- Amazon.co.jp ・本 (339ページ)
- / ISBN・EAN: 9784101234137
作品紹介・あらすじ
津村沙世子-とある地方の高校にやってきた、美しく謎めいた転校生。高校には十数年間にわたり、奇妙なゲームが受け継がれていた。三年に一度、サヨコと呼ばれる生徒が、見えざる手によって選ばれるのだ。そして今年は、「六番目のサヨコ」が誕生する年だった。学園生活、友情、恋愛。やがては失われる青春の輝きを美しい水晶に封じ込め、漆黒の恐怖で包みこんだ、伝説のデビュー作。
感想・レビュー・書評
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名取佐和子さんの『金曜日の本屋さん』で紹介されていて、一度読んでいた本ですが、全く覚えていなかったので、読みたくなり再読しました。
恩田陸さんのデビュー作で、ファンタジーノベル大賞候補作。
作者あとがきによると「こんなの二度と書けないと思うし、それでいて既に私らしいところは全部入っているなあと思う」そうです。
ジャンルでいったら、学園ホラーとでも言ったらいいのでしょうか。
学校のとある隠れた『行事』で3年に1回、その年の『サヨコ』が代々、決められ、指名された者は、自分が『サヨコ』であることを悟られることなく、年に一つのすべきことをやりとげることができれば、それがその年の『吉きしるし』でありその年の『サヨコ』は勝ったことになるそうです。
花宮雅子、唐沢由紀夫、関根秋らが三年生になった、その年は『六番目の小夜子』の年でした。
その年の『サヨコ』は既に決まっていましたが、神戸の名門高校からとびきりの美少女である津村沙世子が転校してきてから事件が始ります。
雅子と沙世子はすぐに親しくなり、由紀夫と秋で四人のグループになります。
秋は『サヨコ』の謎をつきとめようとして、沙世子にも疑いを持ちます。
そして、以前の『サヨコ』の一人で交通事故で亡くなった『サヨコ』の名前が津村沙世子であったことを知り、愕然とします。
怖かったです。
津村沙世子とは一体誰なのかと思いました。
一体、どんな謎が隠されているのか。
なぜ、沙世子には超能力があるのか。
悪人なのか、善人なのか。
事件の黒幕は誰なのか。
そもそも事件とは何なのか。
最後まで読むとおおよその謎は解けますが、整った、整合性のあるミステリーではなく、ホラー小説といったほうがいいかと思いました。
怖かったけど、面白かったです。 -
以前から気になってた作品。
著者のデビュー作。
デビュー作でこの作品は圧感です!
特に、学園祭のシーン。
どんどんのめり込みました。 -
表紙のなんとも言えない一種の不気味さに逆に興味がわいてどんな作品なのだろうかと読み始めました。舞台となる高校に伝わる奇妙な伝説。このこと自体に違和感を感じないのはどこの学校でもこの作品ほどではないにしても何らかの伝説、噂の類があるものだからでしょうか。しかし、この作品の伝説は生きたものであり、誰かがその生きた伝説を現在進行形で演じ続けているという事実が不気味さを深めていきます。ホラー小説一歩手前の世界観も描かれて一体どういう結末を迎えるのかハラハラさせられました。主人公それぞれの性格がよく描き分けられ、卒業を前にした学園生活も垣間見える中に描かれるホラーな世界。同じく卒業前の学園生活を描いた「夜のピクニック」では学園生活の中の一つの非日常としての歩行祭という伝統が作品の全てでしたが、この作品ではそれが学園祭を頂点にしたサヨコという伝説が全て。同じ学園生活を描いても見事に違う世界観を楽しませていただきました。
ただ、疑問点がそれなりに残った分、「夜のピクニック」の読後感とは随分差がありました。自分の想像力によってこうだろうとかなりの部分は落としこめたのですが沙世子が男子学生たちを河原に導いた部分だけは、どうしても納得感のいく答えが見つからず、この点モヤモヤが今も残っています。まあ何でもはっきりすれば良いものでもないでしょうし、これはこれで良いのかなぁとも思うことにします。
それにしても恩田さん、デビュー作から恩田さんなんだなぁと思いました。楽しませていただきました。 -
恩田陸さんの本は、実は「夜のピクニック」しか読んだことがなく、他の本も読みたいな…と思いつつもなかなか手が伸びずにいた。
表紙が印象的な(ドラマ化した際の津村沙世子役栗山千明さんを彷彿とさせる)文庫版の表紙。
地方の進学校の文化祭で行われる演劇発表。
そこに絡められた三年に一度割り当てられる謎の「サヨコ」の役割…。
登場する高校生たちが昭和の青春ドラマに出てきそうな雰囲気(漫画で言うと「生徒諸君!」ああ懐かしい)。
スピード感あるミステリーで、ぐいぐい読めたが、最後の方がちょっと「ん?ん?ん?」と苦しい気がしてしまった。
しかしこれがデビュー作だなんて、驚きだ。
