人でなしの櫻

著者 :
  • 講談社
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感想 : 58
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  • Amazon.co.jp ・本 (298ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784065269817

作品紹介・あらすじ

父が監禁した女を愛してしまった。

己を衝き動かすのは血か欲望か。人間の業の極限に挑んだ超問題作。

京都に住むしがない日本画家の清秀のもとに、ある日急を告げる電話がかかってきた。
呼び出された場所に行くと、かつて絶縁した父親の死体と、裸の血まみれの女、蓮子がいた。
女は、死んだ父親に十年監禁されており、誘拐前の記憶がなく八歳のままの精神状態だった。
一目見た瞬間、蓮子に心を掴まれてしまった清秀は、それでもこの前代未聞の醜聞から蓮子を救おうと奔走する。
だが、運命の歯車は、清秀の意思とはかけ離れたところへと大きく舵を取り始めたのだったーー。

感想・レビュー・書評

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  • 清秀の伯父の治親が言った「芸術家の正義は世間の正義ではない」この言葉がこの作品を言い表しているのではないかと思いました。

    8歳の時に親元からさらわれて監禁生活を11年送った連子。
    誤って、監禁していた康則を殺してしまいます。そして救い出されますが、今度は康則の息子の清秀と逃亡。
    康則は老舗料理店の経営者で、清秀は康則とは親子の縁を切った日本画家でした。

    命の短いことを知っている清秀は連子の画を命の続く限り描き続けます。

    歌は「ジェ・トゥ・ヴ」。
    清秀の自死した母が好きだった歌。
    蓮子も大好きな歌「ジェ・トゥ・ヴ」。
    「あなたが欲しい」。
    清秀も、康則も蓮子を欲しがりました。
    自分の欲望と狂気ゆえに。
    彼らは欲しかっただけで、本当に愛していたのは自分自身だったのではないかと思いました。
    自分の作った料理を「美味しい」と言って食べてくれる蓮子。
    自分の描く画のためにどうしても必要だった蓮子。

    この作品は通常の価値観で読めばとんでもない犯罪の話ですが、この世界観が好きな方にははまる作品かもしれないです。

    • くるたんさん
      おはようございます♪

      星4つですね♪そしてレビューになるほど♪

      少女を監禁…の設定がどうにもこうにも受け付けませんでした。
      のみこまれる...
      おはようございます♪

      星4つですね♪そしてレビューになるほど♪

      少女を監禁…の設定がどうにもこうにも受け付けませんでした。
      のみこまれるような筆力は遠田さんらしかったけど^^;

      ほんとうに評価わかれる作品ですね。
      2022/05/12
    • まことさん
      くるたんさん。おはようございます♪

      正義感の強い常識人の方なら、この設定は受けつけられないかもしれないですね。読んで、納得しました。
      ...
      くるたんさん。おはようございます♪

      正義感の強い常識人の方なら、この設定は受けつけられないかもしれないですね。読んで、納得しました。
      星は私はたいてい4つか5つつけます。
      私は、これを創られた物語として読みました。
      実際、こんなことがあったら、毎日トップニュースで報道されて、えらいことになると思います。
      でも、8歳の知力の蓮子は一体、最後、どこに消えたのか気になりました。
      2022/05/12
  • "吐き気がする"

    作中に何度か出てくるこの言葉

    まさに、"吐き気がする"そんな作品


    天才料理人の竹井康則は十一年にわたり少女を監禁、飼育する
    その息子、画家の清秀も同じ女に魅了される
    余命宣告をうけている清秀は女を連れ、残りわずかな命が尽きるまで女を描こうとする

    華麗な才能の持ち主は常人とは異なる思考を持っているのか…
    一般ピープルの私にわからない…
    二人がしていることは単純に犯罪ですけどねw


    始めは被害者である女、蓮子がかわいそうと思っていたが、読み進めていくうちに自分の中で少しずつ感情に変化が

    監禁、洗脳されて、正常な理解能力を失っていたとは言え、「描いて。あたしを描いて。あたしが壊れるまで描いて」と絶叫する蓮子に恐怖を感じる…

    清秀と蓮子のこの執着はなに!?
    愛なの!?なんなの!?
    って、思ってしまう自分がおかしいのか…

    遠田作品を何冊か読み、私の思考も心も少し変になり始めているのかな…(ー_ー;)

