- Amazon.co.jp ・本 (147ページ)
- / ISBN・EAN: 9784104669059
感想・レビュー・書評
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これは主人公のロード・ムービー的な内容か。
「ヒモ」生活のダメ人間が主人公だが、なぜか憎めない。
さもあれば「クズ人間」の烙印を押してもいいのに。
「クズ人間」の彼が妻に浮気を告白された時の表現が好きだ。
【ココメモポイント】
・田舎の子ってのは、兄弟のなかで誰が残って誰が出て行くのか、すごく早いうちからわかっているものなんだ。
P.8
・餞別はせびり取ることができるけれど、きっかけというのは金じゃ買えない。ボクが欲しかったのはそのきっかけだった。
P.27
・ボクにとって「現在」というものはそんなに大切ではなかった。
だが怒っている彼女には「現在」しかなかった。
P.41
・何食わぬ顔してたのは、あっちだったんだ。ボクみたいな屑とずっと真面目につき合ってくれた可愛い嫁さんが、ボクの専売特許であるところの何食わぬ顔をぶら下げて浮気してた。
P.75
・そうか芸術ってやつはお互いの魂
が飛び出しちまうことなのか。
P.96詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
アウトローに憧れる。デカダンに生きてみたい。
でも私はその生き方を選べないし、選ばない。残念なことだ。
この本を読んで、”悪い人生”を生きてみる。
アウトローにはアウトローの、悲しみや絶望や諦めがあると知る。
ラストはあまり面白くはなかったが、驚いた。
全体としてはとても巧くて面白かった。 -
言いたいことは好きだけど微妙
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これ映画にしたらおもしろいだろうなーと
つくづく思ってしまった。絲山さん嫌がりそう。
R指定確実だろうな。
乾が生きてました。
空っぽの乾を通り過ぎてったいろんな人たちも。 -
地の文が少ないせいかすぐに読めてしまって少し物足りない気もするが、毎度、絲山秋子の方法意識の高さにドキッとさせられる。
読みながら、すごく寂しくなる小説だったけれど、最後の最後でふいに、読者である自分自身が、主人公から話しかけられているような気にさせられる。また、読中の寂しさが、この小説の構造上、フィクションへと吸収されてしまう、言いようのない爽快感もある。 -
説明のつかない魅力。
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初の絲山秋子。ずっと気になっていたけれどなかなか手に取る気になれず。ようやくタイトルが好みのものを見つけて。
内容は一言にまとめればしょうもない男の半生。主人公がちょっと偏屈というか変り者ではあるけど、どうってことないっちゃどうってことない話。しょうもない男ではあるけれど、彼なりの理論というかこだわりがわからなくもないから、ところどころ刺さるものもあったりして。でもよくわからない部分もあったり。
さらさら読めるかわりに、読んだそばからさらさらと忘れていってしまう物語。読後感は悪くないから、難しいことを考えたくないときに読むのがいいかも。 -
これもなんでもないようなことを
なんでもないように書いてる。