ギリシア神話を知っていますか (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
3.55
  • (113)
  • (228)
  • (349)
  • (36)
  • (6)
本棚登録 : 2408
感想 : 203
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (241ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101255040

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 中学生の時、教室の本棚に置いてあったのを読んだのが最初。何だかエッチなな話だな、と感じた憶えがある。
    後年、購入して読むと、こんなもんだったかな、と。

  • 小学生の頃、図書館にあった挿絵の綺麗なギリシア神話の本に夢中になって読みふけったことがある。普段意識することは少ないが、ギリシア神話の伝承は案外私たちの身近にたくさん転がっていて、そこかしこで目にするカタカナ語には結構ギリシャ由来のものが多かったりするのだ。この本はただ伝承を紹介するのではなく、一見つながりの見えにくい伝承と伝承わかりやすく結び付けてくれたり、現代まで馴染みのある事象とのつながりを示してくれて、神話への親和性を高めてくれる(洒落じゃないよ)。面白かった。

  • 同じ著者の『新約聖書を知っていますか』という本と同時期に購入し、初めて読んだのが大学時代。しばらく本棚に眠っていた本をふと手に取って再読。

    ギリシア神話に登場する神々や英雄って、ゲームとの親和性が非常に高いんですよね。なので、神話を読むというよりも、ゲームに出てくるキャラの元ネタが知りたくてこの本を買ったのではないかと思います。

    改めて読んでみると、ギリシア神話の世界体系がかなりしっかりと紹介されていたことに気づきました。ギリシア神話の入門書としてはかなり使いやすい部類に入るのではないかと思います。

    もう一つ、つくづく思ったのが、ギリシア神話の神は本当に人間臭いということ。特に世界の最高神であるはずのゼウス。
    トップクラスに君臨する神でありながら、嫉妬もするし、妻に隠れて人間の娘に浮気もするし、その娘に手を出して妊娠もさせるし、それがバレないように小細工もするし。普通に考えたらダメ男の筆頭のような感じですが、それを神様の世界の一番上に据えてしまうあたり、当時のギリシア人の肝の強さというか寛容さというか、そんな気質が見て取れます。
    ゼウス以外にも、基本的に男神は美しい娘には滅法弱く、一方の女神も世紀の美少年に尽くしちゃったりするしで、ギリシア世界では神がなすことと人がなすこととは表裏一体にあり、神は敬うべきではあるが特別な存在であるとは思っていなかったのではないかと感じられます。

    一方で、しっかり読むとギリシア神話は「きちんと辻褄が合う」ように話が構成されているということも分かります。
    著者も書いてますが、ギリシア神話は当時、ギリシアの周辺世界に点在していた様々な神話をギリシアの神々の世界に統合して成立したものであるため、同じ神についてのエピソードなのに一見すると話が矛盾しているかのように読めてしまう部分もあります。
    しかし、そこをうまく回避できるように特別な例外を設けたり、その神ならではの特質をうまく利用したりして、話に無理が出ないようにしているのは素晴らしい。誰か特定の一人の編纂者が神話体系をまとめあげたわけではないと思いますが、長きにわたって読み続けられる神話というのは、緻密な構成と世界観で成り立っているのだということが分かります。

    それが分かる具体的なエピソードは本書に満載されてますが、それをいちいち列挙するのも書評としては面白くないので止めておきます。
    世界有数の一大神話体系であるギリシア神話について、基本的なところを知りたい方は読んでみると良いかと思います。

  • 2016年8月23日読了。ミステリ短篇の名手である著者による、軽妙なギリシア神話解説。退屈な学術講義ではなく、神話上の各国の地理関係・神話の中の「秩序だった体系」と「複数の神話が入り混じったことによる混沌」に着目したり、古今東西の絵画や演劇・言語にギリシア神話が広く与えた影響、さらには著者個人やその友人に局所的に与えた影響など、様々なことを語りながらも筋は神話からブレず、ストーリーや人物がすんなり頭に入る。小説家ってのはやはりすごいものだ。終盤の、トロイア遺跡を発掘したシュリーマンのエピソードも目頭が熱くなるものがある。神話には時代を超え、人間を動かす力があるものだ。

