反哲学入門 (新潮文庫)

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  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (302ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101320816

感想・レビュー・書評

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  • 再読したが前回よりさらに本書の素晴らしさを実感。「哲学」という非常に哲学的な日本語が日本人の哲学感を狂わせているようだ。ニーチェ以前と以降では哲学は同じ哲学ではなく、ニーチェ以前の哲学は自然はなにかによって作られているというある意味決定論的・超自然的な立場に立っているが、ニーチェ以降では自然は自然にあるものというある意味日本人的な感覚になっているそうだ。プラトン以降、形而上学も含めて、結局のところ自然というのは超自然的なものに支配されているということを表現を変えて述べているだけとは驚き。いままでまったく理解できなかった哲学というものが少しわかった気がする。

  • 哲学史の入門には
    私なりには一番のお薦めです

    細かく細かく書くのは
    難しくない
    大筋をズバッと書くのは
    難しさMAX

    分かりやすく読みやすい
    間違いないです

  • 理解途上

  • ●なぜ哲学が西洋で生まれ、日本では生まれなかったのか。それは「 自分が自然の中にすっぽり包まれて生きていると信じ切っていた日本人には、「自然」という「存在するものの全体」がなんであるかといった問いは立てられないし、立てる必要もなかった。西洋という文化圏だけが超自然的な原理を立てて、それを参照にしながら自然を見るという特殊な見方、考え方をしたのであり、その思考法が哲学と呼ばれた」と著者は説明しており、なるほどなと思った。

  • 木田元氏は胃癌手術後の療養中に、新潮社の編集者に唆されて、口述筆記による哲学入門の本を出しました。それが本書『反哲学入門』であります。否、口述筆記といふよりインタヴューに答へたものを基に、編集者が原稿を作つたさうです。ゆゑに、本書の功績も欠点も、木田元先生と編集者が分かち合ふべき性質の書物と申せませう。

    そもそも哲学とはどんな学問なのか、哲学者つて何を研究してゐるのか、改つて尋ねられて気の利いた返答が出来る人がどれだけゐるでせうか。須藤凜々花さんなら朝飯前でせうが。
    わたくしなぞは「哲学」と聞くと、『ふたりと5人』といふ漫画に出てきた「哲学的先輩」を連想するし、ソクラテスといへば野坂昭如氏の「ソソソクラテスかプラトンか」をまづ思ひ浮かべます。

    そんなレヴェルのわたくしにも理解できるやうに、優しく語り掛けてくれる本書(白状すれば、それでも解らぬ部分あり)。しかしなぜ『哲学入門』ではなく、「反」がつくのか。
    木田氏は、哲学者でありながら哲学といふものを肯定的に捉へられぬと言ひます。本来哲学とは欧米人だけの思考法であり、日本人が理解出来ぬのは当然であると説きます。へえ。そして哲学の概念を日本に輸入した人たちにも原因があると。
    「希哲学」と訳すべきフィロソフィーといふ言葉を、「哲学」としてしまつた。これは誤訳だと木田氏は断じます。また、metaphysicsの訳語として、「超自然学」とでもすればいいところを、なぜか「形而上学」と訳した。確かに分かりにくい訳語ですね。

    ソクラテス、プラトンのギリシャからカント、ヘーゲルを経てニーチェに至る流れがある訳ですが、ニーチェといふのは、従来の西洋哲学(プラトニズムとニーチェは言ふ)を批判し、アンチフィロソフィー(反哲学)なる概念を生み出したと。従つてプラトン以前と以後の「哲学」は同列に扱ふことは不適当であるさうです。
    そして「二十世紀最大の哲学者」と著者がいふハイデガーについては、最後の第六章を丸ごと使つて解説します。ナチズムの思想と結びついた彼の主張は、実存主義ではなく「反ヒューマニズム」だと言ひます。

    語り言葉ゆゑに解りやすい部分もありますが、逆に解りにくい要素もございまして、それは著者ご本人も認めるところであります。しかし西洋哲学の長く複雑な歴史を、僅か300頁の中に俯瞰してみせた力業には感服いたしました。
    巻末に、読者に対する参考文献として、木田氏は自著を幾つか紹介してゐます。「書き言葉」による入門書も読んでみたくなつた次第であります。
    デハまた。

    http://genjigawa.blog.fc2.com/blog-entry-747.html

  • とても有意義な読書だった。反哲学の反のニュアンスを誤解しないならきっと有益なものになると思う。特にニーチェの位置付けなどは今までになく腑に落ちるものだったように思う。自然な理解という感じ。

  • 哲学入門者必読の名著。ニーチェが何がすごいのかがやっと少し分かりました。

  • 平易な言葉で語られる哲学史。
    タイトルの意味することは、「哲学」とは一神教を背景にしたプラトン主義の系譜であり、ニーチェがそれを批判し、新たな思想が生まれてきたということ。


    読んだはずだが記憶があいまいなので、復習したくなったら『哲学マップ』かこれかを読み直すこととする。

  •  著者のいう「反哲学」というのはニーチェ以降の哲学のことをいうようだ。
     ニーチェ・ハイデガーまでどのように哲学が進んできたのかを分かりやすく説明している。その流れはかなりわかりやすかった。
     しかし,まだ「反哲学」あたりがしっかり理解できていないようなので,また別の本などでハイデガーあたりの哲学について学んでみたいと思った。そのような意味で,私にとってこの著書はしっかりと「反哲学」入門の役割を果たしたように思える。

  • ふわっと、分かったようなわからないような。
    何もそんな理屈をこねて考えんでも、と思ってしまうが、そういう考え方は知を愛していないんだろうな。

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著者プロフィール

中央大学文学部教授

「1993年 『哲学の探求』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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