死刑絶対肯定論: 無期懲役囚の主張 (新潮新書 373)

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  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (204ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784106103735

感想・レビュー・書評

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  • [ 内容 ]
    哀しい事実だが、犯罪者のほとんどは反省しない。
    監獄法の改正後、「自由」になった刑務所では、今日も受刑者たちの笑い声が響いている。
    裁判では頭を垂れるも内輪では「次は捕まらないよ」とうそぶく彼らを前に、何をすれば良いのか。
    犯罪者を熟知する著者は、彼ら自身を「死」と向き合わせるために「執行猶予付き死刑」を導入せよ、と説く。
    現役の無期懲役囚が塀の内側から放つ、圧倒的にリアルな量刑論。

    [ 目次 ]
    第1章 ほとんどの殺人犯は反省しない
    第2章 「悪党の楽園」と化した刑務所
    第3章 殺人罪の「厳罰化」は正しい
    第4章 不定期刑および執行猶予付き死刑を導入せよ
    第5章 無期懲役囚の真実
    第6章 終身刑の致命的欠陥
    第7章 死刑は「人間的な刑罰」である
    第8章 無期徴役囚から裁判員への実践的アドバイス

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    [ 参考となる書評 ]

  • 無期懲役囚は反省しない.早くシャバに出ることしか考えていない.
    →現状被害者側の人権があまりに軽い.

    囚人が自分の罪について考えられる・考えざるをえない収監方法を考案・実践していくべきである.

  • 読むべき。本人が死刑囚だけに説得力が違う。

  • 現役の無期懲役囚(殺人犯)が刑務所の暮らしと受刑者の実態をリアルに綴った本です。日本の刑務所が更正施設としても懲罰施設としても破綻しているということがよくわかります。途中、刑務所の制度や更正プログラムについて提言している章は、机上の空論的な話でやや退屈な感じですが、それ以外の受刑者の話と、最終章の「無期懲役囚から裁判員への実践的アドバイス」は、裁判員制度がスタートし、死刑廃止議論も高まる中で非常に参考になるのでオススメです。同じ著者の書いた「人を殺すとはどういうことか」も読んでみたくなりました。

  • 無期懲役囚の視点から死刑の意義を問う本。

    世界各国で死刑廃止が浮上している現在、死刑制度は日本国内でも議論の的となっている。
    メディアを通して聞き及ぶ死刑制度廃止の議論は、囚人の人権を前面に出し、死刑=殺人というイメージを一方的に植えつけてきた様に思う。 著者のようなビブロフィリア(本の虫)の囚人による、刑務所に収監されている囚人の内情は今まで語られたことが無かった。

    現在の懲役制度は教育刑という前提で作り上げられているが、果たしてそれが教育刑としての意味を成しているのかは、検証されていない。  
    実際刑務所に収監されている犯罪者のほとんどは反省していないという。  裁判では頭を垂れ、反省のコメントを述べるが、刑務所の中ではそんなそぶりが無い。  その様な犯罪者に人生を奪われた被害者、ならびにその親族の無念さを天秤に計って、果たして死刑以外の判決は本当に妥当なのだろうかと思う。

    服役を終えて一般社会に出ても、何らかの犯罪を犯して再び収監されるケースも多々あるという。  その様な犯罪者に対しても、重い刑罰が科せられない今の法制度は非常に疑問に感じる。 死刑という究極の刑罰を以て臨まないと、犯罪の抑止力にならないのではないかと思う。

    著者は本書の中で死刑更正プログラムの充実や、執行猶予付き死刑など犯罪矯正の為の提案を数多くしている。  この様な現実に基づいた提案に国も耳を傾けるべきだと切に思う。

  • 死刑に賛成か反対かを考えてみるときに、終身刑と比較する観点は目から鱗だった。
    実際に刑務所に服役中の著者だからこそ持ち得る視点だと思う。
    一読する価値はある。

  • 前著の内容もかなり衝撃だったけど今回もたまらんね。

    服役している犯罪者のほとんどが反省しないと繰り返し訴えるが、自身も長期刑受刑者という著者。加害者の更正より被害者の生命権を、という件は頷くことしきりだ。

    著者も強く言っているように死刑制度なくして公正で安全な社会は保たれないと思う。執行猶予付き死刑はありだな。被告人は法廷で嘘をつくというならなおさらだ。

  • 著者が無期懲役囚であるからこそ、その実体を「内側」からレポートできているという事実は、ある程度評価できる。

    しかし、そのフィルターを外し、純粋に内容だけを見てみると、その論旨は「一般の人の認識と、実際の囚人の実情は違うんだよ」ということに尽きる。それを回りくどく、いろいろな状況を例に挙げて綴っている。
    だから、章立てされているものの、その内容は全て同じに等しい。

    しかも、その事実の裏付けが、おそらく「著者のヒアリング」によるものだと思われるのだが、恣意的に感じられる部分も多く、リアリティに欠ける。

    そして、さらにヒドイのは、その現状をどうすれば改善できるか、ということに提案をしていることである。

    はっきり言って、著者の提案力は乏しい。

    とはいえ、私は死刑には賛成であり、廃止するべきとは考えていない。

    「目には目を」で有名なハムラビ法典は、決して残虐なものではなく、「目を取られたら目を取るだけにして、命まで取ってはいけない」と規定した復讐の連鎖を止めるためのものだ。

    という著述の通り、確固たる制度として、残すべきである。

    最後に、感情的な意見を一つ。
    著者の文体は、実に様々なジャンルの引用を用いる。そして、普段使わないような言葉も多用する。
    博覧強記なのは認めるが、もし、主張を一般世間に広めたいのであれば、このような主旨の書で乱用すべきではないだろう。

  • 著者が実際に服役中の囚人なので、信憑性があります。
    「犯罪者のほとんどは反省などしない」
    うーん、なんとなくそんな犯人も多いのかなと思ってたけど、ほとんどがそうと知って、なんだか恐怖を感じた。

  • 無期懲役囚の著者が刑務所にいる犯罪者の考察と
    死刑制度の必要性を訴えている本。
    長期刑を言い渡された殺人犯や強姦犯や強盗犯の反省のしなささに怒りを覚えたり、
    初めて知る刑務所内の制度(?)に驚いたり、
    死刑制度の必要性を論理的に考え直したりと
    新書なのに大変ボリュームがある一冊だった。
    死刑廃止派にはぜひ読んでもらいたい。

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著者プロフィール

美達大和
1959年生まれ。無期懲役囚。現在、刑期10年以上かつ犯罪傾向の進んだ者のみが収容される「LB級刑務所」で仮釈放を放棄して服役中。罪状は2件の殺人。ノンフィクションの著書に『刑務所で死ぬということ』(小社刊)のほか、『人を殺すとはどういうことか』(新潮文庫)、『死刑絶対肯定論』(新潮新書)、『ドキュメント長期刑務所』(河出書房新社)、『私はなぜ刑務所を出ないのか』(扶桑社)、小説に『夢の国』(朝日新聞出版)、『塀の中の運動会』(バジリコ)がある。また「無期懲役囚、美達大和のブックレビュー」をブログにて連載中。http://blog.livedoor.jp/mitatsuyamato/

「2022年 『獄中の思索者 殺人犯が罪に向き合うとき』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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