- Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
- / ISBN・EAN: 9784104049028
感想・レビュー・書評
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タイトルにある「霊体験」そのものは、それほど驚くようなものはなかった。心霊の存在を信じない人はやっぱり信じないだろうな、というレベルのものばかり。
でも、そんなことよりも、大切な人を失った人たちが、どんなにもがき苦しんだか、(あるいはどんな風に苦しみ続けているか)がすべての体験談から伝わってきて、そのことに改めて驚き、胸がしめつけられるような気がした。
すべての遺族たちに、どうかそんな風に苦しまないで、と言ってあげたい。人がそんな風に言ったからって簡単に心が軽くなるものではないのだけれど。
こうした体験を語ることで、あるいは読むことで、救われる人がいるだろうと思うと、「死後の世界」をどんな形にしろあれこれ語ることは非常に意義があることなんだなぁとつくづく思う。
震災時、私は仙台市内の会社で働いていた。
知っている範囲で大きな被害を被った人はおらず、誰かを失った人もいない。せいぜい何かが多少壊れて水道やガスが1か月ほど止まった程度。(土地の人間ではないので、知り合いが少ないせいもある)
そういう被害が少なかった環境にいたせいか、お金にまつわる嫌な話、補助金や支援を受けることをもうけ話か何かのように話す人を実際に(割と頻繁に)見て聞いて、人の卑しさみたいなものに、当時、心底ウンザリした。
阪神大震災の時は大阪にいて、被災した人たちが身近にたくさんいて当時の混乱もよく覚えているが、それでも周囲でそんなガツガツした話は一度も聞いたことがなかったので、東北の時は本当に驚いた。
そのせいで数年の間、東北の震災に関するドキュメンタリーも本も拒絶反応を起こして見ることができなかった。
それほど被害を被ったわけでもないのに、たまたま被災地に住んでいたというだけで「被災者」とか「被災した」とか言いたがる人も多く、そういう人たちからとにかく距離を置くのでせいいっぱいだった。
でも、数年後からやっと客観的にこういう体験記や検証の記録などを見られるようになった。
密かに苦しんでいた人が大勢、本当に驚くほど大勢の人が助けてとも言えず希望も見えず辛い思いをしていると知って、やっぱりこういうものは目を背けずちゃんと読まなくちゃなぁ、と思う。
天皇陛下や芸能人たちの活動も、万能ではないが、救う力になっているんだと感じる。
本の中で、家族4人を失った人に対し、「お金がいっぱい入ったんだろう」と言う人がいた、というところを読んで、体が震えるほど腹が立った。幽霊譚に興味ある、という理由でもいいから、こうした本が多く読まれて、そんなことを考える人間がいなくなることを願います。 -
著者も書いているとおり、霊体験というよりは、残された人の見る夢についての聞き取りが中心。残された人が、死者に関するどのような物語を紡いで前へ進もうとしているか、に焦点があてられている。
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信じるとか信じないとかではなく、沢山の人が亡くなり、一人一人にとっては、それはかけがえのない人であったということ。
その事実が辛くて、悲しい。
夢で会いたい、霊でもいいから会いたい、その切なる願いに胸が苦しくなる。 -
まあ思い出に出てくるというはなし
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ノンフィクションとしては甘くて、
大学院生の聞き書きとあまり変わらないレベル。
書き口にはこなれがあるけど。
母が死んでいろんな夢みた。
ただの願望かもしれないし、思い込みかもしれないが
それが生者を救う部分は確かにあるよな。 -
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被災者で家族を亡くした方々へのインタビュー。中でも霊体験をしたことに絞っている。
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健康食品・水素水・教師の説教は信じない私ですが、こと幽霊に関しては信じている方で、ザ・だっちに負けないくらいの幽体離脱を経験したことも有り、これはいつか読みたいと思っていた本ですが、もちろん怖い話ではなく、目を潤ませながらしくしくと読まされる、いや、あの震災で愛する人を失った方々の辛さを思うと、自分自身の現在の環境がどれだけ幸せなのかと身につまされます。
東日本大震災の被災地で不思議な体験談を多く聞かされるというので、筆者が実際の現地で調査、直接体験者にヒアリングした話をまとめたもの。
無くなった子供部屋のおもちゃが動く、遺品の携帯からメールが届く・・・いやいあや、怖くないです。どんな形であっても亡き人と繋がれる事がどれだけ幸せな事かと痛感。
なぜか阪神・淡路大震災ではこのような話は聞かされる事は殆どなく、やはり東北という土着の宗教心がしっかり根付いていて、霊魂を信じる感覚が今も息づいているからではないかと筆者。
辛い話ばかりですが前向きに生きる勇気を貰える話でもあり、読んでよかったなあと、そして明日もしっかり生きようぜ、みんな。