- Amazon.co.jp ・本 (375ページ)
- / ISBN・EAN: 9784103534280
感想・レビュー・書評
-
小澤征爾と村上春樹の組み合わせにびっくりしたが、村上春樹のインタビュワーとしての誠実さ・率直さ、音楽に対する深く真摯な愛情が、小澤征爾をその気にさせ、極めて良質の本を作り上げている。小澤征爾と一緒に色々なベートーベンピアノ協奏曲3番をききながら、あれやこれやいい、カラヤンやバーンスタイン、マーラーについて語り尽くす・・・。何とも贅沢な一冊である。
それにしても、村上春樹の「音楽もの」は素晴らしい。どんなそのへんの音楽評論家の言葉より、その音楽の「核」のようなものを伝えていると思う。本当に音楽が好きで、その好きな気持ちを自分の言葉でしか語らないからであろう。自分は村上春樹の影響でジャズ(ポートレイト イン ジャズ)が好きになり、フルニエ(海辺のカフカ)の大ファンになった。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
どちらもすごい知識。
-
世界の小澤と村上春樹氏の対談形式のインタビュー本、非常に面白く愉しく読了。
小説は同じ村上でも春樹より龍 派ですが、今作に至ってはもう村上春樹 一体何者なの?!という程の音楽知識量、また聴き込み方で驚きました。
何しろ小澤さんとオケの細かいディテールや音楽的な聴き分け諸々を、対等に語り合っている。
もともと音楽好きとは知っていたけど、この聴き方はもう確実にマニア。脱帽です。
小澤さんのフランクで熱く芯の通った性格の良さが会話の端々に浮彫になっていて微笑ましかったです。
自分自身も音楽を勉強してきましたが、ピアノ科だったのもあり、マエストロやオケの関係や繋がり、各楽器の名プレイヤーなどはあまり詳しくなかったので、その辺の流れも多くの人々と共演されてきた小澤さんの語り口でとても勉強になり楽しく読めました。
読みながら、是非BGMとして会話に出てくる作品をかけてみるのをお勧めします。
そうすると音楽がより身近に楽しいものになるかと。 -
とにかく村上春樹のクラシック音楽についての知識がすごい。
曲を知らないと面白くないかもしれないけれど、もう一度聴き返してみたい曲、欲しいCDが増えた。 -
小澤さんと対等に語り合う村上さんの音楽の知識の豊富さには驚きます。オーケストラを聴きに行きたくなりました。
-
村上春樹氏の音楽への造詣の深さとシロウトっぽさが絶妙で小沢征爾氏の話を深いところまで掘り起こしている様な気がした。小沢氏の振られた曲の数々、いろんな音楽家とのエピソードが本当に面白い。そして、言葉がわからなかったから残念なこともあったけれど、またそれで得をしたこともあると言う、小沢氏の飄々としたお人柄がきっとみんなに愛されたのだろう。最後の章での、若い人の育成に力をそそがれるところも素晴らしいと思った。
-
2010年11月から翌年の7月にかけて、様々な場所で(東京からホノルルからスイスまで)機会を捉えて、ここに収められた一連のインタビューを行った。
「サイトウ・キネンはどんなところで録音しているんですか?」
「ごく普通の劇場(長野県松本文化会館)でやってます。だから音が硬いっていうか、そんなに残響がないんです。わーんがない。今いちばん良いのは墨田区のトリニティホール。あれが今、東京の中では、レコーディングするにはいちばん良いホールだと思います」
2010年12月サイトウ・キネン・オーケストラ カーネギーホール公演
「管楽器といえば今回のホルンの人、とてもよかったですね」
バボラーク 「彼は今、サイトウ・キネンと水戸室内管弦楽団と、両方に来てくれているんだけれど、僕とすごく気が合う。今はベルリンをやめて、チェコに帰ったっていう話を聞いていますが」
ミラノで浴びたブーイング
楽団の演奏者たちはみんな僕を温かく応援してくれました。日本風に言えば、いわゆる判官贔屓っていうのかな、「この若いの、東洋から一人でやってきて、みんなにいじめられてかわいそうだ。俺たちがひとつ盛りたててやろう」みたいな。 -
飛び出す名前はクラクラするほどの偉人ばかり。興奮さえ覚えるほどで、同タイトルのCDを聴きながら、行きつ戻りつ堪能しながら読み終えた。世界に誇る指揮者と作家の対談が実現した事が奇跡に思える。時折は村上さんの知識の羅列がうっとしく感じる所もあるのだけど、小澤さんからこれだけの事を聞き出せたのは、その知識があったからこそだろう、と思う。多少クラシックを知らないと読みにくいとは思うけど、馴染みのある人には珠玉の一冊でしょう♪暫く買っただけで満足して飾り物にしてたなんてバカだった!欲しいCDが7枚増えた…。