この世の春 下

著者 :
  • 新潮社
3.85
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本棚登録 : 1401
感想 : 216
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  • Amazon.co.jp ・本 (399ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103750147

感想・レビュー・書評

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  • 上巻から時間があいてしまった。メインが藩内の内輪もめにしては、真相がわかったときにはすべてが終わっていた肩すかし感がある。ミステリーと恋愛もようをどちらも楽しめる、爽やかな読みやすい作品だ。個人的には、偉大な藩主の裏の顔とかを想像していたので、わかりやすい悪人がいることでわかりやすくすっきりしたな、と思わなくもない。すべての性的虐待が呪いのせいなら、どんなにか救われるだろう。

  • 辛くて苦しい場面と
    明るくて救われる場面が交互にやってくるので、
    心折らずに読めた。

    でも、長いなぁ、やっぱり。
    上巻で結構主要人物では!と思っていた人が
    全然出てこなかったりして、
    久々の長編におののいている。


    由衣の和歌の意味をきちんと
    理解する御館様ってすごいっす。
    それだけ二人の心がきちんと通じ合っっていたからということ
    ええ話やぁ、ってなったから
    やっぱりもとに戻ってほしかったなぁ。

    由衣にも幸せになってほしい。
    魅力的なキャラは複数出てきたけれど
    私は織部じぃが好きだわ。

  • なるほど。そういう結末か……。藩を揺るがす、という話ではあるけど、そこまで大事件ではないな、という気もしてきた。当人たちにとっては、死んでしまうような気持ちの話だけど……。

  • いや~さすがは宮部氏!最後はきちんと優しく美しい幕切れでした。多重人格を単に”物憑き”で終わらせずに医学的見地でもってきちんと向き合い、治癒できたくだりは時代小説にあって異色であり非常に面白いと思ったのですが…そもそもの引き金として「仮面の呪具」が出てきたときに、ちょっと残念な気がしてしまいましたよ。とはいえ、たくさんのキャラクターを生き生きと丁寧に描写しきるあたりはやはり宮部氏、ページをめくる手が止まらなかったのは久しぶりです。でもなー、重興と多紀の新枕はもうちょっと焦らして欲しかった(笑)ということで、☆4.5

  • 五香苑に押し込められた六代藩主重興は時々錯乱して違った人格になる。よく出てくるのは琴音という幼い男の子である。そのほかに女人と男がある。父親の成興が呪をかけられ子供の頃の重興に人に言えないことをしたという。その衝撃から自分を守るために琴音という男の子が出てきたのであろう。成興、重興をめぐる謎を解こうと元江戸家老石野織部をはじめとした者たちは懸命である。そして多紀も。

  •  下巻。
     幽閉されていた先代藩主・重興の口から、幼少時代の耳を疑うような出来事が語られ、過去を知る人物を探すために多紀たちは江戸へ向かう。そして、重興の人格にたびたび登場する女の正体と、連続少年失踪事件の関係が明らかになる。

     長いあいだ重興たち北見藩主を襲った呪いの真相に迫っていった訳だが、なぜ犯人たちがそこまでして三十年も怨念を燃やし続けたのかは最後までよくわからなかった。作者もそれに気付いたようで、有能な家臣の口からいったん謝罪の言葉を吐かせ、裏で糸を引いている黒幕がいそうな書きぶりになったが、あえてそこまで踏み込まず、ぐいっと大団円に向かわせていく。
     いくつか疑問の残る点もあったのだが、それを補ってあまりあるストーリーテリングは堪能できた。ともに表舞台から立ち去った日陰者として心を通わせる重興と多紀、五香苑で働く人々との心情がむつまじい。あざといが、案山子の使い方も泣かせる。

  • 重興の中に住む人格の謎も解け、湖に沈む多くの子供達の霊を祀ることもできた。

    幼児虐待、DVなど現代にも通じるテーマも巧みに取り入れられていて読みやすかった。

    重興と多紀の未来が明るいものであってほしい

  • いろいろな謎が解けていきましたが、まだ解き明かされないままの謎も残り、それが残念。
    最後は良いことずくめなのもちょっと物足りなかった。

    なんかうまいこと行き過ぎ?
    そういうひどいことは言うたらあかんのかなぁ。

  • 重興公の治療が進むとともに謎が次々と明らかになっていく。

  • 上下巻なのに余り長さを感じる事なく引き込まれた。
    最近は心の病は普通だが、この時代だと物の怪に
    憑かれたという事になるんだろうな。
    最後は多紀の思いが報われて良かった。

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著者プロフィール

1960年東京都生まれ。87年『我らが隣人の犯罪』で、「オール讀物推理小説新人賞」を受賞し、デビュー。92年『龍は眠る』で「日本推理作家協会賞」、『本所深川ふしぎ草紙』で「吉川英治文学新人賞」を受賞。93年『火車』で「山本周五郎賞」、99年『理由』で「直木賞」を受賞する。その他著書に、『おそろし』『あんじゅう』『泣き童子』『三鬼』『あやかし草紙』『黒武御神火御殿』「三島屋」シリーズ等がある。

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