    • 1Q84O1さん
      『続・科挙ガチってみた』出ませんかね〜w
      まぁ、もし!もしですよ!出ても喜ぶのは我々だけでしょうけど…^^;
      『続・科挙ガチってみた』出ませんかね〜w
      まぁ、もし!もしですよ!出ても喜ぶのは我々だけでしょうけど…^^;
      2024/01/25
    • かなさん
      1Q84O1さん、おはようございます!
      この作品の表紙、素敵なんでちょっと興味がありましたが、
      う…ん、吐き気…か(^-^;
      しかも精...
      1Q84O1さん、おはようございます!
      この作品の表紙、素敵なんでちょっと興味がありましたが、
      う…ん、吐き気…か(^-^;
      しかも精神崩壊…??
      でも、ちょっとまた読みたくなった私がいます(^-^;
      2024/01/26
    • 1Q84O1さん
      かなさん
      表紙素敵ですよね!
      綺麗です!
      ですが、内容は綺麗ではないです…w
      遠田さんなので綺麗な内容のはずはありませんが…w
      どうですか?...
      かなさん
      表紙素敵ですよね!
      綺麗です!
      ですが、内容は綺麗ではないです…w
      遠田さんなので綺麗な内容のはずはありませんが…w
      どうですか?興味が残っている間に読んでみますか?w
      2024/01/26
  • なんとも凄まじい物語でした。
    八歳の少女を誘拐、人身売買、監禁……飼育
    この設定に嫌悪拒絶する方には読めない作品です。

    そんな読み手の感情は想定内だと言わんばかりの今回の遠田作品…「狂気」と「愛」

    誰もが知る老舗料亭の主人である父親が殺された…
    殺したのは11年監禁されていた女・蓮子だった。
    そして蓮子に魅入られた日本画家の息子・清秀は自らの作品の為に蓮子を連れ出し…と、息子もまた拉致監禁と言う同じ道に堕ちていくんです。

    人生を壊され心を壊された蓮子
    身勝手な欲望のみで蓮子を買った父親は鬼畜、とにかく許せない。

    ただここから画家・清秀の凄まじい狂気の世界に読んでるこちらもドップリとはまって行くんですよ

    全身全霊で求める相手を失った蓮子が同じように自分を求める清秀に囚われていきます。

    とにかく絵を描きあげさせてあげたい!
    落款押して絶命させてあげたい!
    地獄に堕ちても蓮子を描くと言った清秀と蓮子

    これも狂気の末の一つの愛の形でした。
    そう思うわたしはかなり歪んでます(*_*)



    • みんみんさん
      あれ?メロリンって
      めろん?メロン?あれ〜⁇
      わたしボケちゃったか(°_°)
      あれ?メロリンって
      めろん?メロン?あれ〜⁇
      わたしボケちゃったか(°_°)
      2023/05/01
    • 土瓶さん
      メロン。
      メロリン。
      メロリアン。
      基本の三段活用はおさえておいて下さい。テストにでますよ。
      応用でメロリーヌ、メロリニスト、も覚え...
      メロン。
      メロリン。
      メロリアン。
      基本の三段活用はおさえておいて下さい。テストにでますよ。
      応用でメロリーヌ、メロリニスト、も覚えておくといいでしょう。
      2023/05/01
    • ひまわりめろんさん
      めろんだわ
      めろんだわ
      2023/05/01
  • 妻子を亡くした日本画家の清秀のもとにかかってきた電話。
    それは、絶縁した天才料理人といわれる父の死だった。
    そして、その家には11年にもわたり父が密かに匿っていた少女がいた。
    父を憎悪する気持ちに変わりはないが、19歳の蓮子に惹かれる。
    描きたい気持ちが抑えられずに妻子を亡くした古家に連れて行き、死に際まで描き続ける。

    なんとも親子の業の深さにことばを失くすほど。
    描き続けることの執念も蓮子に執着する気持ちも壮絶さしかない。
    父や母の愛情を知らずに育ったからこそ、余計に愛ではない怖さや畏れを感じてしまった。



