小澤征爾さんと、音楽について話をする

  • 新潮社
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感想 : 280
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  • Amazon.co.jp ・本 (375ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103534280

感想・レビュー・書評

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  • クラシック音楽にはほぼ無縁の生活を送ってきた自分にも、とても面白く読めた一冊。著書を読んでわかっていたことだけど春樹さんの音楽への造詣の深さに改めて驚く。プロでもないのにその一音一音にこだわるのか。。。言わばクラシック版オタク対談。

    この本をきっかけに、今年はオペラを見に行ってみようと決めました。

  • 村上春樹とマエストロ小澤征爾の対談集。村上さんのレコードコレクションからベートーベンやマーラーなどを聴きながら二人が音楽について語る。もちろん中には小澤さんの作品も含まれていて、小澤さんとオーケストラの裏話を挟みながらの対談が心地よい。

    村上さんの音楽に対する知識の豊富さにはあらためて驚かされる。また、小澤さんが素直に村上さんにいろいろ質問するあたり、氏の飾らない人柄が感じられる。

    面白かったのは、小澤さんとの音楽に向き合う姿勢の違い。いくつもの作品を比べながらその行間を読むように聴く村上さんと、一曲のスコアの細部まで入り込んでいき、作曲者の意図を確かめつつ、自らの音をオーケストラとともに創りあげていく小澤さん。この音楽に対する姿勢の異なる二人が語り合い、何とも言えない良質なハーモニーが奏でられ、素晴らしい対談が創られる。そんな一冊です。

    音楽好きには最高の一冊。そして、対談集としても極上の作品だと思います。

  • 春に買ったまま、年末年始にようやく読むことができた。300ページを超えるからなんとなく敬遠していたけど、対談ということもあって、読み始めたら早かった。ブラームスの交響曲一番では、ホルンやフルートのパートが、ブレスがわからないように楽譜に指示があり、二人で吹かれているとは知らなかった。また、SKF松本にカラヤンやクライバーも誘っていたとの話にはビックリ仰天‼︎実現していたら、さぞ凄かっただろうなぁ。

  • 楽曲を聴きながら、昔の思い出を振り返る小澤さん、ほかに今取り組まれている教育活動についてなど、文豪である村上さんがインタビュワーとなって、音楽家小澤征爾を知る事ができる。カラヤン先生、レニーことレナードバーンスタイン、グールド、サイトウキネンと彼のファンまた音楽好きには興味深い内容です。

    この書籍に紹介された楽曲を改めて聞き直している楽しみが増えました。

  • とにかく全ての
    クラッシックファンに
    読んで頂きたいとんでも
    面白本です。
    マーラーに関して執拗に
    出てくるくどさや
    意外や意外カラヤン先生
    やレナード・バーンスタイン
    の素顔がありのまま
    垣間見えます。
    大ファンのユージン・オーマンディ
    のエピソードには笑えました。
    ロシアの指揮者やオーケストラ
    が出てくるともっと面白い本
    になったと思います。

  • 読みやすいのは村上春樹のおかげ。音楽の話はさすが小沢征爾。

  • 大病を患った小澤さんと、音楽を聴き込んでいる春樹さんが語り合う。
    ぜいたくな時間だ。
    それぞれの分野の第一人者の2人が思う存分、音楽を聴きながら、あゆんできた道を、今思うことをこれだけ時間をかけて、時にスイスに場所を移して話をする。
    芸術家としてのこれからの仕事、まだまだ進化を続けていくことをかんじさせる。

    久しぶりに『ボクの音楽武者修行』を読み返してみた。

  • 小澤さんが師匠からどう音楽を学んできたかという話が随所にあり、音楽好きとして非常に興味深く読めたのですが、それ以上に世界で競争する中で直面する様々な精神的な困難を、色々な形で目にすることとなり、強く勇気づけられました。

  • 村上春樹さんが、これほどクラシック音楽の造詣が深く、優れた聴き手であるとは、失礼ながら存じ上げませんでした。ジャンルが違う村上さん相手だからこそ、小澤さんも自らについて、自らの音楽について、本音で話されている、という感じが伝わってきました。
    お忙しい、そして体調も思わしくない小澤さんが、自らテキストとして残すことは困難なことだと思いますが、村上さんというよい聴き手であり良き表現者との出会いで、小澤征爾さん(の音楽)が言葉として残されていくのは、本当に価値のあることだと思います。
    小澤征爾スイス国際音楽アカデミーの章を読んでいたら涙がでてきました。
    これ、読んでると、先日発売されたCD欲しくなります。

  • 小澤征爾さんと村上春樹さんが一緒に音楽を聴きながら音楽について熱く語り合っているというスタイルの対談集。

    語り合っている音楽を実際に聴いたことがない音楽ド素人からすれば、内容が高尚すぎる感じがしてよく分からない部分が少なからずある。
    つい最近になって「『小澤征爾さんと、音楽について話をする』で聴いたクラシック」というCDが発売されたので、このCDを聴きながら読んだ方が理解が深まって良いかもしれない。
    もちろん、CDを聴かなくても、よく分からないなりに心が揺さぶられる文章と出会うことはできる。
    小澤征爾さんの言葉にならないくらいに自然な音楽感覚を、言語化して文章に置き換えるという作業は大変だったろうなと思うけれども、そこは「流石村上さん!」と思わず言ってしまうくらいに見事に分かり易くまとめて下さっている。
    というか、そういえば、俺これまでこういう話をきちんとしたことなかったねぇ、今まで考えたこともなかったよ、ハハハ…みたいな感じで、音楽の中にまさにどっぷり浸かって音楽に熱中できている小澤征爾さんの真っ直ぐでエネルギッシュな生き方が凄い。
    ちょっぴり羨ましい気さえするが、早朝に起床してから一人きりで真剣にスコアの読み込みや暗譜をし、そこから自分自身の音楽を紡ぎ出し、一日中音楽の事を考え、時間を忘れて音楽に没頭して…というような音楽一色の生活は、彼らのような非凡な人間にはできても低血圧で平々凡々な私には到底真似できそうにないのが残念でならない。
    小澤さんのように全身全霊をかけて音楽と向き合っている人が生み出す音楽が素晴らしくないはずがないと思う。
    そんな素晴らしい音楽を聴くことができるだけでも今の時代に生きていて良かったと思えるだろうし、こちらも全身全霊をかけてその音楽を聴かなければならないような気がする。
    何よりもまず、「音楽を聴く」という事それ自体を文字通り「楽しむ」ことが一番大事なんだろうなと思う。

    「良き音楽」も「良き文章」も、どちらも必要のない人にとってはあってもなくても困らないものなのかもしれないけれど、少なくともそれらを心の糧として生きている人がこの世界には存在している。
    たぶん、私もそんな少数の特殊な人間のうちの一人なのだろうなとこの本を読んでいて改めて思う。

    村上春樹と小澤征爾という二人の偉才の今後の活躍にますます期待が持てる一冊だった。

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