【旧版】深夜特急2 ー マレー半島・シンガポール (新潮文庫)

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  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (223ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101235066

感想・レビュー・書評

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  • 1に続いて良書。昨今の旅好きSNSブログ語りバカの加工写真や感動長文なんかよりずっと異世界という存在とその広さが伝わる一冊。
    前回のものは香港でのカジノにおけるのめり込んだその心理描写の熱量に圧倒されたが、今回は全体を通して無思考で安穏とする楽しさがところどころにある程度で総じて言うとどこか違和感を覚え楽しさを感じきれていない様子。
    それなのに共感の度合い関係なくその瞬間の心境が熱を持って伝わってくる感じは流石沢木耕太郎の一言。
    時代も随分異なっているはずなのにその他のあらゆる写真や文章や動画やトークよりもタイという国のリアルを見た知った気分になってるんだけどマジで沢木耕太郎凄すぎじゃない…?

  • 相変わらず面白い。が、香港・マカオ編ほどテンションが上がらず、その辺りは筆者のテンションにバッチリつられているのかもしれない。しかし読みながらいろいろと考えてしまうような場面は多かったように感じた。

  • 香港・マカオを離れ、タイ、マレーシア、シンガポールと旅を続けるが、すでに香港で感じた異国の地への熱気が失われている。どこへ行っても香港と比べて、刺激が足りないとがっかりしている。
    この後インドへ向かうのだろうが、すでに旅の熟練者となってしまった作者は、どのようにこの旅の倦怠期を過ごすのだろうか?

  • 何年か前に読んだんだけども、ふとこの本でシンガポールがどのように描かれていたかが気になり読み直してみた。

    香港との対比もあり、バンコク、クアラルンプール、シンガポールがどこも刺激が足りないという描かれ方だった。
    バンコクは行ったことあるが、自分は刺激的だと思ったから、人それぞれだし、時代によるのかもしれんなあと凡庸な感想を抱いた。

    今更放浪の旅をする時間は自分にはないが、若いうちに放浪するのは悪くないなと思う。
    ただ、放浪したからって何か得られるとも限らないし、何にせよ目の前のことに懸命になることでしか道は開けないのだろうと思った。

  • 東南アジアを訪れた後に読んでよかった。田舎の東南アジア人に流れる時間は都会のそれと比べると時空が歪んだように見えるかもしれないほどのんびりしている。東南アジアに求める温もりは田舎にこそある。

  • 最初に訪れた香港の熱気が忘れられず、東南アジアに満たされなかったとのことだけど、にしても、やっぱりすごい行動力だと思った。
    だいたい、鈍行での旅なんて、怖いし辛いし(笑)
    でもやっぱり羨ましい。

  • 行く先々の人との交流が読んでて楽しかった。
    香港マカオ編とくらべてあっさりしてて高揚感が少ないなと思った。
    けど、それは主人公と同じく、海外はあれが当たり前みたいな感覚が自分にもあったからなんだろうな〜。
    それだけ自分も一緒に旅してる気持ちになれる本だということ。
    次も楽しみ。

  • 1巻(香港・マカオ編)を読んだときはあまりぐっと来なかったが、かえってこちらの方(特にタイ・マレーシアのあたり)には惹きこまれた。主人公の<私>は、香港の熱狂的なエネルギーの方が性に合って、一方のマレー半島やシンガポールには(香港の熱狂を探すあまり)今一つだったようだが、私にはその逆なのかもしれない。

    バンコクで初めに出会ってバスに乗せてくれ、ホテルまで辿り着かせてくれた少年に始まり、多くの少年少女たちや怪しげな人たちとのかかわりが細かく描写されている。<私>自身もあとでニュージーランドからの旅人に話していたとおり、「出会った人をあまり警戒しない」「心を開くことで出会える新しい世界がある」という心構えが大事なのだろう。「人」に対してだけでなく、屋台(マーケット)で売られているジュースとか、中華街にある宿とか、やはりせっかくなら飛び込んで試してみようよ、ということだろう。

    それにしても、描写力と観察力の高さで楽しませてくれる文章。「オープンマインド」はある種のスキルでもあると思った。今後東南アジアを旅することがあれば、収穫多き旅にするべく、このあたりの心がけを大切にしていこう。

  • 主人公が香港・マカオの興奮を求めて旅をするが、
    その興奮はタイ・マレーシア・シンガポールでは見つからない。
    故に、旅自体は淡々としているのだが、
    その中にやっぱり旅とは切っても切り離せない「お金」や「時間」について掘り下げられていた部分がとても興味深かった。

    旅先で出会う人を必要以上に警戒しない方がいい。その人が悪人で、君たちをだまそうと近づいてくる可能性がまったくないわけではないけれど、それを恐れて関わりを拒絶すると、新しい世界に入ったり、経験をしたりするチャンスを失ってしまいかねない

    わたしが旅中に何度も感じたこと。
    バランスが難しい。
    信じすぎて裏切られるとショックは大きいけど、疑った結果とっても誠実な相手だった場合は自分を恥じる気持が大きくなる。


    旅を続けるうちに失ったものが「日にち」「曜日」という感覚にも共感。


    あと、主人公の日本での職が明らかになり、少しずつ明らかになった旅している理由。
    私もあらゆる旅人に尋ねたことがあるが、はっきりとした理由が返ってきたことはほとんどない。
    私も訊かれたら、「旅が好きだから」とか論理的ではない回答しかできなかった。
    また、帰ったらどうするか?の問いにも答えられなかった。
    今でもわからないでいる。

    共感の二巻。

  • 初めて読んだ沢木耕太郎の作品は1979年朝日新聞連載の「テロルの決算」。社会党委員長浅沼医稲次郎を暗殺した右翼少年山口乙矢を描いたノンフィクション。彼とは同い年の私が30歳過ぎのとき。

    それまであまりノンフィクションを読んでいなかったと思うが新鮮だった。その次は同じく朝日新聞連載のボクサー、カシアス内藤を描いた「一瞬の夏」これも面白かった。その後エッセイ「チェーンスモーキング」など。最近では世界的なクライマー夫婦を描いた「凍」。これは凄かった。

    そんな彼の若い時の日本脱出自分探しのアジアからヨーロッパ貧乏旅行記。このシリーズは何巻かあるが、私が興味のあるベトナム、タイ周辺の巻。

    どの作品でも感じる彼独特の自己凝視ストイックな美点は好ましいが、若者の甘さ衒いを少し感じる。私が青年ではなく64歳だからだろうか?

    深夜特急」シリーズはバックパッカーの若者たちには人気らしい。
    そうだろうなと思う。私ももっと若いときに読めばハマったかも。

    しかし、この年で読んでも面白い旅行記であることには間違いない。

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著者プロフィール

1947年東京生まれ。横浜国立大学卒業。73年『若き実力者たち』で、ルポライターとしてデビュー。79年『テロルの決算』で「大宅壮一ノンフィクション賞」、82年『一瞬の夏』で「新田次郎文学賞」、85年『バーボン・ストリート』で「講談社エッセイ賞」を受賞する。86年から刊行する『深夜特急』3部作では、93年に「JTB紀行文学賞」を受賞する。2000年、初の書き下ろし長編小説『血の味』を刊行し、06年『凍』で「講談社ノンフィクション賞」、14年『キャパの十字架』で「司馬遼太郎賞」、23年『天路の旅人』で「読売文学賞」を受賞する。

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