あのひとは蜘蛛を潰せない

著者 :
  • 新潮社
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感想 : 130
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  • Amazon.co.jp ・本 (222ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103319627

感想・レビュー・書評

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  • 母親の過干渉の中で暮らしていた28歳の梨枝。仲が良ければ話は別だが、こういう威圧的な母親の多くは自分も不幸だし、娘も不幸になっていくのではないだろうか。そんな梨絵が不慣れな恋愛に出会い母の元から離れ一人暮らしを始める。相手は20歳の大学生の三葉。手探りの恋愛の中で、自分の母親と同じように恋人に対して過干渉になる梨絵の姿が悲しかった。「バファリン女」や「蜘蛛を潰せなかった男」など、気になる脇役がキラッと光る。8歳の差のある二人の恋。三葉だって20歳なりに「痛み」があった。お互いの痛みを共に超えてゆけ。

  • この主人公は自分かと思った、自分だと。
    人に嫌と言えないのは何でだろう、自分が傷付けばすむと思うのは何でだろう
    母と娘の難しい関係、私もどこかで同じように息子を縛っていないだろうかと

  • 蜘蛛はどんなにちっさくても潰さんよ。恋人じゃなくても、だれかそばにいないと。わたしも本ばかり読んでていいのかな。

  • 渋谷のツタヤで見つけた
    椎名林檎が帯で絶賛してた
    病んだ内容なのだろうと
    思ったが
    意外と健全だった

    いまは母親との確執は
    根強くあるみたいね

    同じ考え、同じことしないと
    いけないみたいな

    昭和の一世代の特徴な気がする
    戦争とか高度成長とかの
    影響だろうか

    日本の歴史的には
    本の一時期の発想なのに
    絶対的なものと思ってる

    それだけ特別な時代だったの
    だろうか

    厄介だ

    彩瀬まるの他の本も読んでみよう。
    20代みたいだが
    人生に熟成した感があり
    すごいと思う

    微にいり細に入り
    丁寧にそして確実に
    書かれている

    そのうち芥川賞とかとるだろう

  • 28歳実家暮らし処女、育ちがよくてまじめな性格で、周りの評価を過剰なほどに気にする、主人公。
    境遇も性格も私と重なる部分ばかりで読んでて苦しかった。
    一言で表せば、普通のどこにでもいる女性が恋愛を通して成長するという、平凡すぎる話なのに、ここまで作品にのめり込むことができたのは作者の表現力がすごいからだろうな。
    心に残る作品でした。

  • 28.1.24

  • 「かわいそう」っていやな言葉なのかもしれない。だって、自分より幸せそうに見える人には使わないでしょう。ある状況で、自分より不幸だと思っているときに使う言葉。なんだかうかつに口にできなくなりそうだ。

    主人公にはとても共感できた。
    自分が思っていることをいざ口に出してみると、途端に色が変わっていくみたいに、それはもう私の中にあったものと違うもののように思える。相手にわかってもらいたいのに、その半分も伝えられていない。むしろ違う風に捉えられてしまうことに、いつも複雑な気持ちだけが残る。誰かに自分の思いを伝えるむずかしさ。

    それから、主人公の年下の彼氏。
    つらく悲しい思い出のはずなのに、そこに居続けてしまうのは、なぜだろう。自分を落ち着かせるため。慰めるため。酔いしれるため。それを超えるものが、ないから。時間がそこで止まっている。幼少期のトラウマはなかなか消えないものだけれど、そのまま大人にならざるを得なかった彼が、主人公と出会ってどのようにそれを乗り越えていくのかがポイント。

    自分の心にあるわだかまりを誰かに話せたとき、それがすぐに受け入れてはもらえなくても、認め合えれば、きっとその人は失ってはいけない大切な人なんだ。

  • 帯のところに R-18 って文字があったので、ドキドキしながら読み進めるも そういう類ではなかったです^^;

    でもハマってしまって1日で読みました。

    周りの誰かにどうこう思われる っていう意識は日本人なら少なからずあるはず。

    自分の枠からなかなか飛び出せない人にオススメです。

  • 薬局で店長として働き、実家できちんとした厳格な母と同居する28歳女性の物語。
    みっともないからこうしない、ああしなさい、と言われた経験は誰にもあるだろうが、主人公もまたそんな母に辟易とし始めたところに薬局に20歳のバイト三葉くんが入ってくる。


    以下、良いなと思った文書。

    秘密を打ち明けられることは嬉しい。なにかを差し出せることはもっと嬉しい。まじないみたいだ。甘い菓子でできたまじない。

    嫌なことをされたら跳ね返すって、こんな当たり前のことをうらやましがってたら死んじゃいますよ。それ、物事が自分ののみこめるキャパシティを超えたら、どうするんですか。

    よくわからない、のままにしているからいつまで経っても薄い闇が終わらないんじゃないか。誰が現れるのを待っているのだろう。その相手は、本当にこの世にいるんだろうか。

  • うへぇ、おんなおんなしてるね。
    まぁ、負の連鎖はよっぽどでないと断ち切れず、小さなぬるい世界がいちばんしあわせか。日本人ぽい。わかるけどな。
    まぁ皆病んでんでしょどこかしら。それは仕方ない。人間は愚かだからな。可愛いもんだな。

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著者プロフィール

1986年千葉県生まれ。2010年「花に眩む」で「女による女のためのR-18文学賞」読者賞を受賞しデビュー。16年『やがて海へと届く』で野間文芸新人賞候補、17年『くちなし』で直木賞候補、19年『森があふれる』で織田作之助賞候補に。著書に『あのひとは蜘蛛を潰せない』『骨を彩る』『川のほとりで羽化するぼくら』『新しい星』『かんむり』など。

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