ナ・バ・テア

著者 :
  • 中央公論新社
3.67
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感想 : 354
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  • Amazon.co.jp ・本 (317ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784120035418

感想・レビュー・書評

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  • スカイ・クロラシリーズ第2作

  • 淡々とした語り口。
    飛行機のシーンは専門用語多いけれど、すごくリアリティがあって、翼を揺らすとかそんな描写が大好きだった。
    地上でのことも淡々と描かれているけれど、主人公の感情を深くは入り込まないように、けれど、真理をついてる描写で、もうちょっと感情の起伏があってもいいかなと思ったんだけど、そういうのがないのが主人公なんだと納得。
    面白かったけれど、なんとなく自分には合わない気がして点数が低いです。

  • 僕は、
    空で
    生きているわけではない。
    空の底に沈んでいる。

    ここで生きているんだ。

    ------------------------

    表紙、もっときれいな夕焼けなのですよ。

  • スカイクロラを読み、他のシリーズも読んでみたいと思ったので時系列順に読み始めた。

    先にスカイクロラを読んでいるせいもあるが、主人公の思考や仕草でクサナギが女性だとわかる表現力に感心した。

    戦闘シーンが専門用語(私が無知すぎるのかもしれないが)が多くて、あまり理解ができないのがもったいなかった。

    しかしそれを抜き差ししてもあまりある面白さだと思う。

    この筆者の本とは相性がいい気がする。

  • 女であることが嫌な敏腕女子パイロットのお話

    女性であることが嫌だからか、自分の事は僕というし
    好きな人がいるのかと聞かれれば不機嫌に返す
    だけどやっぱり女性だったね

    感情は察しろという感じでしょうか
    淡々としていました

  • スカイ・クロラシリーズ2巻目
    染赤・散香新型などが登場。草薙氏の過去のついて書かれている感じ。専門知識がないとバトルシーンでは何をやっているのかわからないところが残念。

  •  「スカイ・クロラ」の続編。前作の装丁が一面の青空。今作は一面の夕焼け空。綺麗は綺麗だが、前回の方が好み。
     雰囲気はほぼ前回と一緒。ただまあ、比較すれば少しだけねちっこいかもしれない。カバーのあおり文句も前回ほど強烈ではないし。
     前作を読んでいてこその楽しみがたくさん。
     戦闘シーンは前回よりも(って比較ばっかりだけど)更にスピード感がアップした感じがする。短文の連続が増えたかな? 詳しく知らないから意味を理解することはできないが、それでもぽんぽんと読んで、そのスピード感を味わうことはできる。
     えーっと、おそらくネタバレになってしまうので以下反転。未読の方はご注意。
     はい。まんまと騙されましたよ。って四分の一程度で種明かししてるから、騙される騙されないの問題じゃないだろうが。ただ、続き物だし、「スカイ・クロラ」では彼女の一人称は「私」だったはずで、主人公の一人称を「僕」にする必然性はあまり感じられなかった。つまり、森は読者を騙すために故意に一人称を「僕」にしたのではないか、と。
     ってまあ、今回主人公が前作のカンナミくんじゃなくって、クサナギ氏のほうだったわけです。地の文が彼女の一人称で進んで、しかも「僕」だから途中までまんまと前作と同じだと思ってましたよ。
     ただ、それが分かると後のストーリィが読めるってのが痛いな。彼女の思考は読めないが、物語の展開が読める。彼女、子供いたしね。その話だろう、と。しかも父親が誰かも親切に分かるようになってるし。
     ただまあ、ラストはすごく良い感じだったかな。爽やかで。読後感は悪くない。
     とりあえず気に入った部分を抜粋。
     安定していては勝てない。常に不安定に、いち早く自分を見失い、空気の流れに同化し、加速度の波に瞬時に紛れ込む、そんな空気みたいな軽さがなければならない。
    04.06.25

  • 飛ぶために、生まれてきたのだ。

    【内容】
    これが「スカイクロラシリーズ」の実質的な最初の巻らしい。
    生命を賭け金に、空でダンスする子どもたち。

    【はじまり】
    美しい夕日に向かって、僕は飛んでいる。

    【感想】
    個人的には、相性がいいシリーズのようだ。
    そのクールさが。
    その衒学的なところが。
    その希薄なところが、うすっぺらなところが。

    (2012年11月08日読了)

