罪と罰〈上〉 (新潮文庫)

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  • / ISBN・EAN: 9784102010211

感想・レビュー・書評

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  • 一旦、上巻が終り. 2章が終わるあたりまで名前の把握に苦しみながら読み進めた(そのため莫大な時間と体力を要した.) 3章に入ってからは、スラスラと読め展開が楽しみになっている. ドストエフスキーを慕いながら、まだ1つも読了出来ていないので、今回は読了出来そうで嬉しみ... 150年近く前の小説にも関わらず、1960年代に書かれたとしても遜色ないような描写で謎の気持ちにはなった. 展開も想像してたよりポップで面白い. (不適合な人間でありながら、さまざまな人々に関わり合いになれているラスコーリニコフ羨ましい(え?))

  • とにかくみんな語る!酔っ払う!叫ぶわ怒るわ荒々しい。貧しくても病んでても、生きなきゃいけない辛さ。罪をおかしても、正当化と罪悪感の間を彷徨いつつ生活を続けなければいけないという現実。そういうのがドサドサと心に積み重なっていく。ドストエフスキーの文章すごい。
    主人公の青年ラスコーリニコフには、上巻では全然共感できないまま。でも、本当に人生手詰まりになったら、ラスコーリニコフみたいになっちゃうのかもしれない、とも思う。
    下巻でソーニャやスヴィドリガイロフとどう関係が進展していくのか...?
    ちょっと雰囲気に呑まれて頭がクラクラしているけど、引き続き下巻も読んでいく。
     

  • 字も小さいし、名前もコロコロ変わるし、分厚いしで三重苦でなかなか読み進められなかったけれどどうしても読むのをやめられなかった一冊。面白い、、、。
    「上の層」の人間だからこそ、殺人を正当化する権利がある。とはいいつつも発作的に襲う罪の意識に全身が戦慄くほど追い詰められる。行為としては残虐だが殺人の正当性と良心の呵責の相剋に思い悩むラスコーリニコフは非常に人間味に満ちた共感しやすいキャラクターだったように感じた。

  • 色々な小説に、この「罪と罰」は出てきます。
    歴史的な文学なので、私に理解できるか不安でしたが、最近読んだ「グラスホッパー」にも、「人間の顔は食べづらい」にも出てきて、これから色々な本を読むにつれ、この有名な文学を読んでいたらより楽しめるのではないかと思いました。
    「人の命を左右する人の話」によく「罪と罰」が出てくるような。
    金のために金貸しの老婆とその妹を斧で惨殺した、主人公ラスコーリニコフの心の中の葛藤の話。
    ラスコーリニコフはとにかく気持ちが錯乱する人で、分裂症か、解離性障害か、と思えば、頭がとてもいいので、冷静に分析している時もあります。
    殺人後の後悔、正当化、開き直り、怯え、疑い。
    途中自白するような事をしてみたり、どうにも理解できない言動をします。
    私の頭の中の映像としては、舞台を観に行っているような感覚で読み進めていました。
    あと、愛称?が複数あるので、名前をメモしないと、とても誰が誰だかわかりません。
    こんなにメモしながら読んだのは「12人の死にたい子どもたち」以来でした。(名前のみで。)
    今のところ、構えていたより筋が理解できているので、下巻、続けて読みます。

    内容とは関係ないのですが、「罪と罰上下巻」を古本屋で購入したのですが、元の持ち主が、所々の単語に鉛筆で四角枠を囲っていて、(全体で5箇所程ですが)その単語になんの意味があるのだろうと、推理小説好きな私は、内容云々とは別の意味で気になって気になって、ここに書くまでに至りました。
    この文学自体が有名なだけに、なんだか意味ありげな感覚に囚われております。
    下巻にもあるのかな、、、笑

