- Amazon.co.jp ・本 (382ページ)
- / ISBN・EAN: 9784104260072
感想・レビュー・書評
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ひさびさの平野作品。
この本が出版された当時、世情の後押しもあり、
ずいぶんと盛り上がりを見せていたのを思い出しつつ…
作者本人も、たしかニュース23のインタヴューに出ていたなぁとも。
バ行をヴァ行に変換するところ、
やたら難しい漢字を多用するところ(最近は収まりつつあるが…)などが、
彼らしさを醸し出しているが、なかなか読み応えのある内容だった。
政治や歴史に関してのやや深めの「うんちく」を持ち出すところは、
伊坂幸太郎作品に相通じる部分があるが、
うまく説明できないが、伊坂作品とはまた異なる味が出ている作品で、
どんどんと物語の世界に引き込まれていくのが感じられた。
後編がいかにして展開していき、どのような結末が待っているのか、
それを楽しみにしながら、読み進めていきたいと思う。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
壮絶。徹底的なニヒリズム。
おもしろかったけど、決して快い読書ができる本ではない。
平野啓一郎さんは初めて読んだけど結構好きだ。
今作はドストエフスキーの影響を受けた作品らしく、確かに現代版『罪と罰』とも言えなくもないかも。「殺意」を誰か特定の個人から個人に向けられたものではなく、「純化された殺意」「世界の殺意」のように匿名で無名の純粋な意思(意思?)に昇華させているのが『罪と罰』のラスコーリニコフ的。
インテリの転落とか、ただラスコーリニコフを踏襲するだけじゃなくて、いじめ、現代人の没コミュニケーション、ネット社会、マスコミの執拗な報道、冤罪とか死刑制度とか現代的な問題提起に溢れた、まさに“現代版”を冠するにふさわしい本なのかも。
しかし怖いな…。「殺人」という目的のために「殺人」が行われるなんて恐ろしい。自分の利益(例えば誰かが憎いからとか、金銭的な事情とか)のために罪を犯すほうがまだ人間的だと思う(決して犯罪を擁護しているわけではなく)。でも今はきっとそんな「純化された殺意」による犯罪が多いんだろうな。
文庫化したら欲しい。 -
2002年10月全国で犯行声明付きのバラバラ遺体が発見された。
容疑者として疑われたのは、
被害者の兄でエリート公務員の沢野崇だったが……。
〈悪魔〉とは誰か?〈離脱者〉とは何か? 止まらぬ殺人の連鎖。
明かされる真相。
そして東京を襲ったテロの嵐!“決して赦されない罪”を通じて
現代人の孤独な生を見つめる感動の大作。
いやぁ~・・・・・・
重かった。ほんと重かった。
最初のうちは、『何が面白いの??』と思いながら
時折挟まれる哲学的な話題が難しく、
何度も読むのを止めようかと思いましたが
頑張って読み進めるうちに上巻の後半で事件が起こります。
事件も登場人物がそれぞれ抱える『心の闇』も
どれもリアルに感じるけど、どこかやはり別世界な感じも・・・。
ネット社会や今の若者に潜む悪い部分だけを浮き彫りにしてますが
ネット社会も現代の若者も、それ だけじゃないし。
犯罪を犯す少年を育てた母親の歪んだ愛情、
ネット上の人物としてでしか本音を言い合えない家族、
それぞれがまた、重すぎてねー。。。。
『幸せ』とは、『愛情』とは・・・
考えさせられる作品であることは確かですけどね。 -
平野作品の中では
読みやすい(難しすぎない)本だと思います。
上下巻一気に読みました。
ラストは重く、
本を閉じたときに
深いため息をついてしまいました。 -
次は平野啓一郎を読む。彼の小説は、芥川賞を受賞した『日蝕』を読んで以来。
今日所用で渋谷に行ったのだが、手持ち無沙汰にBOOK・OFFに行ったら「単行本全品500円セール」というものが催されていた。すぐさま『決壊』を探した。あった。しかし、上巻だけ。とりあえず確保。ここ一週間の念願が半分叶った。
いろいろ見て回ったのだが、すでに良書は売れてしまったのか、僕が欲しいと思えるタイトルはほとんどなかった。人気本といっても、目についたのは村上・野崎訳ともに売れ残っていた『キャッチャーライ麦』ぐらいだった(単行本は、ね)。でもキャッチャーはどっちの訳も持ってるから手を出す必要なし。
ただ、白水社のベケット『ゴドーを待ちながら』は迷わず手に取った。他文庫で村上春樹の『アフターダーク』をゲット。これを読めば村上春樹の長編は完全制覇だ。
『決壊』の下巻はどうしようかと少々思い煩ったが、おそらく今晩にも上巻を読み終わってしまうと想定し、結局ブックファーストで新品を購入した。1890円…。今の僕にはなかなか堪える。
だが、上巻を1/3ほど読んで、下巻を無理して今日のうちに手に入れておいてよかったと感じた。
平野啓一郎のデビュー作には、けっこう度肝を抜かれたのだが、その後の作品は読んでなかった。99年のデビューから約10年。僕は日本の現代作家の小説をあまり読まないのだが、平野啓一郎は読んでも(そんなに)がっかりすることはないだろうと今日確信した。 -
これから、悪魔とどう向き合っていくのか
下巻を読み始めましょう〜 -
帯に惹かれて買ってみたものの、難しすぎる。
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上下巻。この人の小説を初めて読んだけど文章の上手い人だなと思った。本当に何が起こったのかを微妙にぼやかしたまま物語を進めたりするのも上手いと思う。最新作みたいなので過去の作品にも手を伸ばしたい。
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「ドーン」を先に読んでいたせいか?読み易く感じました。でも、崇さんの会話が難し過ぎる・・・・。下巻に挑みます!
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『日蝕』をばかにしてごめんなさい。夢中で読んだ。ドストエフスキー的痛い家族小説。当分こういうのは読みたくない。
ディテールがしっかりしているので、先を読まずにはいられない。