- Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
- / ISBN・EAN: 9784101181691
感想・レビュー・書評
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5代クラウディウス帝についての19巻。「歴史家皇帝」の名に違わず、善政を踏襲し悪政を退け、地味で几帳面、かつ純粋。ただ皇帝の器ではなかったということが、人間味あつく語られています。
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皇帝が暗殺されたにしては、社会にさしたる混乱もなかったところを見るに、カリグラが民衆に受け入れられたのはほんの一瞬のことであったのだろう。
もしくは、50歳にして皇帝となったクラウディウスの治世が的確であったと見るべきか。
悪名高き皇帝達の治世に暴君と呼ばれるほどの悪虐が見られたわけではないが、誰も初代皇帝のように八方を上手くおさめることが出来ず、皆どこかしらに弱点を抱えた人間ばかりであった。
ティベリウスは民の人気を無視して引きこもり、カリグラは人気しか考えずに散財し、続くクラウディウスは人の気持ちを考えられない行動で破滅することとなった。
歴史家として長い半生を過ごしてきたおかげか、カリグラが残した山積みの問題を一つ一つ解決することには成功した。
皇帝にやりたい放題を許した国家反逆罪の濫用の禁止、議員に多大な出費をせまる市民集会選挙の中止、人心掌握のための興行開催の奨励、財政破綻で中止していたインフラ整備の再開、売り上げ税の復活と細分化しすぎた諸税の全廃。
拡大を続けていたローマ帝国の経済力向上もあいまって、税率を上げないまま失地回復を達成し、さらには北アフリカ、ユダヤ、ブリタニアなどの外交もなんとかやり過ごすことが出来たクラウディウスであったが、嫁だけはなんとすることも出来ず、なすがままにさせた結果、身を滅ぼすことになる。
三番目の妻メッサリーナは、現代にも淫奔と放蕩の代名詞として名が残る。夫の凱旋式に無理矢理参加し、日々遊びまわり、他人の資産を得るために国家反逆罪までも利用して死に追い込むなど、わかりやすい派手な生活で醜聞を広めたが、そこまでしても政務に忙しい皇帝に咎められることはなかった。
それでもなお気を引きたかったのか、際限がわからなくなったのか。皇帝の妻でありながら愛人と重婚するまで果たして、やっと夫が周囲に迫られて重い腰をあげる事となったが、その結果は当人だけが考えもしなかったであろう、23歳という若さでの死であった。
四番目の妻アグリッピーナは、そんな妻の横暴にとことん反応しない皇帝に目をつけたのか。悪妻の果たすべきは夜遊びごときではないと言わんばかりに冷徹に事を運び、夫の暗殺に成功し、実子を皇帝に据えることに成功する。
歴史家一辺倒の人生から50歳になって皇帝として担ぎ出され、63歳で殺されたクラウディウスの成したことは多くはない。だが、敵対したガリアの民族を元老院に迎える開国路線、平和の為の国境線の維持、災害に備えたインフラ整備と、その政策はローマ皇帝が培ってきた方針を維持する真っ当な内容であった。
だが、どうも皇帝という職に求められるのは真っ当な政策の実行だけではないようだ。
かつての皇帝が神君と讃えられているように、未来の王族がそれしか持っていなかったように、崇め奉られるほどの、類い稀な賛美と敬意を得なければ、信任を与えられないでは済まされず、殺される。
ならば、さらなる悪名が現代にも残るネロとは一体どんな皇帝であったのか。次巻に続く。 -
「ー」
悪妻は恐ろしい。 -
相変わらず文章は下手くそだが、その話し言葉風な記述にもだいぶ慣れてきた気がする。
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相変わらず面白い。帝政が続いてきたことで、他の国でも見られる事柄が増えてきた。妻の影響、跡取り争い、取り巻きなど。全体的に作者のローマ愛が感じられるので読んでいて楽しい。
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50歳まで歴史家として生きてきたクラウディウスは、突然のカリグラの死により、帝位を継承することになった。カリグラは、わずか4年の在位の間に、健全だった財政と外政をことごとく破綻させていた。クラウディウスはまず、地におちていた帝政への人々の信頼を回復することから始め、問題を着実に解決していく。しかしこのクラウディウスには”悪妻”という最大の弱点があった。
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確かに優秀ではあるが、敬意を払われることの重要性を理解していなかったクラウディウス。アグリッピーナにいいようにされた挙句、死んだのちも市民に笑い者にされるとは。何とも残念。
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皇帝クラウディウス
在位、紀元41年1月24日~54年10月23日 -
学者(歴史)皇帝クラウディウスのお話。
50超えてから、急に皇帝なんていう立場になってしまった人。
先帝カリグラの悪政からの信頼回復。でも、最後は妻に毒殺。。。
読んでて思うのは、2000年前、本当にどんな景色に見えたんだろうということ。ローマだけではないけど。