カーテンコール!

著者 :
  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (280ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103513919

感想・レビュー・書評

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  • 経営不振により閉鎖することが決まった丘の上の女子大学。しかしながら数々の救済措置をかいくぐって、単位不足により卒業ができないことが確定した女子学生が複数名。
    筋金入りの落ちこぼれたちを寮に集めて徹底した「補講」を行う春から夏への物語だ。

    短編ごとに、さまざまな事情を抱えて卒業ができなかった女子学生たちが主人公となって登場するのだけれど、言い訳が多い彼女たちの性格や人間関係にいまいち共感ができなかった。

  • いつも飄々としている理事長の学生たちへの最後のメッセージに感動して涙が出ました。

    『もう駄目だ、耐えられないと思った時、自分の足で逃げられる力を、今のうちに育てて下さい。そして、自分の言葉で、直接助けてと言える人を探して下さい。我と我が身を救うための、知恵と勇気を身につけて下さい。』

    『あなた方は未来の自分に対して、きちんと責任を持つべきなのです。未来の自分に、過去の自分が選び、成してきたことを悔やませてはならないのです。』

  • 多感な時期の女子大生のオムニバス。一人一人が抱える悩みは様々な形で家族から与えられた時限爆弾のような毒だ。それらは長い時間をかけて心を蝕み、人間としての生活を危うくする。そんな状況に置かれてもなお救いの手を差し伸べてくれた角田理事長の器の広さと、物語の終盤にわかる切なさが彼女たちを少しだけ救うことになる。
    まだ若い人生において、未来を見据えて適切な習慣を持つことが心と身体の健康に最も重要であることがわかる内容だった。
    自分も教育に携わる人間として、子どもたちの未来の一助になれるように環境作りをしていきたいと感じた。

  • いろんな人の人生を覗き見している気持ちになった。

    人それぞれ、色々な事情を抱えている。
    いろんな思いをもっている。

    その気持ちを分かることはできないかもしれないが、知るということはとても大切な気がした。

    何かあった時に「自分は素晴らしい」
    そう思えたら楽になるかもしれない。

  • 6話で構成された連作短編集。

    閉校が決まった萌木女学園を舞台に、理事長と学生たちが触れあい、少しづつ前を向いて行く物語。

    全体的に軽快なタッチで描かれているけれど登場する女子大生は皆それぞれに問題を抱えている。
    それも生易しいものではなくかなりヘビーな問題ばかり。

    タイトルと装丁の意味が解らないまま読み続けていくと、ラストでその答えが得られストンと心に落ちて来る。

    ひまわりの花言葉『あなたは素晴らしい』。

    誰もが悩み、立ち止まった時に勇気を貰え背中をそっと押してくれる素敵なメッセージ!
    ずっと覚えていたい魔法の呪文だ。

  • わけありの落ちこぼれ女子大生たちが、閉校する大学を卒業しそこね、半年の期限で集団生活をしながら卒業するまでの話。
    それぞれが持つ悩みや、苦しみをコメディタッチで書いてあるけど、それはなかなかに深く、謎解きのようにほぐされ、また理事長自身の哀しみの上にある愛情にじーんとくる。
    いろんな要素が詰め込まれた本。

  • 「一万円選書」で紹介されていた本の中で、まず読んでみようと思ったのがこの本。

    主人公が入れ替わるので短編連作のような感じでもあり、全てつながっているので長編のような感じでもあった。

    角田理事長がとにかく素晴らしい人物で、彼に出会えた学生達はとても幸運。問題を抱えている人をどんなに助けたいと思っても、現実はこんなにうまくいかないとは思うけれど、みんなが少しずつ変わっていって最後に光が見える感じで、読後感はとても良かった。

  • 心模様を繊細に感じ取れる面白本。

  • 各編の中盤以降で新たな事実が判明して、どの編も面白く読める作品。
    どの編も読後感良かったけれど、『鏡のジェミニ』が気に入りました。もう一方の視点で状況を見てみると、また違う見方に見えたり。“私(語り手)"が普通だと思っていたら実はそうでなかったり。(普通と言っても、『落ちこぼれ』たちが集まっているので、みんなどこか普通ではないのですが...)
    たとえ舞台に居残った人でも、どんな人でも、『それぞれの人生で自分だけが主人公。あなたは素晴らしい』と語る理事長の愛情あふれる人柄が素敵です。

  • 2021.8.2 読了


    今年度で廃校が決まった女子大で、
    いろんな理由から 卒業できなくなった
    何人かの女子たちのために
    理事長夫妻から、定年した先生たちを
    狩り集めて その女子たちを
    寮に入れて(ほぼ監禁状態)
    卒業させてあげようとする話。

    一人ひとりの 深刻な卒業できなかった理由を
    連作短編の形で 話が進む。
    そして、だんだん その子たちが
    成長してゆく様子が描かれていて、
    最後は 感動しました。

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著者プロフィール

1966年福岡県生まれ。’92年『ななつのこ』で第3回鮎川哲也賞を受賞して作家デビュー。’95年に『ガラスの麒麟』で第48回日本推理作家協会賞(短編および連作短編集部門)、2008年『レインレイン・ボウ』で第1回京都水無月大賞を受賞。著書に『掌の中の小鳥』『ささら さや』『モノレールねこ』『ぐるぐる猿と歌う鳥』『少年少女飛行倶楽部』『七人の敵がいる』『トオリヌケ キンシ』『カーテンコール!』『いつかの岸辺に跳ねていく』『二百十番館にようこそ』などがある。

「2021年 『ガラスの麒麟 新装版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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