終わりの感覚 (Shinchosha CREST BOOKS)

  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (188ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784105900991

感想・レビュー・書評

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  • 齢60歳を越えた主人公。ある日届く手紙。忘れていた学生時代の記憶。自殺した友、別れた恋人と家族。記憶を紐解くうちに現れる真実。老年に達した人が対峙する、戻れない過去と記憶の物語。ラストはかなり苦い。

  • 主人公が好きになれない、不思議な小説。

  • 訳の土屋政男さんが、いいんだな。生とか死、友情とか愛とか、もう、すべてを、すべてのエグい部分を盛り込んだ感じ。2011年ブッカー賞。

  • 「歴史とは不完全な記憶が文書の不備と出会ったときに生まれる確信である。」

    この物語は、途中で自殺した秀才エイドリアンのこのテーゼを裏付けていく流れで進んで行く。

    一番の語り手であり、エイドリアンの親友でもあった「私」は、大学で歴史を学び、平和主義で平穏な人生を望み、それを自らの選択により作り上げてきたと考えていた。

    それを振り返る時期にさしかかったあかつき、ひとつの連絡と、いくつかの文書が手元に舞い込んでくる。
    その記録と、自分の記憶が出会った瞬間、彼は自身がどのような歴史を刻んできたのかをはじめて確信する。「私」は、自分の不完全な記憶に隠されてきた劣等感、傲慢さ、屈辱、憎悪、自惚れ、自己欺瞞がいかなるものだったのか、ばかのように最後まで気付かなかった。
    その文書がなければ「私」は平和的に人生を終えていただろう。


    そしてさらなるどんでん返し...

    歴史は、大いなる混沌。

    たったの184pですが、重いお話でした。

  • 自問自答モノローグ。自分のことも、恋人のことも、友人のことも、他人のことも、分かったようで、全然わかっていない、ということかしらん。自分の過去の記憶は自分の都合の良い想像上の物語。

  • 結論がよく分からず??
    イギリス版「こころ」といった感じ。
    元妻をもっと大事にした方がいいんじゃない?
    全く共感できません。

  • 2011年ブッカー賞受賞作。

    穏やかな引退生活を送る男のもとに、見知らぬ弁護士からの手紙が届く。
    ある日記と500ポンドをあなたに遺した女性がいると。
    その女性とは、学生時代の恋人、ベロニカの母親だった。
    そして、日記は、同じ学生時代を過ごした友人エイドリアンのもの。
    ベロニカは男と別れた後、エイドリアンと付き合っていた。
    そして、在学中に突然自殺してしまった彼。

    なぜ、彼の日記が母親のもとに?
    なぜ、エイドリアンは死をえらんだのか?

    しかし、日記はなかなか彼の手元に届かない。
    彼は、日記を取り返すべく、あの手この手でベロニカに接触する。
    それは、苦く重い青春時代を思い出すことでもあった。
    そして、隠された謎がだんだん明らかになってゆく。
    ちょっと衝撃。

  • うーん、年輪を感じる。読み返すと更におもしろさが湧き出てくるような小説。おもしろかった。サスペンスとしても読める。
    年を取ってもう一度読んでみたい。

  • 生きること自体に思想は不要だが、その外側にある死と向き合う際に人は哲学的に為らざるを得ない。10代の頃の同級生の自殺と20代の時の友人の自殺、2つの死について初老の男性が追憶する所から始まる本書はそれ故に時間と記憶を主題とする思弁的な小説として進んでいくが、終盤でそれこそが語り手の歪曲なのだということを思い知らされた。「あなたはまだわかってない。」そう、哲学的であるというのは時に生の現実から目を背ける為に取り違えられる。その盲目さを自覚した時に残されていた終わりの感覚は、痛みと後悔を伴う苦いものであった。

  • 高校時代の悪友3人、トニー・アレックス・コリン、そこへ転校生のエイドリアンが加わり、最高の仲間だった。エイドリアンは哲学的な秀才で、ケンブリッジに進む。トニーは、大学に進み恋人になったベロニカを高校時代の親友3人に紹介する。その後ベロニカはトニーと別れエイドリアンの恋人になる。しかし、エイドリアンは在学中に自殺してしまう。
    悲劇的な出来事から時は流れ、引退したトニーのもとへベロニカの母親の死亡の知らせと、遺言として500ポンドとエイドリアンの日記を送ると伝えられる。なぜ、エイドリアンの日記がベロニカの母親のもとにあるのか。疑問を解こうと、トニーはベロニカに会おうと弁護士に掛け合う。

    前半はトニーの青春時代の悪ふざけや、若々しい異性への欲望とベロニカへの思い・失恋の悲しみをつづる。
    後半は、ベロニカの母親の遺言に隠された真実を探る年老いたトニーを追う。そして最後の最後に明かされるエイドリアンの自殺の真相。

    青春小説と思って読んでいると、最後に大きなパンチをくらうサスペンスチックな筋立て。本書で4度目の正直のブッカー賞を受賞というのも納得です。

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