【旧版】深夜特急5 ートルコ・ギリシャ・地中海 (新潮文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (247ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101235097

感想・レビュー・書評

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  • いよいよラスト

  • トルコに行きたくなる。

  • ついにヨーロッパに入り、終わりが急速に近づいたと感じる。読んでいてものさびしさがつのってくる。自分が何もしなくても何かが起こるインドのような場所から、アクションしなければ何も起こらない秩序だった場所へ。チャイの国からティーの国へ。見て感じる何もかもがおもしろかった旅の初めの頃のようにはいかず、何につけてもデジャブを感じてしまう自分を発見して沢木さんは、そういった地政学的変化だけでなく、旅自体にも青年期、壮年期、老年期の区別があると言う。

    「旅とは人生のようなものだ」という使い古された言い回しをするやつに対して以前は軽蔑の念を持っていた沢木さん本人が、長い旅を経て同じ感覚を発見する。使い古された言い回しは使い古されるだけあって、やはり世界の本当の一側面を捉えているのだろうなぁ。それを心から納得して言えているかどうかだけが、薄さ厚さを決めているように思う。

    深夜特急3で好奇心が摩耗することの危うさについて述べる箇所があった。旅の経過とともに失われていく新奇さ、というのを逆に人生に適用してみて、初めて老いるということの恐ろしさを理解できた気がする。やはり自分はこの種の老いには徹底的に抗って、生きたまま死を迎えたい。

  • こちらが本家なのだけど、自分としては珍夜特急の方が好き。また気が向いたら続きを読もうと思う。

  • 旅は、イランのテヘランからトルコのアンカラへ。そこで、この旅の唯一のミッションである、トルコ人女性へ知人から頼まれたパンフレットを渡し、イスタンブールへ移動。そしてギリシャに入り、著者が憧れていたペロポネソス半島を巡り、船でイタリアへ。

    旅も終盤に差し掛かり、ヨーロッパに入ったこともあってか、著者は旅が終わってしまうことや、新鮮な感動が薄れてきてしまったことへの感傷に浸る事が多くなる。

    ギリシャ篇では、スマホで画像検索しながら読んだので、著者の辿った遺跡を鮮明にイメージすることができました。

    「深夜特急」は、第一便、第二便(文庫本の第1巻~第4巻)が旅を終えて約10年後に、第三便(第5巻、第6巻)は約17年後に書かれたとのこと。そんなに長い時間が経っているのに、振り返って旅の詳細をこんなにビビッドに描けるものなのだろうか? 著者の記憶力や文章力に脱帽しました。

  • 旅が壮年期にさしかかる。旅行した異国の珍しさではなく、旅そのもの、旅人全般についての心持ちが円熟してきて面白い。
    ついに電話ボックスがあり、通勤の流れがある「都会」に出てきてしまった寂しさや空虚さというか、戸惑いのようなものが感じられる。

  • だんだん面白くなくなってきた。けど、旅をしている本人がそう思い始めている時期になったからそれがそのまま作品の緩みに反映しているのがまたいい。『絹と酒』の章は、深夜特急全編通しての核になっているのではないかと思った。

  • アジアとヨーロッパの分岐点、イスタンブール。
    トルコはこの頃から好日的で食事もよさそうだ。
    旅としてはアジア編が面白かったので、やや中だるみかも。
    地中海まで来てしまった長い旅は、そろそろゴールが近づき心境が変わってくる。
    旅を終えて17年後に書かれているのは驚いた。

  • 前作からかなり時間がかかってしまいました。

    旅の終盤ということで旅に違う空気が流れてきてます。

  • 本当に旅は人生に似ているのだ。どちらも何かを失うことなしに前に進むことはできない…
    旅は私に自信と鈍感さを与えてくれた。自分の命に対して次第に無関心になりつつあるのを感じていた。
    シルクロードを文字通りの道として、最も生き生きと歩んでいる者
    旅の途中で見たいもの、恐らくそれは自分自身
    定住と漂白、現代人は漂白に対する恐怖心がある。非生産的な行為にもかかわらず、文章を書くといった一点において生産性をもつ、マイナスが一挙にプラスに転化する、芭蕉は知っていた。作品上帰って来ないという文学作品としての漂泊は、多くの人のガス抜きのための装置として必要だ。

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著者プロフィール

1947年東京生まれ。横浜国立大学卒業。73年『若き実力者たち』で、ルポライターとしてデビュー。79年『テロルの決算』で「大宅壮一ノンフィクション賞」、82年『一瞬の夏』で「新田次郎文学賞」、85年『バーボン・ストリート』で「講談社エッセイ賞」を受賞する。86年から刊行する『深夜特急』3部作では、93年に「JTB紀行文学賞」を受賞する。2000年、初の書き下ろし長編小説『血の味』を刊行し、06年『凍』で「講談社ノンフィクション賞」、14年『キャパの十字架』で「司馬遼太郎賞」、23年『天路の旅人』で「読売文学賞」を受賞する。

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