  • 穢されていくような一冊。

    愛の劇場ならぬ自己満足劇場⁇

    読み手を引き摺り込むのはやっぱり遠田さんらしい。

    そしてこれでもかというぐらいの美と強さに包まれた言葉たちが心に押し寄せるのも遠田さんらしい。

    なのにせっかくのその言葉たちが次々と穢されていくような感覚だった。

    まるで満開の桜の花が咲くたびに黒く穢され、踏み潰されていくような感覚。

    美、芸術を隠れ蓑とした欲望の世界に言葉が出ない。

    常人を逸脱したものが極めた先に待ち受けていたのは、異常と狂気。

    それは人たるものを脱ぎ捨てる世界。

    淋しきかな、涙も桜も…得られなかった。

    • まことさん
      くるたんさん。こんにちは♪

      このレビュー、夕べ拝見したのだけど、今、もう一回拝見したら、星が2つしかないですね~。
      私も、昨日、遠田...
      くるたんさん。こんにちは♪

      このレビュー、夕べ拝見したのだけど、今、もう一回拝見したら、星が2つしかないですね~。
      私も、昨日、遠田さんのこの作品、図書館で借りてきたけど、他に今6冊本が図書館から一斉にきてしまって、全部は読み切れないんだけど、どれをあきらめるか、考え中なんだけど、この作品は、読まなくてもいいかな~。くるたんさんどう思いますか?
      2022/05/07
    • まことさん
      くるたんさん。

      相談しておいてなんですが、やっぱり他の方のレビューを拝見していたら読みたくなってきました。他の作品をあきらめることにし...
      くるたんさん。

      相談しておいてなんですが、やっぱり他の方のレビューを拝見していたら読みたくなってきました。他の作品をあきらめることにしようかと思っています(__)。
      2022/05/07
    • くるたんさん
      まことさん♪こんにちは♪

      私のレビューは気にしないでくださいね〜^^;

      これは評価わかれそうな作品かな。
      たぶん芸術に疎い私だからかな〜...
      まことさん♪こんにちは♪

      私のレビューは気にしないでくださいね〜^^;

      これは評価わかれそうな作品かな。
      たぶん芸術に疎い私だからかな〜^^;


      あ、スピンオフもあるから良かったら読む前にどうぞ。
      noteだったかな。検索してみてください。

      まことさんのレビュー、楽しみです♪
      2022/05/07
  • ひたすら絵に打ち込む姿は鬼気迫るものがあったが、もうひと展開欲しかった。。
    これに尽きる。

  • ◆人の業と負の連鎖からの解放 [評]青木千恵(書評家)
    人でなしの櫻(さくら) 遠田潤子著:東京新聞 TOKYO Web
    https://www.tokyo-np.co.jp/article/174762?rct=book

    『人でなしの櫻』(遠田 潤子)|講談社BOOK倶楽部
    https://bookclub.kodansha.co.jp/product?item=0000361568

  • 白墨と同じような情念を感じさせる。自ら体験せずにこう言う話が創作できるのは好き嫌いを超越してすごい。ちょっとなんでこう言うプロットを思いついたのか、聞いてみたい気がする。

  •  不遇の画家が、憎む父に抗いながら自身も少女に惹かれ、破滅なのか究極の表現の追究なのか、突き動かされていきます。
     遠田作品特有の「不穏」「不条理」「人間の性(さが)」が溢れ、頁をめくる手が止まらないのですが、読後感の個人的満足度は、もう少しかなと感じました。
     『雪の鉄樹』の衝撃以来、遠田作品がクセになっていますが、慣れなのでしょうか、それとも期待し過ぎなのでしょうか…。

  • 時々ある
    「なんでこの話を書いたんだろう…」

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著者プロフィール

遠田潤子
1966年大阪府生まれ。2009年「月桃夜」で第21回日本ファンタジーノベル大賞を受賞しデビュー。16年『雪の鉄樹』が「本の雑誌が選ぶ2016年度文庫ベスト10」第1位、2017年『オブリヴィオン』が「本の雑誌が選ぶ2017年度ベスト10」第1位、『冬雷』が第1回未来屋小説大賞を受賞。著書に『銀花の蔵』『人でなしの櫻』など。

「2022年 『イオカステの揺籃』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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