- Amazon.co.jp ・本 (376ページ)
- / ISBN・EAN: 9784103031710
感想・レビュー・書評
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初めて東野の小説を読んだが、これは絶対に推理やミステリーやのジャンルに入れない。とはいえ、私は決してこの点について作者東野を責める訳でもなく、況して若しこの作品が著者の自己向上を追究する一歩なら褒めるべきであろう。但し、この物語は極普通であり、言葉も褒揚し難く残念な気持ちを思いさせられる。それに、この版の表紙はとても工夫してなく読者に眉を顰めさせる程の不美人だ。
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東野圭吾の書く物語は、犯行のトリックの面白さに加えて、人物の関係性の設定と心理描写のうまさが息をつかせない迫力を生んでいる。研修医の氷室夕紀、父である元警察官を胸部大動脈瘤の手術をした西園教授、母、犯人、恋人たちの、結びつきと真剣で複雑な思いこそこの小説の中核であると思った。とても面白かった。
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よくある2時間サスペンスって感じかな。
内容は面白いが、東野圭吾の期待感が大きすぎた。 -
医療もの。
父親の死を不審に思った娘が医師になり父の手術をした医師と同じ病院で働くといった話。
使命という言葉が頻繁に出てくる。
主要な登場人物は医者も警官も自分の使命をまっとうしようと尽力をつくす。
現実世界もそんな人間ばかりなら良いのにね。
「人間というのは、その人にしか果たせない使命というものを持っているものなんだ。」
とある。
前半の早い段階ででてくるのだけれど、この部分が印象的だった。
本来の使命をまっとうできればどんなにか素晴らしいことだろう。
東野圭吾の長編小説は切ないものが多いと思ったがこの本はそんなことはなかった。
主人公の女性もリアルな感じがした。 -
読者の誰もが「自分にしか果たせない使命とは何か」について考えるであろう。しかし、この作品のテーマは"対話”であると私は思う。
西園は真実をいつでも話せたはずだが、夕紀と本当の家族になるために、彼はそうしなかった。言葉ではない方法での対話を選ぶ。
その他の人物も異なった方法で対話している。
島原は社長であり続けるかたちで世間と。穣治は心の中で常に望と。森本夫妻の決断には、本音でぶつかり合う対話があったと想像できる。そして望の最後のお願い。
相手に納得してもらうには誠意を尽くすしかない。ただ、その誠意はお金ではないことを、望月亜紀の父が七尾に語っている。
相手と真剣に向き合うことの大切さを教えてくれる一冊。 -
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十数年前のあの日、手術室で何があったのか?
そして今日、手術室で何が起こるのか?
心の限界に挑む医学サスペンス。
笑顔で手術室に入った父は、冷たい骸となって戻って来た。誰も予想していなかった、術中死。さっきまで、あんなに元気だったのに。それをきっかけに心臓外科医を目指した夕紀は、実は誰にも言えないある目的を胸に秘めていた。その目的を果たすべき日に、手術室を前代未聞の危機が襲う!
穣治の気持ちが痛いほど解った。
もし自分だったらと考えた。
最後の最後に下した穣治の応え。
西園と夕紀の関係、それなりにすっきりできる終わり方だった。