夜間飛行 (新潮文庫)

  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (334ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784102122013

感想・レビュー・書評

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  • 物語に出てくる男たちがとにかくかっこいい。静かに熱い情熱を持っている夜間飛行に出てくるリヴィエールがとにかくかっこいい。
    そして訳もかなりかっこいい。

    とにかくクールでかっこいい小説です。

  • ☆夜間飛行
    夜間飛行がまだ、危険な冒険であった時代、この一大事業に挑んだ事業支配人リヴィエールの物語。彼は配下の飛行士、整備士、監督、事務員、荷役係に鉄の規律を敷く。厳格で孤独なリーダー。リスクを冒しても、危険な事業に部下を従事させることの意味とは?

    スポットライトを飛行士だけはなく、地上の支配人にも当てているのが新鮮。闇へと飛び立つ飛行士はもちろん勇敢な英雄だが、彼等が恐怖を抱かぬよう、若しくは恐怖を抱いていてもなお彼等を空へと送り出すために、冷血孤独に徹したリヴィエール。人命にも優る、達成すべき使命にあたっては、その使命に邁進する組織の統率者は、部下を愛しつつも、同情、共感、自らの心の
    内をさらけ出してはいけない。実際に現場にはいない、統率者の勇気。リーダーとはどうあるべきか?一つの答えを示していると思う。
    また、リヴィエールが見つけた、人類が危険かつ偉大な事業へと身を捧げてきた(若しくは、他人に捧げさせてきた)意味。永遠性。うーん、ロマンがあるなー。

    ☆南方郵便機
    飛行機乗りの恋愛。こっちもハッとさせられるような美しい表現とかあって面白かったけど、多分理解しきれてない。いつかリベンジしなきゃ。

  • 時折のはっとするような美しい描写が印象的。夜間飛行の最後のシーン、美しかったなあ
    両作とも、終りのしんわりとした雰囲気がとてもすきだ
    おそろしく読みづらいうえ、焦って読んでしまったので精読できず、読み切るので精一杯になってしまったのが残念…

  • 不思議な味わいの小説だ。『夜間飛行』のタイトルからは幻想的なものを想像するが、その実は冷徹だ。透明感に溢れるといえばそうだが、それは夜の闇の中だ。飛行機のエンジン音が聴こえてきそうだが、物語世界は静けさに包まれている。そして物語の舞台は南米であるにもかかわらず、空気感は冷ややかだ。また作中には感情移入できそうな登場人物もいない。操縦士のファビアンは登場場面が少なすぎるし、支配人のリヴィエールはあまりにも非情だ。結局のところ、この物語を支配しているのは個々の人間ではなく、その世界の全体を覆う夜と孤独なのだ。

  • こういう方たちの仕事の積み重ねで今があると思うと感慨深いです。
    危険だと分かっていても仕事を続ける姿は、どこか言い訳めいて見えて、葛藤と言うか、弱くも強い意志が印象に残りました。
    一度読んだだけでは理解できない文章が多かった。何度読んでも何が表現されているのか解らなかったり、現代だったらこう訳されてはいないんじゃないかと思えたりで、原文や新訳も読んでみたくなりました。

  • 『星の王子様』を書いた作家だとは思えない作品です。
    『星の王子様』の延長で読むと少し難しいかもしれません。
    本書『夜間飛行』は作者サン=テグジュペリの飛行士の経験に基づき書かれているドキュメンタリー小説に近いものを感じます。
    作者自身が飛行士だけあって機内や風景の描写が美しく、リアルでした。

    夜間飛行という危険を冒してまで職務を果たそうとする気高き者たちの誇りと尊厳を賭けた勇気ある行動を書いた傑作です。

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「気高き者たちの誇り」
      砕けた言葉で言えば、飛行機乗りの心意気だし、もっと広げるなら人間の精神についての本ですよね。是非「人間と土地」も併せ...
      「気高き者たちの誇り」
      砕けた言葉で言えば、飛行機乗りの心意気だし、もっと広げるなら人間の精神についての本ですよね。是非「人間と土地」も併せてお読みください。。。
      2013/05/21
    • cockrobin20さん
      nyancomaruさん

      コメントありがとうございます。

      『夜間飛行』の登場人物達は自分の信念に基づき行動する魅力的な人物が多いですよ...
      nyancomaruさん

      コメントありがとうございます。

      『夜間飛行』の登場人物達は自分の信念に基づき行動する魅力的な人物が多いですよね。
      サン=テグジュペリもこの登場人物達のように自身の信念のために行動する魅力的な人間だったのだと思います。

      『人間の土地』にも興味があるので、是非読みたいです。
      2013/05/23
  • 以前読んだ、光文社古典新訳文庫の二木 麻里訳(2010年07月08日 発売)の方が読みやすかったです。

  • 堀口さんの訳が一番好きだな。
    美し過ぎて、朗読してると感情移入してしまう
    のが唯一の難点。

  • - 水のように澄んだ空が星を潰し、星を現像していた。

    "ほんのまくら"フェアで出会った一冊。
    引用元は『南方郵便機』の冒頭からのフレーズ。

    その、星にまつわる記述に惹かれて手に取ったのですが、ふたを開けたら、、
    『星の王子さま』で有名なサン・テグジュペリさんの本でした、意外。

    20世紀初頭、飛行業界の勃興期、危険度の高い冒険的で、尊厳に彩られた物語、なのかな。

    なんとも退廃的で、情緒的で、でも一本筋が通っているような、
    それでいて重い水に絡みとられるかのようなその文体が、印象的でした。

    ちなみに『南方郵便機』は処女作とのことです、ふむふむ。

  • 雲海の描写が素敵。

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著者プロフィール

アントワーヌ・ド・サン=テグジュペリ。1900年6月29日、フランスのリヨン生まれ。
幼少の頃より飛行士に憧れてその職につく。飛行士と兼業して、飛行士の体験をもとに『南方郵便機』、『夜間飛行』などを発表。
第二次世界大戦中、亡命先のニューヨークにて『星の王子さま』を執筆し、1943年に出版。同年軍に復帰し、翌1944年7月31日地中海コルシカ島から偵察飛行に飛び立ったまま、消息を絶つ。
その行方は永らく不明とされていたが、1998年地中海のマルセイユ沖にあるリュウ島近くの海域でサン=テグジュペリのブレスレットが発見される。飛行機の残骸も確認されて2003年に引き上げられ、サン=テグジュペリの搭乗機であると最終確認された。

サン=テグジュペリの作品

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