銀花の蔵

著者 :
  • 新潮社
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感想 : 96
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  • Amazon.co.jp ・本 (328ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103198321

感想・レビュー・書評

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  • 個人的には2020年上半期の直木賞は「少年の犬」より断然こっち。
    銀花の人生譚的な内容だが、出てくる登場人物がとても個性的で、引き込まれるように読み終えてしまった。ストーリーの伏線回収もとても上手。
    遠田さんの他の作品も読んでみたい。

    • くまうりさん
      チャオさんの感想を読み、この本を読んでみようと思いました。素敵な小説とのご縁をありがとうございました。
      チャオさんの感想を読み、この本を読んでみようと思いました。素敵な小説とのご縁をありがとうございました。
      2024/03/10
    • チャオさん
      こちらこそ、コメントありがとうございます。
      この作品、すごくいいですよね。遠田さんの作品の中でも温かく、心に強く響く作品で、自分も大好きで...
      こちらこそ、コメントありがとうございます。
      この作品、すごくいいですよね。遠田さんの作品の中でも温かく、心に強く響く作品で、自分も大好きです。
      あまり参考にならない感想ばかりではありますが、読むきっかけになり嬉しいです。ほかにも読んで良かった作品多くありますので、気になる作品の感想を読んでいただければと思います。
      2024/03/11
  • 銀花の強く生き抜く姿に圧倒された。
    母、父への想いを抱え、辛い境遇や困難に立たされながらも、自分を見失わず、最後には幸せを手に入れた。よく頑張ったなぁ・・・と拍手を送りたい気持ちです。
    だけどもう少し、銀花の支えとなる、信頼できる人がいなかったんだろうか?なんて考えながら読み進めていました。大原杜氏の冷たさに嫌悪感を抱いたぐらい、冷たい大人だなぁって思った。ただ、多鶴子さんは厳しい中にも優しさがあって、地の繋がりのない銀花をずっと山尾家におき、蔵を継がせた。そして彼女も色々な想いを抱えていたんだと、ちょっと胸にくるものがあった。山尾家をはじめとする様々な秘密が明かされていく終盤は、読み進めるのに必死で、ペースも速くなる。色々、本当に色々あったんだと、何かが繋がったようで、逆にスッキリした。
    高度成長期の昭和から平成に渡り、時代の流れとともに、銀花という1人の女性の、翻弄されつつも懸命に生き幸せを手に入れた人生が描かれた、心にしみじみ沁みこむ一冊でした。

  • 主人公をいたぶる事に関して日本有数のサディストとの評判も高い(勝手に決めました)遠田潤子さんが、初めて主人公が初めから光の中を歩いている印象の本を書きました。
    前々作の「ドライブインまほろば」で大分希望のある本になっている印象でしたが、針の穴からのぞく光をはいずりながら目指すような悲壮感のある本が殆どです。
    本作は王道の大河ドラマのイメージで、女の一代記といった風情の本です。主人公銀花が父母や血族の秘密に翻弄されながら自分の道を真っすぐ歩いていく感動巨編で、かび臭いどんよりした空気はまとっているものの、先へ先へとページを繰らせるリーダビリティーはさすがだし、人間ドラマとして1人1人の人生を大事に書いている事が伝わってきて、皆幸せになって欲しいと強く思いました。
    これで直木賞取れてたらよかったなあ。いい本ですよこれは。

  • これまでの遠田さんの作品とは違い少し柔らかいというか主人公に負荷があまりかかっていない。それでも血縁、慣習、過去、現在とたくさんのものに翻弄され抗おうとする小学生の銀花の姿がある。徐々に負荷がかかりだし、理不尽なことがあり、苦しみや悲しみ、怒りが溢れてくる。でもそれだけじゃないものがあって辛い日々を送ってきたはずなのにどこか幸せな空気があってそのあたりの具合がとても良くて銀花という女性の人生の大きさ、強さ弱さ、そして喜び、幸福を感じられる。今回もいい作品でした。