  • 再読

  • 世界で有名な名作と呼ばれる作品を、人生で一度は読んでおくべきだ…という気持ちで読み始めた。
    なかなか難しい。とにかく登場人物の名前が複雑すぎて相関関係を曖昧にしたまま進んじゃったし、台詞は長いし、主人公はずっと情緒不安定だし、読み進めてるうちに少々気が滅入った。
    普通の神経を持った人間が人殺しをしてしまったら、こんな風になってしまうのか…という物語ならではの楽しみはあった。
    続きが気にならないわけではないけど、下巻を読み進められる気力は自分にはなさそう。。

  • 『「罪と罰」を読まない』(※以下『読まない』と略)を読んで、ようやく本家『罪と罰』に挑戦する決意を固めました。一生読むことはないだろうと思っていた頃に断片的な知識から私の思い描いていたストーリーは、貧乏学生が金貸しの老婆を殺すも、お金は前途有望な自分が使うほうが世の為人の為になるのだからこれは悪ではないと開き直る、主人公のイメージはなんかこう、デスノートの夜神月みたいな雰囲気で、要は正義のためなら人を殺してもかまわない、自分のような有用な人材が有意義に使うほうが金の価値もあがる!みたいなキャラ、殺人を犯すも知能を使ってどう逃げ切るか、という話かと思っていました。

    さて現実の『罪と罰』、貧乏学生ラスコーリニコフ(※以下『読まない』に倣いラスコと略します)が金貸し老婆を殺すところは周知のとおりなのだけど、なぜ彼が殺人を企てるかについてはそれほど強い信念があったわけではなさそうな印象。というのも、物語冒頭ですでにラスコは殺人計画を立てているものの「アレ」を本当に実行するのか?等と読者には思わせぶりな「アレ」扱い、どこでどんな決心をしてそこまで思い詰めたのか、着想の場面が描かれてはいないから。金貸し老婆の部屋を下見し、偶然とはいえ同居の義妹の不在時間を知り、斧を用意して隠し場所を上着の内側に作るなど用意周到な反面、金を手に入れたあとそれをどう使うのかという具体的な目的もない。

    とにかく貧乏ではある。けして裕福ではない実家からの仕送りと家庭教師のバイトで生活している学生さんだから、まあそんなもんだろう。しかし家賃も学費も滞納したまま、全く働こうとしないのはどうかと思うし、貧乏なくせに変なところで気前よく他人にほいほいお金をあげたりして、善人ではあるが金銭感覚のおかしい人というか、お金がないというよりは上手にやりくりできないだけというか、そのくせプライドと自己評価は高く他者を見下しがちで理屈っぽく、はっきり言ってラスコ、お勉強はできるが生活力のないダメンズの典型。(しかしイケメンなので女性にはわりかし親切にされるという特典はある)(殺人犯ではなくヒモにでもなればよかったのだわ)

    彼が勉強してえらくなってくれることだけを願っている母と、兄思いの妹ドゥーニャ(兄のために好きでもない男と結婚しようとしている)という家族もあり、それほど孤独でもない彼がなぜ犯罪者になることをわかっていて殺人に手を染めるのかは、ちょっと理解に苦しんだ。どうしてもお金に困っての犯行というのなら、手に入れたお金で家賃なり学費なり払って返せば良いのに、なぜか彼は人を殺してまで盗んだ金品を「証拠隠滅」してしまうことに躍起になる。ちなみに最初は川に投げ込もうとしていたくらいなので、すぐ使うと犯罪がバレるから隠して置いて後で使おう的な計略でもないっぽい。

    さらに彼は自分のしたことで精神を病み熱に浮かされ寝込んだり彷徨したりしつつ、自殺を考えたり自首を考えたりする。だったら最初から人殺しなんてしなけりゃ良いだけなのに! 彼が金でも恨みでもなく独自の信念のために老婆を殺したというのなら、反省も後悔もする必要はないわけで、どうも優柔不断というかブレすぎているし、そんなわけで読む前に想像していた「僕は新世界の神となる!」タイプの犯罪者とはだいぶん違う様子。つまりとっても面倒くさい中二の延長みたいなラスコくんですが、まあそこが面白いといえば面白い。