    簡単なリスト

    【赤座】前の基地で半年ほど同僚だった。
    【甲斐】本部から来た女。たぶん大人。
    【基地】クサナギが新たに配属された基地のチームはティーチャがいるから名門とされていた。パイロットは全員で14人所属。
    【キルドレ】大人にならない子どもたち、ということらしい。
    【草薙水素】「ナ・バ・テア」の主人公。語り手。ティーチャのいる名門チームに配属された新人パイロット。「ナ・バ・テア」開始時すでに、かなりの腕のパイロット。
    【栗田】新人パイロット。と言ってもパイロットとして新人というわけではなく、基地にとって。
    【合田/ごうだ】基地の指揮官?少なくとも部隊のトップ。たぶん大人。
    【相良】医師。クサナギ旧知。
    【笹倉】メカニック。観念的な話が好きな孤独な奴。クサナギと同時に配属された。
    【散香/さんか】戦闘機の機種名。空冷エンジンを後方に搭載した軽量な機体。イメージ的には第二次大戦中に間に合わなかった震電ってとこか?クサナギの以前乗っていた機体。翠芽を挟み、後に改良型のマークA2に乗ることになった。
    【翠芽/すいが】戦闘機の機種名。空冷21気筒。圧倒的なパワー。イメージ的には第二次大戦のサンダーボルトってとこか?国産だと雷電あたり?クサナギが「ナ・バ・テア」開始時乗っている機体。
    【鈴城】爆撃機。
    【泉流/せんりゅう】無尾翼の偵察機。速度はある。
    【染赤/そめあか】戦闘機、ないしは攻撃機。プッシャの双発。
    【辻間】パイロット。クサナギが入りティーチャと一緒に飛ぶ座を奪われた。
    【ティーチャ】パイロット。他者の参考にならないくらい滑らかに飛ぶ。天才。150機くらい撃墜してる伝説の英雄。すべてのパイロットの憧れ。「命を粗末にするな」(p.39)。もしかしたら大人?いつかクサナギと敵対陣営に入り乗り越えるものとして撃ち落とされそうな気がするキャラ。
    【トラクタ】戦闘機のタイプ。たぶんエンジンが前についていて、機体を牽引しながら飛ぶタイプのことか?
    【パイロット】クサナギが所属している会社の戦闘機パイロットの平均就業年数は2年8ヶ月。
    【比嘉澤】新人パイロット。と言ってもパイロットとして新人というわけではなく、基地にとって。女。
    【フーコ】酔っ払って道のど真ん中で寝ていた女。基地のパイロットたちの遊び仲間。
    【プッシャ】戦闘機のタイプ。たぶんエンジンが後ろにあって機体を押して飛ぶタイプのことか?
    【紫目】爆撃機。双胴。
    【毛利】指揮官。髭の長身。
    【薬田】僚友。色白で丸眼鏡。頬に傷がある。

    引用(後日、引用のとこに移していきます。iPhoneアプリではできないので)

    優しいものって、どうしてどれも止まろうとするのか。(p.9)

    いつもドライで、そして身軽でいたいし、いつも、そのときに可能な最高のコンディションでいたい。(p.10)

    危険というのは、予測されるものだけに使う言葉だろう。(p.45)

    雲の中に浮かんでいる岩にぶつかったと思ったかもしれない。パイロットの間では、その岩の話は有名だった。(p.61)

    僕は夜が好きだ。(p.61)

    機敏さってのは、逃げるものが欲しがる機能だ(p.85)

    「さあね。どっちも、同じくらい死んでるんじゃないかな」(p.124)

    鶏はチキンになる。さっきまで生きていたものが、いつの間にか美味しそうな食べものになっていく様を、じっと観察していた。どこから、自分はそれを食べたいと思うか、知りたかった。(p.152)

    理由がなければ、何も正しくないし、何も間違っていない。(p.160)

    思いやりや優しさというのは、他人から自分を切り離すためのもの(p.162)

    優しさが不自由さを作っているのだといえる。(p.170)

    話なんて、すべて余計なのだ。(p.185)

    しかし、僕は、すべてに対して嘘で答えた。

    自分には、向上心はありません(p.248)

    人間の意志も、見えないところで広がるのかもしれない。(p.250)

    仕事なんて、みんな汚いものだ。人間が生きていくこと自体が汚れている(p.272)


    安定していることは戦闘機としては失格だ。(p.275)

    昨日や一昨日は、もう来ない。来るのは明日ばかりだ(p.294)

  • クサナギの話。スカイクロラの次に何が出版されたのか確かめようとWikipediaをみたら【なんと時系列ではスカイクロラが最後だけど、どこから読んでもOK】みたいなことが書いてあってびっくり。騙された気分。読んでる最中、急にアニメ観たくなった。キルドレの外見はどんな風なんだろう。

  • 今回の本は『ナ・バ・テア』。前々回に読んだ『スカイ・クロラ』の続編で、『スカイ・クロラ』では主人公の上司だったクサナギの過去を、彼女の視点から描いています。
    特徴的なのは、一人称での地の文の書き方を、あえて前回と似たものにしていて、中盤の男尊女卑を突きつけられる描写でわかるまで、あえて読者のミスリードを狙っている点でしょうか。まぁ、ストーリーの根幹に関わる部分ではないですが、この本のエンタメ的な部分をほぼ担っている要素でもあると思います。
    なぜなら、ストーリー自体はあんまりエンタメ性のあるものではないからです。
    基本的には、前作で読者にまいた種を回収する内容だったので、「おお、そういうことだったのか」という驚きはあるけれども、地の文は淡々としているし、キルドレという「年を取らない子どもたち」の説明はまだ弱いし(たぶん次作以降に取ってあるのだと思いますが)、繋ぎ感の否めない作品でした。

    ただ、これを読んだことで、改めて前作を読み返したいと感じましたし、そこにはやはり作者のうまさを感じました。図書館の借り物だから、前作もう手元にないけど。

    引き続き、次作も読んでみたいと思います。

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著者プロフィール

工学博士。1996年『すべてがFになる』で第1回メフィスト賞を受賞しデビュー。怜悧で知的な作風で人気を博する。「S&Mシリーズ」「Vシリーズ」(ともに講談社文庫)などのミステリィのほか「Wシリーズ」(講談社タイガ)や『スカイ・クロラ』(中公文庫)などのSF作品、エッセィ、新書も多数刊行。

「2023年 『馬鹿と嘘の弓 Fool Lie Bow』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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