  • 初読

    うーん、西洋の美術館を楽しむにはやっぱ
    キリスト教とギリシア・ローマ神話の知識は必須だなぁ

    と思って読み始めたら、俗っぽく昭和の香りの文体が面白く読みやすく、
    もっと早く読みたかった!
    小学生の頃に一瞬、ギリシア神話に興味を持って
    母に本を買って貰ったけど、それがイマイチで全然乗れなくて。
    こっちだったら何回も読み直して知識の核になっただろうなぁ
    色っぽい…というか多少猥雑な方が興味を引くのよねw

    挿絵もいい味。
    ベッドサイドに置いて、ちょいちょい読もうと思います。

  • もともとの神話のストーリーに加えて、それを題材にした劇や映画なども例に挙げ、それぞれの魅力を紹介している。フランスの古典劇は作家の名前になんとなく聞き覚えがあるくらいで観たことも読んだこともないが、ギリシャ神話を題材にしたものがあると知り興味がわいた。
    どんな小説でもそうだと思うけど、ギリシャ神話も読み手の性別によって受け取り方がだいぶ違うだろうなと感じる。私の場合は自分が女だからか、阿刀田さんの目線より中野京子さんの目線の方がしっくりくるんだよな。例えばアリアドネとかメディアといった人物に対して二人が持った印象を読み比べてみると結構面白い。

  • ギリシア神話をものすごくわかりやすく解説した本。
    恐らく興味を持たれやすい話題をピックアップしているのでしょうが、入門書として非常に良かった。

    あとがき的な部分にギリシア新あわ大まかに次の5つの物語とあり、
    覚えている範囲で内容を記載。

    1 オリンポスの神々の伝説 -天地の精製から神々の誕生まで。カオスからガイアが生まれ…
    2 アルゴー丸遠征隊の伝説 黄金の羊毛皮
    3 英雄ヘラクレスの伝説 10行~12行の難行。最後はひゅどらの毒を着物に塗られて死。
    4 テーバイの伝説 オイディプスが生まれ、統治し、追われた国。
    5 トロイア戦争の伝説 -ハインリッヒが遺跡を発見。


    本の内容に直接関係は無いですが、印象的だった一言。

    脳みそをコンピュータに例えることが許されるならば、若いころの読書には、コンピュータの機種決定にかかわるなにかがあるおではないか。
    いったん機種が決定してしまうと、そう飛躍のある演算はできない。

    これはその通りですよね、読書、に限らないかもしれませんが若いころに考えたこと、入力された知識である種の文化精神がしみ込んでいると思います。

  • ギリシャ神話を噛み砕いて、興味を持つように親切に教えてくれる。荒唐無稽なファンタジーではなく、人間の性や歴史的背景もきちんと踏まえた物語だからこそ語り継がれる価値があるのだろう。ヨーロッパの美術館をめぐる前に読んでおきたかった。

  • ギリシャ旅行の予習のために再読。
    旅行を控えているせいか、以前に読んだ時より楽しめた。
    ちょうどNHK「100分で名著」でソフォクレスの「オイディプス王」を放送していて、それをチラ見していたのでそのお蔭もあるかも。

  • 改めてギリシャ神話は音楽で言うところのスタンダードだと認識。黒いオルフェがギリシャ神話をベースにしてたなんて知らなかった。著者なりの解釈も加わったりして、あらすじだけでは分からない色んな読み方が楽しめた。

全203件中 71 - 80件を表示

著者プロフィール

作家
1935年、東京生れ。早稲田大学文学部卒。国立国会図書館に勤務しながら執筆活動を続け、78年『冷蔵庫より愛をこめて』でデビュー。79年「来訪者」で日本推理作家協会賞、短編集『ナポレオン狂』で直木賞。95年『新トロイア物語』で吉川英治文学賞。日本ペンクラブ会長や文化庁文化審議会会長、山梨県立図書館長などを歴任。2018年、文化功労者。

「2019年 『私が作家になった理由』 で使われていた紹介文から引用しています。」

阿刀田高の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
宮部 みゆき
梶井基次郎
宮部みゆき
有効な右矢印 無効な右矢印
  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×