    さてそんなラスコには大学時代のラズミーヒンという大変面倒見の良い友達がいます。『読まない』では名前の語尾が「ヒン」なだけで三浦しをんさんに「馬」呼ばわりされたり、その熱血ポジティブ陽性キャラゆえに岸本佐知子さんには「修造」呼ばわりされていた非常に愛すべき人物。社交的で交友関係が広く、予審判事のポルフィーリーや、警察事務官のザミョートフともお友達。このポルフィーリーはラスコを疑っているわけですが、ラスコは犯罪者の常で殺害現場をうろついたり、自らバレてないか探りを入れにいくなど本人は余裕を示してるつもりが実は迂闊なだけ、どんどん尻尾を出し始めてるわけですがやはり自覚はない。

    一方、ヒロインのソーニャ。父親のマルメラードフ(以下マメ)がどうしようもない飲んだくれダメ親父だったせいで、身を売って家族を支えている健気な少女。マメは偶然居酒屋で居合わせたラスコにさんざん自分語りを聞かせたあげく酔っぱらって家まで送ってもらい、さらにラスコは後日このマメが馬車に轢かれて大怪我のち死亡する現場にまで居合わせてしまう。そしてその都度「金は僕が出す!」と有り金はたいてしまうラスコ。善行かもしれないが、そのお金は自分で必死で稼いだものではなく、郷里のお母さんが自分の苦しい生活の中から借金して仕送りしてくれたものだと知っているので正直複雑。

    しかし当然ソーニャは感謝する。マメとマメ妻カテリーナはどちらもバツイチ子連れ再婚で、ソーニャはマメの前妻の娘、カテリーナには前夫との間にできたまだ幼い3人の子供がおり、有り金すべて飲んでしまうマメのせいで極貧の一家のために、マメの葬儀代まで出してくれたラスコ(しかもイケメン)にソーニャは当然ポッとなる。娼婦でありながら汚れない聖母のように心の美しい彼女はマグダラのマリアのような存在なのでしょう。

    でもラスコのほうといえば、以前大家さんの娘と婚約していた過去があるのだけれどこの娘は不美人で病弱で持参金もないつまり外見や金目当てではなく婚約していたラスコの萌えポイントはずばり「不幸」萌え、かわいそ萌え。この婚約者は病死しますが、貧乏で親の為に娼婦になったソーニャ(やはり美人ではないらしい)はラスコのストライクゾーンどんぴしゃ。

    その他上巻で登場する主要人物は、ラスコの妹ドゥーニャ。ラスコがイケメンなのは血筋らしくこのドゥーニャも美人(ちなみにお母さんも衰えたとはいえ美人だそうで)彼女は地元でスヴィドリガイロフというお金持ちの家に家庭教師として雇われていたが、このスヴィドリガイロフに言い寄られていたのを勘違いした妻のマルファ・ペトローヴナに言いふらされて職も人望も失い、のち勘違いに気づいたマルファの謝罪で人望は回復するも、職はないのでルージンという45才の弁護士のおっさんの求婚を受け入れ、結婚のために母と一緒にラスコのいるサンクトペテルブルクへ出てくる。

    しかしラスコはすでに殺人を犯し勝手に疲労困憊、別人のような息子に母も妹もびっくり。さらにラスコは妹の婚約者ルージンが気に入らず罵倒し不仲に。一方でラズミーヒンは美人のドゥーニャに一目惚れ。様子のおかしい兄の世話を焼いてくれているラズミーヒンにドゥーニャのほうも悪い感情は持たない。終盤、そんなドゥーニャのストーカー、元雇用主でドゥーニャに色目を使っていたスヴィドリガイロフが登場、ラスコと接触してくる。これ普通にドゥーニャをめぐる恋愛模様のほうが気になる件(笑)いざ下巻へ。

    • 淳水堂さん
      yamaitsuさんこんにちは(^o^)

      フィギュアファン、ラテンアメリカ文学ファンの私には、ややこしい人名は割と得意(^_^)v
      ...
      yamaitsuさんこんにちは(^o^)

