恋しくて - TEN SELECTED LOVE STORIES

制作 : 村上 春樹 
  • 中央公論新社
3.46
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本棚登録 : 1622
感想 : 170
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  • Amazon.co.jp ・本 (372ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784120045356

感想・レビュー・書評

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  • 短編集なので、2つ3つ読みました。大人向けの甘くてほろ苦いラブストーリーって感じ。アリス・マンローを読みたかったけど、ボリュームに断念してしまった。

  • 2014年、最初の文章はまだ読んだことがない村上春樹の文章で、と思っていたので、読めてよかった。

    「二人で少しずつ、この世界の謎を解き明かしていきたい。」

    カフカの『変身』を思いだして(読まずに)、『恋するザムザ』という題名を考えてから書いた話だそう。設定は謎だらけだけれど、こうして人は恋に落ちるな(恋に落ちるとはこういうことだったかも)と思った。

    まだあと8編と半分も読める(残りは村上春樹が訳したもの)と思うと幸せ〜。

    (6月25日 長男おたふくの中 読了)
    選ばれただけあって、どれも一癖、二癖あって、すごくよかった。普通の恋愛は一つもない。

  • 芸術における恋愛とは一つのメタファーだ。世界の不条理さや解決できぬ政治的諸問題に思いが届かぬ場合でも、人は愛せどもすれ違う姿や愛する2人を引き裂く現実についてなら簡単に想像できてしまう。そして幸福な恋愛はどれも似ていて凡庸で、困難な恋愛は数多の如く存在するからこそ人は寓話を、恋愛小説を手に取ってしまうのだろう。ローレン・グロフとアリス・マンローの2作が飛び抜けて胸を打つ。なお、村上春樹の新作は変態ファックスな全裸青年がコーヒーを飲んでる時だけはやたらと優雅でくつろいでで、あぁいつもの春樹だなと思いました。

  •  村上春樹の編んだラブストーリーのアンソロジー。すべて村上春樹の翻訳で、自身の短編も入っている。最初に本屋さんで手に取った時は、「村上春樹の短編小説を読むためだけに2000円は高いなぁ」と、棚に戻した。しかし、その後、ノーベル文学賞を受賞したアリス・マンローの作品も入っていることを知って購入。
     全部で10編が収められているが、まず村上春樹の『恋するザムザ』と、アリス・マンローの『ジャック・ランダ・ホテル』を読む。
     『恋するザムザ』は、カフカの『変身』の後日譚。ここでは、虫がザムザへと変身する。人間となったザムザは、まず身体を動かすことから始めなければならない。私は、ぎっくり腰になった時のことを思い出していた。
     うつ伏せになったまま、3時間以上も経過した。やがて、尿意を催し、立ち上がろうとするが、腰に激痛が走るので、ほんのわずかしか、身体を動かせない。痛みの少ない姿勢を探りながら、壁にもたれながら、やっとの思いで立ち上がる。手を放すと、上半身の重みが腰にかかり痛い。立つということは、重力に抗することだと実感できる。私は、今、700万年前の人類となっている。人類が初めて二本の足で歩き始めた時のことが手に取るように分かる。
     やがて、自らの身体に目覚めて、「発情するザムザ」となるところが、村上春樹の小説の面白さだ。世界を知ることは、他者に発情することから始まるらしい。
     『ジャック・ランダ・ホテル』は、短編の名手と呼ばれる作家の作品だけあって、手の込んだ恋愛小説となっている。とりあえず「味わい深い大人のストーカーのお話」とだけ言っておこう。だから、末尾に付された村上春樹の採点は「甘味が星1つ半、苦味が星3つ半」だ。

  • 村上春樹が集めて翻訳した(ひとつはカフカ元ネタの書き下ろし)10のラブ・ストーリー
    ストレートで簡単な恋愛ばかりではないけれど、どれもじわじわくる短編で、 正直全ての作品で、ドキドキしている自分がいました。

    訳者があとがきで言うとおり、「人を恋する気持ちというものは、それがかなり昔の記憶だとしても、人生をほんのりと温めてくれたりもする」んですね。
    このあとがきの最後の2段落が私はとっても好きでした。
    あなたの心の形にうまくフィットするものがあることを、それがあなたの心を少しでも温めてくれることを希望すると。

    それぞれの作品のあとにあるノートと「恋愛甘苦度バロメーター」もうれしい(*^^*)

  • 壮大な大河ドラマのようなものから、ぐちぐちした心理描写モノまで、さまざまな恋愛の形のお話。古今東西、いつの時代も程度の差こそあれ、男と女のあれこれは、ひとつの事件である。だから共感するものもあるし、恐いし、おもしろい。少し訳が読みにくいものもあったけど、バラエティに富んだ恋愛のお話、楽しんで読んだ。

  • 翻訳でも春樹ワールドを出せるところが流石。
    個人的には、村上春樹の短編「恋するザムザ」最初の作者自身の紹介のラスト一文がハルキストにとってたまらないのではないかと。少なくとも私にとっては、あの小洒落たユーモアがたまらなく愛しくて憎くて、やっぱり大好きです。
    本編に関係なさすぎてレビューと呼べないけれど、たまにはこういうのもいいじゃない(笑)

  • 「テレサ」で「それともいうのも」が気になっちゃって先に進めない、という人は他にいませんか?

    短編小説を一つ読むごとに編者のコメントと星取表が配置されている。両者を交互に読み進めていると、なんだか編者と対話しているような甘い気持ちが湧いてくるから不思議。自分自身の恋に対する志向が明らかになるかもしれない。

    のんびり「これはあり」、「これはなし」とか談話室で語り合ったら面白くなりそうなアンソロジーです。

  • 「愛し合う二人に代わって」が好き。ストレートでスイートな恋物語。

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「ストレートでスイートな」
      このアンソロジーの書き手は殆ど知らないので、とっても読みたい(文庫化が待てない)。。。
      「愛し合う二人に代わって...
      「ストレートでスイートな」
      このアンソロジーの書き手は殆ど知らないので、とっても読みたい(文庫化が待てない)。。。
      「愛し合う二人に代わって」のマイリー・メロイは、「21世紀の世界文学30冊を読む」に紹介があって、気になってる一人なんだなぁ、、、
      2013/09/19
    • ミラコさん
      私も待てずにハードカバー購入。「愛し合う二人に代わって」以外は、ビターな感じか、一癖二癖ある感じでした。
      私も待てずにハードカバー購入。「愛し合う二人に代わって」以外は、ビターな感じか、一癖二癖ある感じでした。
      2013/09/20
  • 星四つ
    チーちゃんのプレゼント(^-^)/
    短編小説なので星がつけにくい
    モントリオールの恋人は星五つかな

    • ぶっかけさん
      >モントリオールの恋人は星五つかな
      リチャード・フォードの文体、あるいは訳文に一番ひかれたので同感です。それから、まとめて一種類の星がつけに...
      >モントリオールの恋人は星五つかな
      リチャード・フォードの文体、あるいは訳文に一番ひかれたので同感です。それから、まとめて一種類の星がつけにくいなあというのも同感。アンソロジーだからなのか、とも思ったのですが。
      2013/09/25
    • fujinokoichiさん
      コメントありがとです。
      内容もそうですが、文体や訳文がいちばん印象に残ったな― と思いました。
      確かにアンソロジーは星つけづらいですね
      コメントありがとです。
      内容もそうですが、文体や訳文がいちばん印象に残ったな― と思いました。
      確かにアンソロジーは星つけづらいですね
      2013/09/26
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