覚とも違うこんな世界をよく描けるものだと改めて感じた作品。
登場人物と場面が限定されているので、映像よりも舞台劇に向いてそうだ。目の前でこの緊張感を表現してくれる役者達を観てみたいものだ。 -
初めはいたって正常だったが、徐々にねじれていって、最後は何が正しいのかわからない。頭が混乱します。まさしく天才的でした。
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作中の論理や、概念の捉え方が非常に興味深かった。
安部公房の他の作品も読んでみよう。 -
請求記号 913.6-ABE(上野文庫)
https://opac.iuhw.ac.jp/Otawara/opac/Holding_list?rgtn=1M024794
故・安部公房氏の不条理な小説。ラジオ脚本家のもとに訪れた火星人だと名乗る男との会話を通して自らの存在が問われていく怖さが絶品です。 -
「人間そっくり」(安部公房)を読んだ。
もうかれこれ45年くらい前、たぶんまだ中学生だった頃に読んで以来だと思う。
「壁」は何回も読んでいるのに、こっちは(何が気に入らなかったのか)あれ以来一度も読み返してないんだな。
改めて読んでみると『こんなに面白かったのか』と思うんだけど。 -
ナショナリズムやアイデンティティの危うさが描き出されている。
後半への畳み掛けや、物語が核心に狭っていくスリルはたまらないものがある。
直接的には非日常を描きつつも、それは必ず日常の延長線にあるということを常に意識してたのではないかと思う。
だからこそ突飛な設定であっても、時代を経ようと、その本質が饐えるようなことはないのではないか。
星新一とか映画のインセプションが好きな人にもとてもおすすめ。読みやすい部類だろう。 -
オチがなかなかおもしろかった。
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狂気と正気の境目がどろどろと溶けていく感じ。不気味でうすら寒い。
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奇妙で面白い。
人間なのか人間そっくりな火星人なのか嘘なのか本当なのか気違いなのか正常なのか、男の話し方がなんだか粘着質で歯がゆくてもどかしくて抜け出したいのに抜け出せない!振り回される-!そのいやーな奇妙な時間に知らぬ間に引きずりこまれてたんだなあ...。なんともおそろしい!