この世の春 上

著者 :
  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (397ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103750130

感想・レビュー・書評

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  • (2019-03-31L)

  • 美しくも厳しい自然に囲まれ、貧しいがゆえに大きなお家争いもない小藩、北見藩で、若き藩主が病のために家臣から押込にあい、代替わりするという事態が起こる。

    隠居した父親に付き添い、城下を離れてひなびた村で暮らしていた多紀は、亡き母親の出自が原因となって藩の一大事に巻き込まれていく。

    徐々に明かされていく過去の事件、押込められた元藩主の抱える病の深さ。どことどこが繋がっていくのかは皆目わからず、ただわくわくする。
    物語のすそ野が広すぎて、全貌がつかめないけれど、これはきっと大きくて素晴らしい山なんだろうという期待感がある。

    多紀をはじめ、登場する人物たちが心丈夫で優しくて、読んでいて楽しい一冊だった。

  • 一体どこまでが本当の重興なのだー!!!!

  • (ネタバレ)
    お館様は、多重人格者ということなのね。。 人間の体というのは不思議なもので、先日読み終わった 鹿の王といい、医学的な話が偶然にも続いたね。 多重人格といえば、アルジャーノンに花束をを思い出す。 そしてアルジャーノンといえば先日発見されたダウン症の 治療薬になりうる化合物に名付けられた。 なんだか、偶然がいっぱい重なってとってもタイムリーな テーマの本を今読めることってすごいなぁ・・ ・・にしても、宮部さんの時代小説はやっぱりおもしろい。 さてさて、どんな過去がつまびらかにされるのか。。。 下巻に続きます。

  • 時代物。ミステリ。
    思わぬ人の来訪から始まる。
    あれ以降ずっと気になってるけど、やっぱりキャラクターの思慮が一つ少ない気がしてしまう。気のせいだろうけど…。
    そしてやっぱり面白い。引きこまれる。

  • 図書館で予約待ちして、ようやく回って来た順番だけど、時代小説はなかなか読み進めないかなぁとしばらく手に取らず。いざ読みはじめても、言葉の意味がわからないところがあると億劫になり、だったのだけど、頑張って上巻の3分の1ほど読んだところですっかりハマり、仕事の時間以外朝も夜も読み続けました。早くどうしてそうなってしまったのか知りたい!!!

  • この先、どうなるのか!!
    ちょっとぐだくだ感はあるけど、続きが楽しみ(*^^*)
    非現実な話かと思ったら現実に帰ってきたね~。

  • 最初はまだ背景とか人物関係がよく分からずエンジンかかるまでに時間がかかったが、エンジンかかってからは一気読み。
    なかなかレアな設定。設定、というよりこの時代にちゃんと多重人格を多重人格人格として扱うのがレア。
    それぞれのキャラも生き生きしていていい。
    下巻が楽しみ。

    2018.12.25


  • 怖ろしい話だった。人の精神の不思議さや怖さが絡み合った物語をほどいていくお話。呪術に若干の違和感。最後は少し冗長な気も…もちろん面白かったんだけど!

  • 2018.12.19.読了

  • 孤宿の人を思わせる物語だが、ぞくぞくと這い上がってくるような怖さがあった。

  • 下巻でまとめて

  • 2018.11.4

  • 下野北見藩の元作事方組頭各務数右衛門の娘多紀は夜半に頻りに案内を乞う声で板戸を開けた。そこには小さな子供を抱いた女が立っていた。その女は父親の各務数右衛門を頼ってききたという。しかし父親もその女を知らなかった。そして、御用人頭の伊東成孝の嫡男を連れてきた乳母だという。伊藤成孝はお役御免になったので、隙をついて逃れてきたのだと。藩主を押し込める事件がこれから明らかになる。そしてその渦の中に多紀が巻き込まれるのも。

  • スゴいの一言

    かなり複雑なストーリー
    個人的にはもう少し軽い方が好みではあるが、、、しかしよくこんな幅のあるストーリーを考えられるなぁ
    改めてだが、宮部みゆきという作家の凄さを感じましたね
    いやースゴい