やっぱりほかの作品も読まなくちゃ。
2021.2.17 -
毎日暑いので、ちょっと涼もうとホラー小説のつもりで読み始めた。
昔テレビ番組で放映されていた当時は興味があったのだが、結局見ることができず、記憶の彼方にあった一冊。ほぼ20年越しに全貌を知ることとなった。
恩田陸さんのデビュー作。割と自由な校風である地方の公立進学高校。学校祭やクラスの懇親会など、自分の高校時代を思い出し、とても懐かしくなった。なかでも、「うたごえ喫茶みぞぐち」が発案され、実行に移される場面は個人的に気に入っている。「マジかよ」という内容を本当に実現してしまう高校生の爆発力を感じ取った。
筆者の描く通り、同じ年代の少年少女をかき集めて、校舎という箱の中に閉じ込めて、同じ服装をさせて過ごさせるのは「異質」なことである。濃密な時間を一緒に過ごして楽しむからこそ、一気に受験モードに切り替え、大学入試を乗り切ることができるのだろう。異質な空間が生み出すゆえのエネルギーである。
そして、異質空間だからこそ生まれる「伝説」とか「怪談」がつきもの。それに便乗して楽しむ者もいれば、憑りつかれてしまい人生を棒に振る学生もいるわけである。こういった怪談を簡単に信じ込んで、気がおかしくなったり、暴挙に出てしまうような、ピュアで脆い心理、思い込んだら迷わず突き進むパワーといった、浮き沈みの激しい高校生たちの様子をしっかり描いている。
それにしても、高校生の頃の私は、秋や沙世子と比べて、序盤で存在が消されてしまうようなザコキャラだったなあと思う。個人的には最初に登場した「彼女」が気の毒で仕方ない。 -
これが恩田さんのデビュー作だとー⁉︎
凄い凄い凄い。めっちゃ読ませやがる。
高校生という一瞬の青春の煌めきと、一見無意味な「行事」が連綿と受け継がれていくという不気味さのギャップ!
謎めいた転校生は何者?という学校ならではのミステリー。中盤の文化祭のシーンは完全にホラー。
急に出てくる太字怖いよおお〜( ;∀;)
雅子と由紀夫の淡い恋愛、
沙世子と秋はくっつきそうでくっつかない。
あああ、この感じー!こうこうせいーーー!
時々、詩のような印象的な文章が挟まれる。
それがミステリアスで、的を得ていて、好き。
(特に「春の章」の書き出しが好き。最終章でも触れられており、意味がわかった時ゾクゾクする)
終わらせ方は結構強引。矛盾だらけだし、引っかかる人も多いのでは、と思う。
それを差し引いても、文化祭のシーンは本当に素晴らしい。
私は全ての謎が明らかにならなくても大丈夫なタイプなので、さほど気にならず◎
結局「サヨコ伝説」とは何だったのか…
謎のままで、ええんちゃう?
高校生って、そんな感じでしょ?…って事なのね。 -
3年に一度サヨコと呼ばれる生徒が選ばれる奇妙なゲームが受け継がれている学校。六番目のサヨコが誕生する年に一人の転校生がやってくることで動き出す学園生活の話。
沙世子が何者なのか気になって一気に読んでしまった。文化祭の朗読のシーンも、情景が目に浮かびめちゃくちゃ怖かったけど、引き込まれた。
文化祭へ向けてクラスみんなで一致団結する様子、勉強への焦りや人間関係に悩む生徒がいる様子など、社会人になった今はすべてが懐かしいなと思う。
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小学生時代、映像化された「六番目の小夜子」のタイトルはあまりに有名で、学校の怪談が流行った時期でもあり「怖い話」の代表、というイメージがずっとあった(自身は観たことはなかった)。映像のタイトルとして認知していたため、恩田陸さんのデビュー作と知ったのは最近の話。
「ワープロ」や「共通一次」など、時代を感じさせる単語がちらほら。「センター試験」ももうじきそうなってしまうのだろうけど…
途中まで面白く読んでいたのに、最近種明かしされてスッキリ終わるミステリーものばかり読んでいたためか、なかなかスッキリ終わらない本作に拍子抜けしてしまった。解説を読んで少しホゥと思ったけど、謎は読み返してみても謎のまま。。読むたびに違う解釈が出来そう。サヨコが表題だけ「小夜子」となっているのも気になる。
秋が一人で部室にいる時の「突然、一切のものが沈黙し、部屋中の空気がぶわっと音を立てて膨らんだ」という文章にはとても引き込まれた。矛盾した文章なのによく分かるし、自分が体感したように想像できる。
文化祭の呼びかけ芝居、面白そう。
コメントありがとうございます(*^^*)
息子さんとの思い出の本なのですね!
三度も読まれたとは!
私...
コメントありがとうございます(*^^*)
息子さんとの思い出の本なのですね!
三度も読まれたとは!
私も、二度めでしたが、年数がたちすぎていたせいか、最初に読んだときのことはまるきり忘れて読みました(^^;
記念に、再読されてレビューを書かれてみてはいかがですか。