- Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
- / ISBN・EAN: 9784106037641
感想・レビュー・書評
-
アメリカは不思議な国だ。人工中絶反対、くらいなら分かるが、ダーウィンの進化論を学校で教えるべきでない、と多くの大人が大真面目に言うわけだ。確かに、進化論にはミッシングリンクがあって必ずしも事実だと言い切れないわけだが、仮説として言う分には許容しろよ、とよそ者は思うのだが、、、本人たちは大真面目だ。
その裏に、ピューリタンから発する権威主義への反発があるという。旧世界から脱出してきたアメリカの人たちは、カトリック協会の司祭たちに頼らずとも一人ひとりが直接神に祈り、回心に至る。学があるエリートが考えた結果よりも、庶民の素朴な心情のほうが真理を掴んでいる、という考え方なのだろう。変化の時代にあって、この思考法は非常に強靭だ。職業軍人でなくミニッツマンの文化を持つのも根っこは同じように思う。
面白いのは、世界に先駆けて政教分離を行ったアメリカが最もキリスト教が盛んなこと。かつ、金儲け=成功=神に祝福されていること、をストレートに信じられる純朴さだ。この国は強い。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
アメリカの宗教史に興味がある人は読んだ方がいいかも。
-
ロバート・B・パーカーのスペンサー本に見える,USAと宗教およびボストンの背景をより理解するために,読んでいる。
-
反知性主義ってのは、もともとアメリカにおけるキリスト教に源流を持つということです。アメリカンドリームも、野球も、関係するそうです。そしてpaper moon, stingも出てきます。面白い。a prayer for owen meanyを読む前に知識として読んどけば良かった。
-
反知性主義、それの根底にある、アメリカのキリスト教史についてとても興味深く書かれていました。理解が及ばない部分はありましたが、キリスト教史から見える今のアメリカの姿というものが少しわかった気がします。
しかし、根本的にキリスト教への理解が浅いのということがよくわかりました。 -
アメリカ史研究者による「反知性主義」という用語は、知性そのものに対する反感ではなく、知性が世襲的な特権階級の独占物になることへの反感。原点には、誰もが平等にスタートできると言う徹底した平等主義がある。
アメリカではなぜ反インテリの風潮が強いのか、キリスト教が異様に盛んでビジネスマンが自己啓発に熱心なのか、という問いへの歴史を辿りながらの答え。 -
2015/6/17
-
アメリカ史おもろい。
-
今年のベスト候補②
「反知性主義」というのは分かりやすいようで、分かりにくい。
単に、漠然と知性が無い、知性レベルが低下している状況を指す言葉かと思っていたら、結構、奥が深いらしい。
高度に知性主義が進んだアメリカ社会において、知識ではなく、もっと生身の直観、体験、心情から、信仰、哲学、生き方といった人生の根本的なものを捉え直そうというムーブメントとでも表現するものという。
確かに、アメリカは分かりやすそうで分かりにくい不思議な社会。高度に学歴社会でありながら、偉大なるアマチュアリズムが共存している。会社でも、日本に比べてはるかに学歴主義が浸透しているにも関わらず、やっていることは「試してみよう」のアマチュアリズム。
そんなアメリカ社会、またアメリカ人を理解する上での必読書。
特に、魂の救いと、この世の成功とを重ね合わせる信仰観は、なかなか腑に落ちないものだったが、この本を読んで、あぁなるほどと思わされた。
面白かったのは、自由競争を通して教会が鍛えられたから、今に至るまで教会が元気なのではないかという見方。
早くから政教分離原則を打ち立てたアメリカ。そのため、政府の支援がなくなった各教会は自分で食っていかなければならない状況になった。つまり、教会は、信徒を集め、献金を集めなければならなくなった訳ですが、この競争相手は、別の教会だけではなく、休日に盛んな「娯楽・リクリエーション」にもなる。
「娯楽・リクリエーション」との競争に打ち勝つために、教会は工夫に工夫を重ね、ふんだんにエンターテイメント的要素も取り入れつつ、信徒獲得に努力していった。その結果、今に至るまで、先進諸国に稀にみる教会の盛況がある。市場至上主義の教科書のような説明だが、説得力がある。 -
貸し出し状況等、詳細情報の確認は下記URLへ
http://libsrv02.iamas.ac.jp/jhkweb_JPN/service/open_search_ex.asp?ISBN=9784106037641