    時代小説です
    夜、ある家に一人の女性と赤ん坊が飛び込んでくる
    あまり付き合いの無い家から逃げてきたという
    父親はその客人を一休憩させてから近くのお寺に行くように伝える

    なぜ逃げてきたのかが分かってくる
    クーデターが起き、その辺りで一番えらい人?が捕らえられてしまい、その偉い人の一番の子分の子供が前述の赤ん坊の父親
    その一番の子分が原因で偉い人がおかしくなったという事で、その周りの人たちが偉い人は投獄、一番の子分は切腹にしたという
    女性は赤ん坊を育てる係で、そのような修羅場から赤ん坊を連れて逃げたのだ
    かねてから「なにかあればあそこの家にいけ」と言われていたという

    偉い人は多重人格のように描かれている
    その原因はまだ分からないが、偉い人の親父さんがある特殊能力を持った一族に非道な振る舞いをしてしまった事が原因ではないかというような描かれ方ですね
    ただ、その辺りは後半に向けてまだなにかありそう

    多重人格の人格も子供、女性、男性という3人?がいるのだが、子供がかなり分かってきていて、女性は最後にちょっと出始めたくらい
    3人目の男性はどういう人物なのか全く分かっていない状態

    何が「この世の春」なのだろう
    後編を読むのが楽しみ

  • 乱心の藩主を押し込めるところから話が始まるわけですが、『荒神』みたいなお話かと思いきや!なんとそう来ましたか…いわば時代小説らしからぬ時代小説と言いますか。時代小説では”憑き物”として語られる事態を、明確に”多重人格”として描くとは…あやかしものも多い宮部氏ですが、これはなんというか科学的視点を持った時代小説ですごく新鮮な感じがしてます。伏線も丁寧で分かりやすい(笑)ただ、何故このタイトルなのかがまだ分からず…いざ、下巻へ。

  •  地方の小藩である北見藩で突如、六代藩主・重興が強制隠居となり、山奥の別邸である五香苑に幽閉される。
     元作事方の各務(かがみ)家の出戻りである多紀は、老父と二人で片田舎にひっそりと暮らしていたが、藩主交代と同時に半ば強制的に五香苑へ連れて行かれ、先代の身に起こった不可思議な現象を知ることになる。そして先代藩主の元で専横に振る舞っていた御用人頭から、思わぬ自分の出自を知らされた多紀は、過去に起こった惨劇の余韻が一見おだやかに見える北見藩に今も残っていることを知る。

     読んでいる途中で、呪術を使った憑依ものなのかと思ったが、そのような単純なオカルト話ではなさそうだ。
     五香苑に働く人物や家臣たちの働き、何よりも秘密を握る先代藩主・重興と徐々に打ち解けていく多紀の心情がきめ細やかに描かれ、いつも通り丁寧すぎてもどかしい思いもするのだが、相変わらず物語に没頭させてくれる。
     重興の身に新たな妖異があらわれ、背中に冷や水を浴びせられたところで上巻は終了。

  • ご乱心のため押し込め(強制隠居)となった藩主重興。
    父の指示で幼い子供を助けたこともあり、元藩主の元に行くことになった多紀。

    果たして元藩主は多重人格者なのか、祟られているのか?

    謎は下巻に

  • 最初はつかみ所がなかったんだけど、読み進むほどに面白くなってきました。
    重興はどうなるのでしょうか?琴音とあの女は?
    そして半十郎が探索していることはどう繋がるのか?
    下巻が楽しみです。

  • 毎日新聞朝刊で宮部さんの連載小説がスタート、今年の初めに予約したこの本もようやく手元に届き、一気読み。
    久しぶりに宮部ワールドを満喫。
    下巻が届くのが待ち遠しい。

  • 凜とした雰囲気の多紀さんが格好いい。
    重興公は多重人格なのか?未だ謎のまま下巻へ…。

  • 多重人格の障害を持つが故に押込になった元藩主。
    この時代にしては珍しくそれを精神疾患と見做し、トラウマを解き明かそうと、奮闘する医師や周りの人たち。
    焼かれた村、神隠しに遭った子供たち、立派な藩主だったはずなのに馬に嫌われた父、「琴音」という名。
    だんだん駒が揃って来た感じです。
    早く下巻が読みたい!

