旅する力: 深夜特急ノート

著者 :
  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (289ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103275138

感想・レビュー・書評

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  • 沢木耕太郎らしい、深夜特急の裏話。文章力もないようも精錬され、とても面白い。

  • 「深夜特急」を読んだのは25歳くらいのとき。会社に入って3年くらいが経って、その先の人生に少し迷いが高まっていた頃でした。沢木さんがこの旅に出たのは26歳のとき。本と自分の世界がちょうど重なって、自分も新たな世界に踏み出そうかとかなりホンキで考えてたときに勇気を与えてくれた作品でした。

    本書は、「深夜特急」の長いあとがきといえるもの。沢木さんが旅をするようになったきっかけから、作家としての生活、そして「深夜特急」の旅に出るまでや、帰国後「深夜特急」が書かれるまでのエピソードなどが紹介されています。

    旅にはその種類ごとに適齢期がある。旅は人を変えるけれど、変わる人と変わらない人がいる。人生を変えるようなことはそう何度もあるものではない。だから旅には出られるときに出るべき。

    沢木さんの語る旅について、人によっては旅そのものではなく、人生と置き換えて読むこともできるだろう。一所懸命。その場そのときの当事者として、チャンスは逃さない。さりげなくそんな強い気持ちを与えてくれる一冊。

  • 「深夜特急」の旅にまつわる、沢木さんのノート。

    旅に限らず、日常においても私の参考書にする。
    落ち着いた口調なんだけど、本当にロマンがあるな!

  • 大学生の時に夢中で読んだ深夜特急がどのうようにして出来上がったのかがわかった。
    その年代にしかできない旅の適齢期があることに共感した。

  • 旅とは何か、興味深い題を語った<旅>論。

    「旅は、自分が人間としていかに小さいかを教えてくれる場であるとともに、大きくなるための力をつけてくれる場でもあるのです。つまり、旅はもうひとつの大きな学校でもあるのです。」

    そんな旅に無性に出たくなる。適齢期らしいし。

  • 今週は、ずっとインドへの出張で本があまり読めてませんね。。。

    沢木耕太郎著「旅する力」新潮社(2008)

    旅とはなにか、なぜ旅へとかき立てられるのか。学生時代の沢木耕太郎の紀行文学「深夜特急」との出会いが、自分自身を世界一周のた旅へと導いた。本当に、なぜ、自分が一年も大学を休学してまで、一年を超える旅の出たのだろうか?大学を卒業してこのままみんなと同じように就職していく人生に疑問を感じたためだ。本書「旅する力」は著者の沢木が「深夜特急」の中で明かしていなかった秘話の数々を書いた本だった。今回12月のインド出張時に、成田空港のツタヤで購入し、インド行きのフライトの中で一気に読んだ。またバックパッカーの旅、そして若さというエネルギーが恋しくなった。また、世界一周をやりたいというのではなく、歳をとったいまだからこそ、もう一度、世界一周の旅で学んだことを思い起こしてみようと。きっと、若いときとはことなる気づきが得られると思っている。

    著者と同じように、自分が旅で学んだことの一つに自分の無力さを自覚できたということだ。たった一人では生きていくことができないということを学んだ。すごく小さな人間なのだということを。だからといって無力を嘆くことはしない。自分の人間としての尺度を自覚しつつ、ものごとに挑戦できるようになったためだ。旅で得た大きな収穫だった。

    どんな旅も年齢を問わずにできると著者はいっている。しかし、ある年齢でしかできない旅というものも絶対にある。お金も経験もない20代の最初の頃の焦燥感を抱えながら異国を歩く旅と、定年後のゆったりとした気持ちで出かける旅とでは濃度や密度や質が異なるような気がすると。

    まさに、同じようなことだと思う。若い頃に感じた自分の無力さ。これと、経験や自信を得た人間が考える無力さでは異なる気がする。今の自分を見つめ直しながら、新たな挑戦、夢を再構築する時期なのかもしれない。

  • フレドリック・ブラウンが『シカゴ・ブルース』というミステリー小説の中でこんなことを書いている。
    「おれがいおうとしたのはそれだよ、坊や。窓の外を見たり、何かほかのものを見るとき、自分が何を見てるかわかるかい?自分自身を見てるんだ。ものごとが、美しいとか、ロマンチックだとか、印象的とかに見えるのは、自分自身の中に、美しさや、ロマンスや、感激がある時に限るのだ。目で見てるのは、じつは自分の頭の中を見ているのだ」青田勝訳

    141ページからの引用。
    では、旅先に行っても感動できないというのは自分自身の人間性が乏しいということ?もちろん同じ景色を見ても受け止め方は様々だし、一般的に美しい風景を見ても何とも思わない人もいれば、ガイドブックに載らないような光景に感動する人もいる。
    どうすれば感受性を高めることができるのだろう。旅というのは感受性を鍛える場ではなく、自分の感受性がどれほどのものかテストする場ということか。社会に揉まれていると年々それは薄れていくような気がするが…。

  • 恐れずに。
    しかし、気をつけて。

  • 『深夜特急』のめっちゃ長いあとがきって感じ。

    あの旅が彼に与えた影響を思い返し・・・・
    あの本が社会に与えた影響に驚かされ・・・・
    そんなことがつらつらと書かれてます。

    旅の仕方なんて、ホンマに人好き好きやと思うし、別に彼の真似をしようとは全く思わなかったけど、感性の部分でやっぱりこの人は尊敬できる。
    ここまでものごとをいろんな切り口で見れる人って、あんまおらん。
    あと、自分自身との向き合い方というか、主観と客観の使い分けがうまい。
    こういう力を、この人がどうやって身に付けてきたのかをもっと知りたい。
    おそらく、旅に出る前からそういう力を持った人やったと思う。

    そういう力を身に付けて、オレも早く旅立ちたいwww

  • 旅を意識した学生時代の一人旅に始まり、「深夜特急」を書き上げるまでの「旅」をテーマにしたエッセイ集。本をほとんど読まない学生だった自分が夢中になって読みつくしたあの「深夜特急」の作者だけに、洞察力のある文章で旅の本質を語っており、経験に基づくだけに重みがあり共感する部分が多い。
    エッセイを読んで分かったことだが、著者は親の世代であり、デリーからロンドンまでのユーラシア大陸を乗り合いバスで移動すると言う旅が敢行されたのが、1970年代とのこと。今でこそ日本人のバックパッカーは世界中に溢れているが、当時は物珍しかったことだろう。何人の若者が、この小説に魅入られて旅立って行ったことだろうか。

    著者は自身の深夜特急の旅を振り返り、もう二度と出来ない「取り返しのつかない旅」と呼んでいる。自分のこれまでの旅を思い起こすと、取り返しのつかない旅は何だったかと自問する。たとえ今の年齢でまったく同じ行路を辿ったとしても当時の旅は再現できないのは確かだろう。

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著者プロフィール

1947年東京生まれ。横浜国立大学卒業。73年『若き実力者たち』で、ルポライターとしてデビュー。79年『テロルの決算』で「大宅壮一ノンフィクション賞」、82年『一瞬の夏』で「新田次郎文学賞」、85年『バーボン・ストリート』で「講談社エッセイ賞」を受賞する。86年から刊行する『深夜特急』3部作では、93年に「JTB紀行文学賞」を受賞する。2000年、初の書き下ろし長編小説『血の味』を刊行し、06年『凍』で「講談社ノンフィクション賞」、14年『キャパの十字架』で「司馬遼太郎賞」、23年『天路の旅人』で「読売文学賞」を受賞する。

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