不愉快な本の続編

著者 :
  • 新潮社
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感想 : 99
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  • Amazon.co.jp ・本 (147ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784104669059

作品紹介・あらすじ

女と暮らす東京を逃げ出した乾。新潟で人を好きになり、富山のジャコメッティと邂逅し、そして故郷・呉から見上げる、永遠の太陽-。不愉快な本を握りしめ彷徨する「異邦人」を描き、文学の極点へ挑む最新小説。

感想・レビュー・書評

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  • スピン3号の「絲山秋子 デビュー20周年」で改めて、著者の作品に向き合う。
    中期の作品、意外に知らないものも多く、その中の本作を選ぶ。

    退廃的な中に本来の優しさが潜んでいる、著者独特の人間観。
    登場人物みんなどこかアウトローでいて、人間臭くて、見放せない、そんな日常でもあり非凡な世界でもある。

  •  絲山秋子「不愉快な本の続編」、2011.9発行。広島に生まれた乾ケンジロウは、東京の予備校で1年浪人し大学に。フランス留学はして自慢だが、大学を中退。以後各地を放浪。最後のパトロンは吉祥寺に住んでる10歳上の大学の先生、成田ひろみさん。変態のヒモだった。新潟ではユミコ32歳と結婚するも浮気されて2年で離婚。富山では泥棒が趣味の杉村明日香の誘いを断る。実家のあった呉に帰り弟が死んだことを知る。そして、この不愉快な本を閉じるとあるが、本人はどうなったのか・・・。なんとも不思議な世界でした。

  • “ボクは言葉を捨てることの快さを初めて知った。言葉によって規定された自分自身も冬の服みたいに脱ぎ捨てて、裸の物質になるってことが、こんなに気持ちいいとはまさか知らなかった。そこにはボクの倒錯した過去もなく、ろくでもない未来もなかった。”(p.97)

  • 確かに不愉快な内容ではあるが作者のエネルギー感じた。一気に読み終えられる分量でよかった。

  • あれ、『異邦人』読んどかないとダメですか。

    宙ぶらりんな人生とか、地方が舞台とか、このまえ読んだのと似てはいる。だいぶ暗くなったけれど。

  • 数ある絲山作品の中でも、特に観念的。
    流されるままに流れ、先々で周りに寂しい思いをさせる主人公。
    でも何故かちょっと好かれたり。
    とにかく寂しい。

  • まさか、「ニート」の最後の一編に出てきた、乾くんが主人公で一冊とは。だから、最初は、不愉快な本の続編の"不愉快な本"、って「ニート」の事かと思ってしまった。そうではなくて...。「ボクの不愉快な本をユミコに渡すわけにはいかない。口が裂けても自分の性癖については言うまいと思った。彼女のために、ことごとく文法をやり直す必要があった。」/呉、東京、パリ、東京、新潟、富山、呉と流されるようにめぐる乾。/さらりとして、人を見下しているようで、もろくて、自分の不愉快な本を持て余し、捨てたいのに捨てられず、もがき、投げやりになり、ユミコと結婚してやり直そうとして果たせず、投げ捨て、杉村に迫られても断り、過激な方法で彼女の盗癖を思いとどまらせ、最後は現実感のない地点へと読者を誘い込み。/ドライなロードムービーを見続けたかのような読後感。/「あっという間に死んでしまうっていうことは、一瞬しか生きていないみたいだ。人間って本当に簡単に死ぬんだなあ。」

  • 主人公が呉出身というだけで手にした作品。
    クズのような男が、東京、新潟、富山と渡り歩きながら、余所者として生きていく。彼はクズなんだけど、「考えるクズ」だ。だから、不思議と憎めない。
    だけど余所者はどこに行っても余所者だった。
    逃げるように故郷の呉に帰っても、唯一の拠り所であった弟が亡くなっていたことで、余所者であることから抜け出せなくなった哀しさ…
    不思議な読後感だった。

  • 絲山さんの小説が好きだったんだっけ…と、久しぶりに思い出して手に取った一冊。
    久しぶりに読むには、結構な作品でした。緑茶でも飲むかーと思ったら、抹茶出てきた感じ。
    淡々としているのに、物語の印象が強く残ります。文章のタッチが変わらないのは、出戻り読者である私には何となく嬉しく、懐かしい。

  • 日本版「ライ麦畑でつかまえて」みたい。サリンジャーと弟がいる家を燃やしちゃう主人公ってことでげんふうけいの「ひーちゃんとはーちゃんの話」だったかな、そんなのを思い出した。 どうしようもない主人公の男がなんだかんだ生きていって死ぬっていうか本になっちゃうメタ系。北陸の冬は暗いっていう一文にふふってなった。確かにそうだ。乱暴な口調で書かれていて一話ずつが短いので簡単に読める。主人公が格好よくて女の子にモテるのに不思議と嫌味じゃなかった。良作。2016/04/24 図書館

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著者プロフィール

1966年東京都生まれ。「イッツ・オンリー・トーク」で文學界新人賞を受賞しデビュー。「袋小路の男」で川端賞、『海の仙人』で芸術選奨文部科学大臣新人賞、「沖で待つ」で芥川賞、『薄情』で谷崎賞を受賞。

「2023年 『ばかもの』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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