      フィギュアファン、ラテンアメリカ文学ファンの私には、ややこしい人名は割と得意(^_^)v
      フィギュアでは選手を愛称で応援するので(イリナ選手→イーラ、エフゲニー選手→ジーニャ、アレキサンダー選手→サーシャ、など)愛称覚えちゃう、
      長ったらしく早口言葉みたいな名字もスラスラ言えるようになっちゃいます(笑)

      鬱のロージャくんにも困ったもんですね(-_-)
      私ま事前にはもっと自信満々殺人に及ぶかと思っていたら、あのウジウジウダウダっぷり。
      それだけウジウジしているのに、人の好意はウルサイ扱い。
      ロシア文学の特徴は、日照不足だと思う。
      2019/07/31
    • yamaitsuさん
      淳水堂さん

      なるほど、フィギュアスケート!確かにそれなら覚えられそうです。何ごとも好きこそものの…ってやつですね。ロシアにイケメンアイ...
      淳水堂さん

      なるほど、フィギュアスケート!確かにそれなら覚えられそうです。何ごとも好きこそものの…ってやつですね。ロシアにイケメンアイドルグループとかあったら私も覚えられるようになるかもしれません(笑)それかせめて全員愛称で統一してくれたら・・・(ソーニャやロージャみたいなのなら覚えられるのに!)

      ロージャくんは、せっかくイケメンに生まれたのにそれを活用せず奇行が過ぎるし、倒れたり熱を出したり激昂したり、自分でも疲れないのかしらと心配になります。もっと太陽を浴びて公園をウォーキングするなどしたほうがよいですね(笑)あとカルシウムとかビタミンとかも摂取したほうがいい。
      2019/08/01
  • ずっと気になっていたがなかなか手が伸びなかった本。

    買ったはいいが、積読になりそうだったので勇気を出して読み始めた。

    想像通りこれはどう読めばいいのか、非常に難しい。
    テレビの音でも近くにしてようものなら、忽ちただの文字の羅列に化けてしまう。
    話に入るのにはかなりの集中力を要した。

    人の名前は全て紙に書き出し、どのような人物かメモを取り
    ウィキペディアで先にあらすじを読むという禁じ手を犯して
    何とか上巻を読み終えることができた。
    (そうでもしないと、本当にストーリーが頭に入ってこない・・・。)

    上巻の終盤での会話にこそ、この上巻の物語の意味があるのだろうが、
    理解するのは非常に難しい・・・。

    読み手によって、様々な解釈があるのかもしれない。

  • 登場人物の議論や思想がとてもおもしろい本作ですが、これから読み始める人のためにアドバイスを書き残しておきます……

    「初めて出てきた人名は書き留めておくこと」

    大抵一人の人間を表すのに2つ以上は名前が出てきます。しかも登場人物が多いのに推理小説ではないので紹介のまとめページがない。また血縁関係が無いのに名字が同じ人物が出てきた時にはもうえらいこっちゃでした。私のように横文字の名前が覚えられないという方は絶対にメモをすることをオススメします……

  • 【きっかけ】
    先輩から薦められたため、手に取った一冊。

    【感じたこと】
    今まで自分が読んできた本とはまるで性質の違うものだと読み始めてすぐに感じた(読書量が少ないこともあるが…)。一番の理由は、ストーリー展開は遅い代わりに、とんでもないくらいの密度で、登場人物の心理描写が綴られていることにあると思う。
    上巻を読んで、物語の事象自体は整理できるが、登場人物の言葉や思想にはまるで理解が追いつかない。にもかかわらず、なぜか日々この本を手に取った読み進めてしまうという不思議な本だった。
    無知な自分にはこの本を評価することはできないが、一番感じたことは、どこまで深く人間について考察すればこのようなものが作り上げられるのかということだった。

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著者プロフィール

(Fyodor Mikhaylovich Dostoevskiy)1821年モスクワ生まれ。19世紀ロシアを代表する作家。主な長篇に『カラマーゾフの兄弟』『罪と罰』『悪霊』『未成年』があり、『白痴』とともに5大小説とされる。ほかに『地下室の手記』『死の家の記録』など。

「2010年 『白痴 3』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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