チェーザレ・ボルジアあるいは優雅なる冷酷 (新潮文庫)

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  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (434ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101181028

感想・レビュー・書評

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  • 36年前に買ってずっと積読状態だった文庫を読んだ。
    どうして塩野がボリジアに深い関心を持っているのかはっきりとは理解できない。その回答を得るために次はマキャベッリの君主論を読むつもり。これも19年前に買ったもの。

  • チェーザレボルジアのことはこの本で初めて知りました。
    優雅なる冷酷そのもので、第一部第二部と読んで、彼を好きにはなりませんでした。主役ではない人物に魅力的な人がたくさんいました。ほとんどの人たちが彼を恐れていました。

    半分位読んだところで不思議な老人が登場。彼を恐れないでふらっと訪れる。
    なんとレオナルドダヴィンチ!驚きました!

    第三部でチェーザレは父の死去自身の病気をきっかけに坂道を転がり落ちます。憎たらしい主人公であったのに、何故かとてもかわいそうに思ってしまいました。
    ここに来て彼を信頼している人たちがたくさんいることを知りました。

    たとえばもし彼が平清盛だったら頼朝も義経も殺していたでしょう。現代では我侭な独裁者は不要ですが、人類の歴史の中ではこういった冷血な人の存在は不可欠だったのかもしれません。

  • 面白すぎて二回読んでしまった。チェーザレがイタリア統一してたら面白かっただろうな。強引すぎた?性急すぎた?違う人が書いたチェーザレの話も読みたくなった。
    小説なのに、作者の想像より当時の文献、君主論の記述や書簡のやり取りを軸に物語が進んでる行くので淡々として読みやすい。ただ、地名が人名が突然で地図にもなくて「誰やねん」「どこやねん」であった。
    物語全部を通して、作者のチェーザレ愛がひしひしと感じられて、そこも私としては大満足だった。

  • 読了。

    チェーザレ・ボルジアあるいは優雅なる冷酷 / 塩野七生

    チェザーレだと思ってました。すいませんでした。

    チェーザレってカエサルのイタリア表記なんですね。
    有名人で名前は知っておりましたが何をした人かは他の本に出てくる程度で、イケメンの男前でイタリアの覇権を取ろうとする野心家程度にはね。
    ボルジアの父の法王アレクサンデル六世を背景に枢機卿になったが地位を捨て(父の背景は維持しながら)、周辺国を統一していくってな具合ですね。
    当時ですから伸るか反るか、裏切りなんて当たり前、その中を天才的な統制と政治の才能でのし上がります。
    でも失敗もしますし選択も間違えます。人間だもの。

    晩年のチェーザレ、死まで網羅しております。

    塩野女史なので歴史書と小説が混ざってるので読みやすいといえば読みやすいです。あまりにも小説っぽすぎて合ってるのこれって思いますけどね。

    塩野女史のこの話はルネッサンス著作集となってるみたいでして、このチェーザレは第3巻、
    1巻の「ルネッサンスとは何であったのか」は既読。2巻の「ルネッサンスの女たち」は見てないような。4~6は海の都の物語(既読)、7巻が神の代理人これも読んでないですね。たぶん。

  • 『ローマ人の物語』が面白かったのでこちらも手に取ってみた。私的タイトルがかっこいい本NO.1。それでいて読了後にはタイトルにしみじみ納得させられる。

    それにしても塩野七生のこの文体はなんだろう。解説の沢木耕太郎氏の言を引用すると「歴史でもなく、伝記でもなく、小説でもなく、しかし同時にそのすべてでもある、という塩野七生に独特のスタイルの文章」である。この文章はかなり好みが分かれるだろうな。私も最初は受け付けなかったけれど、読み進めるうちになんだか癖になる。
    ちなみにこの沢木耕太郎の解説はかなりいいので是非読んでほしい。何故塩野七生がチェーザレ・ボルジアを描こうとしたのかについて考察しているのだが、これを読むことによって書き手塩野七生の視点が垣間見ることができ、この不思議な文体で書かれた透明で価値中立的な物語に入り込む一助となるからだ。

