赤ひげ診療譚 (新潮文庫)

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  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (384ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101134062

感想・レビュー・書評

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  • 何を今更という感じもありますが、突如周五郎を読みたくなって、久しぶりの再読です。
    周五郎さんの円熟期の作品であり、かつ映画やテレビ番組にもなった有名な作品です。
    やはり周五郎です。全体に暗いトーンながら、その底に暖かさを感じさせる物語です。
    けれど、今回読み直してみて、やや説教臭さが気になりました。多くは赤ひげの独言としてつぶやかれるのですが.
    ”あえて言わせている”という感じなのです。
    評価が低くなるのは再読のせいかもしれません。また、周五郎=高得点という私の図式の中で、この作品に少し違和感を覚えたせいかもしれません

  • 映画も原作に劣らず、名作だと思う。市井の人々の貧しい暮らしから溢れるセリフは胸にせまる。

  • 17年秋にBSプレミアムで船越英一郎、中村蒼でドラマ化。赤ひげって話は前から知ってたけど、読んだのは初めてで、赤ひげが主役と云うより登の成長物語って初めて知った。

  • 『赤ひげ2』
    NHK BSプレミアム/毎週金曜放送
    2019年11月1日から
    ――――――――――
    『赤ひげ』
    NHK BSプレミアム/毎週金曜放送
    2017年11月3日から

  • ・あらすじ
    幕府の御番役というエリートコースを歩むべく長崎遊学から戻った青年が貧者を相手に治療を施す小石川養生所の医師「赤ひげ」に呼び出され、見習い勤務を命ぜられる。理想とかけ離れた現実に、青年は激しく反発するが、赤ひげの真の医師としての信念、最下層の悲惨な境遇の人々との触れ合いを通し、青年は医師として、一人の人間して大きく成長してゆく。
    ・感想
    話の骨子としてはヒューマンドラマにありがちな設定とも言えるが、読み終えた後に本が付箋だらけになり、自然と分厚くなっていた。ついつい拾いたくなる(使命感すら覚える)台詞がこの本にはたくさん詰まっているのだ。山本周五郎の作品には思わず身が震えるような台詞がぽろっと忍ばせてあるのは読者ならご存知の通りだが、とりわけこの本はそれが多い。本作の舞台が底の底とも言える最下層の人々にスポットライトが当ててあるからかもしれない。「赤ひげ」こと新出去定は、この世の最低最悪の場所とも言えるところで立派な医師をしている。助けたところで見返りはない。患者から感謝の言葉ではなく罵声を浴びることさえもある。パトロンである幕府は、下層の実情には目もくれず予算をカットし自分達に回す。くそったれ。そんなサイテーな世界にいながら赤ひげが医師であり続けるのは何故だろう?それは彼が医師だからだと思う。病で苦しんでいる人がいれば助けるのが医師の使命である。単純である。単純だけれど実行に移すのは難儀である。とりわけこんな環境ならなおさらだ。それだけに胸を打つものが大きい。人間嫌いになりそうになるが人間は素晴らしいものだ、と山本周五郎の作品を読む度に感じる。聖人とも称せる赤ひげは余りに理想的な人物かもしれないが、自分が人間嫌いにならずに済んだ事に感謝したい。

  • じわじわと味わい深くなる

  • 幕府の御番医という栄達の道を歩むべく長崎遊学から戻った保本登は小石川養生所の“赤ひげ”とよばれる医長新出去定に呼び出され医員見習い勤務を命ぜられる。
    貧しく蒙昧な最下層の男女の中に埋もれる現実への幻滅から、登は尽く赤ひげに反抗するが、その一見乱暴な言動の底に脈打つ強靱な精神に次第に惹かれてゆく。
    傷ついた若き医生と師との魂のふれあいを描く。

  • 江戸時代に実際に存在し、病気の治療だけでなく貧困民の生活保護までカバーしようという志の下建てられた「小石川養生所」。そこで無骨ながらも、病気だけでなく社会悪や人の心の弱さにまで目を向けようと奮闘する赤ひげ先生の姿は、現代にも通じるところが多々あると思いました。

  • 主人公の心情の変化を引き起こす、赤ひげ先生の懐の深さ、人間らしさすてきでした。

    狂女の話と、三度目の正直の話が印象的でした。

    昭和34年の作品ということでしたが、社会的に恵まれない人々の心情や、奉仕の心など、古く感じることはありませんでした。

  • 切れ味の良い文章。

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著者プロフィール

山本周五郎(やまもと しゅうごろう)=1903年山梨県生まれ。1967年没。本名、清水三十六(しみず さとむ)。小学校卒業後、質店の山本周五郎商店に徒弟として住み込む(筆名はこれに由来)。雑誌記者などを経て、1926年「須磨寺付近」で文壇に登場。庶民の立場から武士の苦衷や市井人の哀感を描いた時代小説、歴史小説などを発表。1943年、『日本婦道記』が上半期の直木賞に推されたが受賞を固辞。『樅ノ木は残った』『赤ひげ診療譚』『青べか物語』など、とくに晩年多くの傑作を発表し、高く評価された。 

解説:新船海三郎(しんふね かいさぶろう)=1947年生まれ。日本民主主義文学会会員、日本文芸家協会会員。著書に『歴史の道程と文学』『史観と文学のあいだ』『作家への飛躍』『藤澤周平 志たかく情あつく』『不同調の音色 安岡章太郎私論』『戦争は殺すことから始まった 日本文学と加害の諸相』『日々是好読』、インタビュー集『わが文学の原風景』など。

「2023年 『山本周五郎 ユーモア小説集』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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