  • 読み始めてすぐにこれは面白そうだとワクワクしました。
    銀花が切ないのですが、其々皆んなが優しくて切ない物語です。
    作家さんの他の本も読んでみたいと思います。

  • 没頭した。続きを読むのが待ち遠しかった。
    一人で持つには重すぎるものを抱えている。
    偽善みたいなものが、誰かにとって救いになることもあるみたい。

  • 不思議とどんどん読み進めてしまう、かわいそうな話やった。
    首振り三年ころ八年。

  • 醤油蔵を続けていく苦労,不器用な人たちが生きようともがいているような息苦しいような人生.窃盗癖のある母、厳しい祖母、奔放な桜子,複雑な関係の中で本当の愛と家族を作り上げる銀花の成長の物語.

  • 奈良にある醤油蔵を舞台に主人公・銀花の激動の人生を描いた物語です。
    主に10代、20代を中心に描いていますが、とにかく凄まじい日々を送っているなと思いました。次々と出てくる展開に、もうお腹いっぱいなくらい濃厚でした。
    銀花が抱える苦悩、力強く生きようと奔走する姿、愛の力など骨太なんだけれども優しく愛のある文章にグッと惹きよせられました。
    血は繋がらなくても「家族」としての在り方や絆が、良いも悪いも、この作品の醍醐味でもあり、圧巻でした。

    時たま、時代背景として、昭和や平成の出来事が登場し、懐かしむ人がいるかと思いました。若い人にとっては、新鮮な感覚で楽しめるかと思いました。
    比較的現代に近い時代を描いているのですが、どことなく時代小説を読んだ感覚がありました。時代劇もいけるのではと思ってしまいました。

    また、醤油蔵内での家族の物語が中心でしたが、世間での空気感、経営状況についての描写が個人的には少なかったので、どのようにして経営を保っていたのかが気になりました。倒産してもおかしくないのではと要らない考えが思い浮かんでしまいました。
    心に染み入る作品で、ちょっとディープな朝ドラを見ているようでした。

  • 座敷童の言い伝えが残る歴史ある醤油蔵の実家に身を寄せることになった銀花。蔵に縁のある人々のさまざまな人生や因縁、そして自身へ降りかかる災難を経ながら、彼女が蔵を背負っていく姿を描いた物語。

    登場人物にこれでもかと業を背負わせる小説の多い作者ですが、このお話でも例外ではなく、銀花の幼少時からの境遇はあまりにも「かわいそう」なところも少なくありません。それでも前を向き自身の矜持を持って生きていく姿が颯爽としていて、不安定なほかの登場人物たちに影響する柱として頼もしくすら見えてきます。

    終盤までぞろぞろと浮かび上がってくる様々な登場人物たちの秘密や真実は、どれもが明るくないものばかりでしんどさを感じさせますが、それでも彼らはしっかりと生きたし、「かわいそう」と寄り添ってくれる人も得られたという事実には、真摯に日々を生きていくことの大切さを思うのでした。

    主人公の語尾に、「~やよ」と多用されているんですが、実際耳にすることもあり自身もたまに使うだけあって、とてもやわらかなニュアンスに聞こえたのも個人的にはほっとさせられる点でした。

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著者プロフィール

遠田潤子
1966年大阪府生まれ。2009年「月桃夜」で第21回日本ファンタジーノベル大賞を受賞しデビュー。16年『雪の鉄樹』が「本の雑誌が選ぶ2016年度文庫ベスト10」第1位、2017年『オブリヴィオン』が「本の雑誌が選ぶ2017年度ベスト10」第1位、『冬雷』が第1回未来屋小説大賞を受賞。著書に『銀花の蔵』『人でなしの櫻』など。

「2022年 『イオカステの揺籃』 で使われていた紹介文から引用しています。」

遠田潤子の作品

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