    この物語の主人公であるチェーザレ・ボルジアのことは好きになれなかった。しかし「優雅なる冷酷」が没落し、ついには優雅さを失い散ってしまう様は、見たくなかった。とても胸が痛くなった。

  • 「チェーザレ・ボルジア」と聞いて「マキャヴェリ」が連想され、「君主論」とつながる流れを理解しているが、その君主論は「上に立つものは恐れられなければならない」など、かなり極論な覇道を描いていると聞いていたことから、そのモデルのチェーザレ・ボルジアも体現をしているような人だろうと思っていた。

    本書においても、父親が法王であることや家族も利用し、破竹の勢いでイタリア統一を目指していく。
    そして更に当時「イタリア」という大局から物事を捉えている人がいなかったことも分かる(言葉がなかった)

    そうした人間の前では、数々の出来事は些事に思われる。
    そして政治という観点からGive&Take、見栄えという観点を非常にうまく活用しているように感じた。

  • 短くも激しい生涯に魅せられた。栄光と没落、そして壮絶な死はあまりにもドラマチック。その壮絶な死も悲壮感な感情を抱く事もなく、なぜか清々しく感じた。野心家で冷酷で残酷なこの悪い男に男女関係なく魅力に感じるはず。

  • 歴史上の人物なので、最後はわかっている、志なかばで倒れることがわかっているが、先がどうなるんだろうと、気になって読み進めてしまった。冷酷?非情?ではある。自分の障害になると思えば、情け容赦なく排除していくから。だが、カリスマ性がある。マキャヴェッリが、優しく無能な支配者より、よほど、真の意味で民衆に優しいのだという意味がわかる。
    読みながら、惣領冬実の漫画の絵で頭の中で再生されるので、より一層、ひいきしてしまう。後ろ盾である父法王がマラリヤで突然病没しなかったら?せめて、その時にチェーザレも病にかからず、形成を立て直す余地だけでもあったら、もしを考えると惜しくてならない。進む先が観たかった。

  • 2017.01.15読了。
    今年1冊目。

    岩田書店一万円選書の本。

    塩野七生さんの本は初めて。

    全く興味のない分野で、しかも歴史。
    登場人物も多く、地名もちゃんと理解できてない状態だったのでかなり読みづらかったし、もちろんチェーザレのことは全く知らなかったんだけど、面白かった。
    チェーザレに惚れた。

    《チェーザレは行動の天才。
    自己の感覚に合わないものは、そして自己が必要としないものは絶対に受け入れない。
    この自己を絶対視する精神は完全な自由に通ずる。
    この精神をその極限で維持し、しかも、積極的にそれを生きていくためには、強烈な意志の力を持たねばならない。》

    塩野さんの描くチェーザレは、残酷な面もあるけどそれ以上に魅力的で。

    もっといろいろ理解するためにもヨーロッパの歴史に関する本を読んでみたくなった。

  • 今回、再読です。(初読みは20年くらい前)
    ルネサンス期、初めてイタリア統一の野望をいだいた一人の若者-父である法王アレッサンドロ六世の教会勢力を背景に、弟妹を利用し、妻方の親族フランス王ルイ十二世の全面的援助を受け、自分の王国を創立しようとする。
    熟練した戦略家たちもかなわなかった彼の“優雅なる冷酷”とは。<毒を盛る男>として歴史に名を残したマキャヴェリズムの体現者、チェーザレ・ボルジアの生涯。
    (本著裏表紙あらすじより)

    著者の作品で初めて読んだ本でした。二十年くらい前、職場で一緒だった方に薦められた本の一つでした。
    初めて読んだ時も今回と同じように若干時間がかかりましたが、それでも興味深く読んだことを覚えています。
    今回、著者の大作「ローマ人の物語」を読んだ後だったので、最初に読んだ時よりも妙に身近に感じたのには我ながら少々驚きました。
    著者の他のイタリア作品を読んでみたくなりました。

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