ムーン・パレス (新潮文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (532ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784102451045

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  • さいこう

    妄想癖のある青年がいくつかの人と出会い別れることで、愛、出自、喪失を識る物語。

    出来事の中に因果律を感じるというスピリチュアルな体験を印象的に感じた。フォーチュンクッキーとか壊れた傘とかチキンポットパイとか。テスラの目に見透かされて芸術を目指すという話が好き。

    衝撃的な事実も客観的に描かれていたり、ずっと創作話を聞かされてるような愉快さをかんじ読み続けてしまった

  • 老人と過ごした日々を綴った部分が心に深く深く刺さって響く。大切なことを教えて貰った気になった。大切にして生きていきたい価値観があった。
    始終寂寥感に包まれているが、読み終えた後の微量な清々しさは心地よい余韻だった。

  • 波乱万丈の三代にわたる青春物語。ユーモアあふれる文体が読みやすく、一気に読んだ。コメディタッチではあるけれど、本質的には孤独を感じさせる、悲しみに満ちた物語でもあると思う。

  • 同じ状況に陥ったら同じように思い、感じるんじゃないだろうか。
    精神的に混乱しているときを含め、主人公の心の動きは自分にとって妙にリアルで、近さを感じた。
    そんな現実感で読んでいたところへ、エフィングの登場である。
    ひと癖もふた癖もある謎の老人。
    どこまで何が本当なのか。
    「このあたりもうちょっとはしょってもいいんじゃないか」と思い始めると、そこでググッと話が展開し引き込まれること2度3度。糸がつながってゆく。

    哀しくてあたたかい。
    すべてわかった今、少し時をおいたらもう一度読み直したいという気になっている。

  • ふだんSFやファンタジーばっかり読むので、いわゆる文学系は初めてだったような?
    でも全然違和感ありませんでした。
    本の中が別世界で、別の時間が流れてるような気がしてました。
    なので大枠でファンタジーと言えないこともないのかも知れません。
    この小説にあるような月を実際に見たことがあるので、ラストはとても気持ちがよかったです。
    人生は偶然という名の奇跡の連続。
    海の上に昇る満月は、この世のものとは思えないくらい静謐で美しいですぜ~♪

  • 不幸な主人公。家族も恋人も失ってどうやって生きて行くのだろう。しがみつくものがないなんて辛い。

    それにしても柴田元幸の訳がうまくてとーっても読みやすかった!ということで☆5つ!!

  • 予想をはるかに裏切った。(いい意味で)
    とても面白かった。貧乏学生の境遇は自分にもよく分かる。(一日一食とか・・・主人公まではいかないけども。)
    後半やや失速した感は否めないが、前半はとても面白かった。
    こういう作品があるから読書はやめられない。

  • 高校3年生のたしかちょうど受験勉強をしていたころに一度読み、大学生のころにも一度読み、そして初めて読んでから10年以上たってもう一度読んだ。何度読んでも違う発見がある。
    過去に読んだときには、物語の面白さと切なさにノックアウトされたきりで、中盤のキティとのラブストーリーの記憶ばっかり残っていたのだが、いまあらためて読んでみると、この小説の形式面に驚いた。

    いくつもの口承の冒険譚(というかむしろほら吹き話に近いのだが)が入れ子の構造になっていて、さらに語り手と聞き手が実は偶然ではなく必然でつながっている。すべてが偶然の糸でつながっているかのような物語が実はずいぶん緻密な必然の結果であるということに舌を巻いた。

    しかしこのオースター流の感傷的で饒舌な文体は読むたび切ない。それからノスタルジックな60年代~70年代のNYの雰囲気や時代背景の描写、月のモチーフの使い方もオシャレ度高し。

    なんにしても、大好きな本です。

  • 人類がはじめて月を歩いた春だった。父を知らず、母とも死別した僕は、唯一の血縁だった伯父を失う。彼は僕と世界を結ぶ絆だった。僕は絶望のあまり、人生を放棄しはじめた。やがて生活費も尽き、餓死寸前のところを友人に救われた。体力が回復すると、僕は奇妙な仕事を見つけた。その依頼を遂行するうちに、偶然にも僕は自らの家系の謎にたどりついた…。深い余韻が胸に残る絶品の青春小説。

  • 面白かった。最初から崖を転がり落ちるような展開で、「え、まじで?」と言いたくなるエピソードやありえないような偶然をはさみながらも、最後の一点へ向かって物語がどんどん収束していく。この得体の知れない強大な引力には脱帽。あとオースターって「絶望」を書かせたらすごいよなー、ほんと。

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