ローマ人の物語 (19) 悪名高き皇帝たち(3) (新潮文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101181691

感想・レビュー・書評

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  • 「統治の正当性とは、統治される側に、統治されることを納得させる理由である。
    直接選挙ならば得票数、間接選挙ならば、直接選挙で選ばれた有権者の代理人を集めた国会での指名投票で、大統領や首相は統治の正当性を獲得する。

    この種の選挙制度はなかった帝政ローマでも、皇帝になるには元老院と市民の承認が必要とされていたということは、帝政になってからも、統治の正当性は常に重要視されていたということである。

    その理由は実に簡単明瞭で、いかなる政体と言えども、統治される側のコンセンサスがなければ統治は不可能だからである。
    この意味でのコンセンサスは、「納得」であったと考えてよいだろう」

    「アウグストゥスが血の継承に執着したのは、それこそが政局の安定につながると考えたからである。

    現職皇帝の殺害というショッキングな出来事の直後であったにもかかわらず、クラウディウスの即位が意外なほどスムーズに実現したのも、ユリウス一門には属していなくても、クラウディイウスには、アクグストゥスの血が流れているという理由によった。」(21項)

    RT:天皇制
    いやむしろ、ここの記述は徳川将軍家か??

    天皇制のことを思ったのは、いまの日本の天皇制の状況(その状況を生み出した背景)と、ローマの帝政初期、ユリウス=クラウディウス朝の状況とが似ていると思って。

    いま、この時代に至って、皇室が後継者難にあえぐことになった背景には、
    明治時代、皇位継承権を直系男子に限ったこと、しかも同時に、天皇家も一夫一婦制を規範としたことがあります。

    ふっつうに考えて、一人の男と一人の女から、そんな大量の男子が生まれてくることはないので、
    天皇のただ一人の妻の息子に皇位継承権を限定したら、いずれ後継者難に陥るのは当然のことなのです。

    ただ、明治以前には、一夫一婦制でなかったこと、それに明治天皇本人には複数名男子がいたことから、そうしたことを考えなかったのではないかと。


    アウグストゥスが、皇帝位における自分の血の継承に拘りながら、同時に、姦通罪法、離婚手続きを困難にする法律を成立させたことは、状況として明治天皇とよく似ている気がして。

    そして、その後2~4世代であっという間に後継者不足になるというのも。


    「書物から得た知識も、現実との突き合せを経て、はじめて認識になりうる。
    認識とは、哲学的に言えば、理知によって事物の窮極をきわめることだが、普通に言えば、何が重要か、を理解することでもある。」(84項)

    自戒。

  • 非常に面白い。仕方なく就任したクラウディウスのお話。仕方なくの割にはしっかりとした仕事をするのだけど、妻にあまり手をかけないため増徴し、収集つかなくなってしまってきてる。なんかうちみたいだ。
    ユダヤ人は2000年後の今同様に相変わらずもめている。彼らは2000年も同じような話しをしているのか??

    クラウディウスの歴史的な演説。これを聞いて心を熱くしない人間がいるだろうか。人種差別、宗教問題などは世界がこのクラウディウスの演説を読んでいれば今の3割くらいは減少するのではないかな。

  • 2005/10/20読了

  • 有名なネロだけではないのか。

  • 2009/05/14 読了

  • アウグストすに続く、ティベリウス、カリグラ、クラウディウス、ネロの皇帝について
    書かれた本。

    天才の後を受けてどのように国を守っていくか。
    現代の経営にも通じる題材にあふれている。

  • 2008/10/19

  • ローマ帝政期において、悪帝と呼ばれた皇帝は何人もいる。しかし、彼らの評判と行った政治の中身は必ずしも一致しない。ユリウス=クラウディウス朝の皇帝に限っても、若くして皇帝になったがために善政を行うだけの器量を備えていなかったとみられるカリグラとネロはさておき、ティベリウスとクラウディウスは、その善政にも関わらず、ローマ市民の人気は低かった。本書の主人公であるクラウディウスの場合は、悪妻の存在と解放奴隷の登用が致命的であった。尤も、歴史家としての人生が長かった彼は、頼れる支持基盤を欠いていたために、解放奴隷を登用せざるを得なかったという話もあるが……

  • 浪費皇帝カリグラのあとをついだクラディウスの治世。盛り上がりにかける地味な皇帝。

  • 071021

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