車輪の下 (新潮文庫)

  • 新潮社
3.57
  • (530)
  • (847)
  • (1436)
  • (159)
  • (19)
本棚登録 : 9709
感想 : 780
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (246ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784102001035

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 救いがない。あるとすれば死なのか

  • (2024-03-13)

  • 車輪の下
    フライクおじさん、魂をそこなうよりは肉体を10ぺん滅ぼすこと。

  • 「教育」とは。
    もちろん時代背景も国民性も異なるので一概に言えるものではないが、その本質は変わらないはず。

    多感な少年期に、抑圧の中で己の個性の芽を摘まれる事が彼らの人生に与える影響は、大人の想像を遥かに超える。


  • 「車輪」は何か?
    受験教育の重積、子供を子供として抑圧する偏見。
    怪物に似たもの。

    優秀な学徒でもあり、神秘に憧れる詩人でもあったヘッセの二面性。

    子ども心の繊細さ。
    大人にはわからない、恐るべき子どもたち。

    詩であり絵画。

  • 【概要書き殴り】
    聡明で幼気な少年を、豊かな自然の生活から引き離し、功名心に駆り立てることで神学校に送り込んだ大人達。規則まみれで高慢な神学校の教師達。
    道半ばで心を病み郷里に帰った少年と親しく交渉する者もない。
    年上の娘の気まぐれに恋心を翻弄され、御し難い青年への過渡期に苦しむ。
    誰よりも優秀だった少年は、結局は同級生達の誰よりも遅く見習い工になった。
    務め人の快い苦労と仲間との交流、酒やタバコの大人の街遊びにも参加した挙句、酔いだけが原因か、川に流され物言わぬ体に成り果てる。

    【感想書き殴り】
    ヘッセの自伝的小説であり、周囲の大人達へのルサンチマンや少年の傷つきやすい心の機微を描き出した物語は、あえてこの本を大人になって読むような若者である自分には共感を与えた。
    いっそのこと自分も川に落ちたい気持ちすら湧く。
    しかしヘッセは物語の主人公とは違い、自らに使うピストルを2度も買うような危機まで経験するも、持ち直して大人になっていく。(訳者解説より)
    ヘッセにとっての詩作、小説書きのように、自分にとっての人生の取り組みは何であろうか。日々をブルシットな仕事に費やし、酒とタバコに気を紛らわせる人生だが、気が向いた時に本を読み自分と向き合う作業はせめて続けていきたい。
    教育の車輪に強く轢かれはしたが、通り過ぎた車は振り返ることはない。傷と知識とを残された自分は足で進むしかない。

  • 一文一文に詩的な表現が含まれるので理解と想像をフル活用させて読むと非常に疲れるが、その分少年を取り巻く環境を感覚的に読み取れる。
    最後、こうした形でこの世を去るハンスを救われたと思ってしまうことに何とも言えない虚しさを感じた。

  • 少年時代特有の非常に敏感な感性と、その繊細さゆえに感じ取ることができる特別な美しさや、時には残酷さ。
    そういったものがふんだんに描かれていて、読みながら不思議と懐かしさのような感情を想起させられた。
    がらんとした秋の静かな昼下がりのような、少しの哀愁と心地の良い気持ちをもらたしてくれる素敵な作品でした。

  • 解説によると、ドイツでは8位だが日本では1番読まれているヘッセ作品らしい。親の「手ぬかり」が招く惨事、教育システムを車輪に見立てたヘッセの警句。衝撃のラスト。

  • 神童のハンス少年の青年までの軌跡を辿る作品。
    作者のヘッセはドイツ人らしいが、美しい描写と表現を感じつつも、翻訳という代替え作業のなかでこぼれ落ちてしまう、コンパチ感はあると思う。
    ハンスは天才だが、周りの大人立ち上った詰め込み教育によるプレッシャーで潰されていく、まさに車輪の下の存在であった。
    作者自身の体験を色濃く描いているそうだが、ヘッセには母親の存在があり、ハンスにはなかった。それが、ヘッセとハンスの運命の分かれ目であり、作中でも父親の都合のよい解釈と共に、救いのない結末事態がヘッセの母親への感謝を描いていた所には、人間が文学を作る優位性を感じる。別にこれはテーマではないか。
    己の苦悩を世に発信する行為の懺悔、罪滅ぼし、開き直りは羨ましい。
    青年になるきっかけを恋愛から得たが、それも辛く苦しい体験の下拵えでしかなく、不幸への怒りは凄い。
    また、水辺で足を滑らせて命を呆気なく落とすハンスの運命や境遇には憤りを感じ、神は未だ不在だと思い知らされた。

全780件中 91 - 100件を表示

著者プロフィール

ドイツ生まれのスイスの作家。主に詩と小説によって知られる20世紀前半のドイツ文学を代表する文学者。南ドイツの風物のなかで、穏やかな人間の生き方を描いた作品が多い。また、風景や蝶々などの水彩画もよくしたため、自身の絵を添えた詩文集も刊行している。1946年に『ガラス玉演戯』などの作品が評価され、ノーベル文学賞を受賞した。

「2022年 『無伴奏男声合唱組曲 蒼穹の星』 で使われていた紹介文から引用しています。」

ヘルマン・ヘッセの作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
ヘミングウェイ
三島由紀夫
ドストエフスキー
フランツ・カフカ
宮部みゆき
有効な右矢印 無効な右矢印
  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×