  • 宮部みゆきの現代物は好きで良く読むが、時代物は
    初めて読んだ。
    人情物ではなく込み入ったサスペンスはやはり
    宮部みゆきならではの面白さだった。
    でも現代物の方が好きです!

  • 宮部さんの時代小説はほんとにおもしろい。北見藩藩主の重興は、成りあがりの伊東成孝に藩のことをまかせていたのだが、代々の家老衆によって乱心を理由に「押込」と隠居させられた。重興は別邸・五香苑の座敷牢に幽閉され、成孝は切腹した。重興を救おうと各務多紀、多紀の従弟の半十郎、五香苑の石野、お鈴、医師の白田、周りの人々がそれぞれの個性がしっかり描かれていて徐々に乱心の原因の謎が明かされていく。これからどういう風に進むのか、早く下巻が読みたい。

  • やはり長編は良い。

    登場人物のひとりひとりがきっちりと描かれ、
    次から次へと起こる出来事に反応して、
    変化したり、変化しなかったりとストーリーが動いていく。

    「押込」といつか読んだ本の題材から始まっているのには、
    ちょっと驚いた。
    出戻り娘の多紀が、隠居した元作事方組頭の父と静かに暮らしている…はずだった。

    多紀が死者の魂の降霊を行っていた村の血縁であることがわかり、
    「押込」られた殿が死者の亡霊にとりつかれていると告げる者があった。
    これはホラー話なのか、と思った。
    いや、思わされた。

    (下巻へ続く)

  • 大殿を自らの手で命の火を絶った重興。彼の中から出てくる、琴音と、不気味な女、そして怒りをあらわにする男。
    彼の中ではこの3人が、何かの拍子に登場する。
    琴音は、一松(重興)を守るために出てきた幼子だ。
    では他の二人は…
    彼らもまた、重興を守るために、悲しみや怒りや、あらゆる感情を引き受ける、別人格だ。

    本書は時代小説の体裁を取っているが故に、重興の身に起こったおぞましい出来事が、薄衣に包まれ、読み進めることができる。
    しかしながら、もしこれが現代劇であれば、とても正視はできまい。

    桐葉という女、そしてその父が会得した能力は、呪いである。人はここまで悪意をむき出しにできるのか、悪意のみで、何の関係もないものや我が子を苛むことに何のためらいもないのか、それがただひたすらに恐ろしい。

    その一方で本書は再生の物語でもある。そこに希望があるから、このおぞましき事件は呪いの事件から祈りの事件へと変遷した。
    ねがわくば、花の下にて我死なん。
    そんな言葉を思い出した。

  • 時代物なのに多重人格の話をぶっ込んできたり、いつしか読者を物語にひきこんでしまう技はいつもながら秀悦。早い段階からこの話のとりこになり夢中で読み進めちゃいました。
    それぞれの登場人物のキャラも立っていて下巻での展開が見逃せない。

  • 面白い!!
    これは一気にいけますね。
    誰もがもっともな事を話しているけれど、何だか疑惑の気持ちが出てきたり、真実はどこにあるのか?
    人の心は、言葉で語れるものなのか、語れないものなのか。
    そうだって言われると、そんなような気がしてくるので、この眼で見て判断出来るように、強くなりたい。

  • 時代物はやや苦手。

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著者プロフィール

1960年東京都生まれ。87年『我らが隣人の犯罪』で、「オール讀物推理小説新人賞」を受賞し、デビュー。92年『龍は眠る』で「日本推理作家協会賞」、『本所深川ふしぎ草紙』で「吉川英治文学新人賞」を受賞。93年『火車』で「山本周五郎賞」、99年『理由』で「直木賞」を受賞する。その他著書に、『おそろし』『あんじゅう』『泣き童子』『三鬼』『あやかし草紙』『黒武御神火御殿』「三島屋」シリーズ等がある。

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