カーテンコール!

著者 :
  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (280ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103513919

感想・レビュー・書評

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  • *幕が下りた。もう詰んだ。と思ったその先に、本当の人生が待っていた。経営難で閉校する萌木女学園。私達はその最後の卒業生、のはずだった――。とにかく全員卒業させようと、限界まで下げられたハードルさえクリアできなかった「ワケあり」の私達。温情で半年の猶予を与えられ、敷地の片隅で補習を受けることに。ただし、外出、ネット、面会、全部禁止! これじゃあ、軟禁生活じゃない! *

    初読みの作家さん。カーテンコール…題名からして温かい作品です。詰んだ、と思ったその先にも光があることを、若い人にも知ってもらいたい。その時に手を差し伸べられる大人でいたい。そんな風に思わせてくれる良作。

  • 閉校が決まった女子大で、卒業しそこねた学生たちを集めた半年間の特別補講合宿が行われる。ただ無気力に見えた彼女たちには、それぞれ特別な事情があった...。
    読み進めるにつれ、登場人物たちに親近感を抱いた。澄んだ気持ちになれる一冊。

  • 閉校後が決まった女子大。卒業できなかった学生たちが卒業のための寮生活を通して、個々の問題と向き合う物語。特に最終章が素晴らしかった。理事長があんなに学生たちに親身(優しい訳ではないけど)になのは、お姉さんに対する無念があるからなんだろうなってしんみり。最後の卒業式シーンの祝辞は、心が震えた。

  • 生まれたばかりの赤ちゃんの心の性別は誰も判定できないので、その点では、キラキラネームというのは悪くないかもと思う。『トオリヌケキンシ』の別ヴァージョン。勿論トランスジェンダーも妊娠出産も病気ではないけど。
    最終話の理事長のお話がハイライト。自分の努力や外部の協力で改善が望める場合と、外部からの圧力で回復困難な傷を負わせられるのとは雲泥の差があるな。金子みすゞをちょっと連想。千尋さんの場合、出戻りさえさせてもらえなかったのが悪質。子供は無理に流されたのか。大事な跡取りに愛された女への嫉妬か。でも夫も妻を愛したようには見えないが。結婚して初めて、妻が自分より優秀なのに気づいて、夫も妻に嫉妬したのかな。

  • やっぱり大好きです、加納朋子さん。
    あるときからこの作品が本屋で平積みされていて不思議に思っていたらテレビで紹介されていたんですね。
    著名な作家さんですが私のまわりでは認知度が低くて…
    加納朋子さんがより広く知られるきっかけとなり嬉しいです。
    これからも応援し続けます。

  • 萌木女学園は今年の春で閉校が決まっていた。しかし、何らかの事情で卒業できなかった人のための補講が行われることになった。それも合宿制で。それぞれ、何らかの問題や事情をかかえていて卒業できなかったわけで、年齢も同じ20代前半。社会に出る前に半年間の猶予期間を与えられたことになる。一方で、教えるのは理事長や、引退していた老教師陣。最初は途惑っていた学生たちも、だんだん理事長のペースに乗せられていく。なんと言っても理事長がいい。絶対、道楽でやっているでしょって思うけど、教育者としてのツボは押さえている。いくつかのエピソードが集まって一冊になっているのだけれど、本全体が、女性、特に若い女性へのエールになっている。お勧めです。

  • 登場人物が次々と出てきて、他の人から見たそれぞれの登場人物の姿もうつっていて、最初は混乱したけれど、色々な視点で物語を追っていくことは楽しかった。とても優しい作品でそれこそ、一杯の白湯が物語の潤滑油みたいなそんな物語だった。内容はどちらかといえば人それぞれが持つ悩みだったり迷いのようなものにフォーカスしている作品。生きることは色々なものを背負っていくものだろうけどその中で経験するのは苦しいことばかりではない。ときに逃げる勇気とそのための知恵が必要であると。
    いまあるこの世の中がこの世の中なんだから、この世界をあたりまえにいきていくために必要なこととはなんだろうか。いかに自分を信じ、自分の舞台を素晴らしくいきていくのか。そんなことをまっすぐに描かれていたのかな。読み終わった後はほっこりしました。
    ひまわりのようにお日様に向かってまっすぐ伸びていくこと。明るい方へ、暖かい方へ。それは、素晴らしいことだと思います。

  • つぶれる女子大の卒業できないメンバーが補講を受ける、その中で繰り広げられる訳あり人間のドラマ。なんも先入観なく読んだらそれなりに面白いというか難しいことはなんもなくてあっという間に読めるので時間つぶしに。最後も爽やかに終わる。けど現実だったら生活や人生はずっと続くからそんなに甘くわないわな。

  • 女子大が閉校することになったのに、卒業「できなかった」彼女たち。最後のチャンスとしてぶちこまれた「女子寮」。そこで監禁状態の彼女たちが、見つけたものは……。温厚だけど厳しい、理事長先生の最後のわがままが涙。毒もありつつ、なところが加納さん。好き。

  • 閉校した私立お嬢様大学で単位が足りなかった学生たちの、卒業する為に半年の間外出、ネット、面会全て禁止の寮生活を送り特別補講を受ける傍らの私生活。心は男性の美少女、級友二人に百合萌えする小説書き、拒食症と肥満のルームメイト、死にたがり等六編の連作。訳有女子大生たちが水みたいに然り気無く滑らかに濃い。

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著者プロフィール

1966年福岡県生まれ。’92年『ななつのこ』で第3回鮎川哲也賞を受賞して作家デビュー。’95年に『ガラスの麒麟』で第48回日本推理作家協会賞(短編および連作短編集部門)、2008年『レインレイン・ボウ』で第1回京都水無月大賞を受賞。著書に『掌の中の小鳥』『ささら さや』『モノレールねこ』『ぐるぐる猿と歌う鳥』『少年少女飛行倶楽部』『七人の敵がいる』『トオリヌケ キンシ』『カーテンコール!』『いつかの岸辺に跳ねていく』『二百十番館にようこそ』などがある。

「2021年 『ガラスの麒麟 新装版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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