ドミトリーともきんす

著者 :
  • 中央公論新社
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  • Amazon.co.jp ・本 (126ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784120046575

感想・レビュー・書評

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  • こんな天才と同じ時代に生まれて幸せ

  • やっぱこの人の絵っていいな。狙い通り、懐かしい科学者の著作が読みたくなりました。

  • ◆朝永振一郎・牧野富太郎・中谷宇吉郎・湯川秀樹の4人の理系学生を下宿させるーーという妄想からなるコミックなのに、でんぐり返りをしたように・木登りしたように・逆立ちしたみたいに心が子どもに戻っていくのはなぜか? ◆ものの名前を知らず、ただ好奇心に満ちた瞳だけがあったあの頃に戻りたくなる。◆平行線が交わる「球面世界」にはじまって、湯川秀樹の「詩と科学」に辿り着く。その構成に心がふるえる。あたたかく抱きとめられる。◆最初は「こんな下宿、羨ましい」と思い読んでいたが、読み進むうち、本を読むとは「ドミトリーともきんす」を自分の中に持つことなんだと思い直す。本を読む私たちの本棚に、心のうちに「ドミトリーともきんす」がある。それはなんて幸せなことか! 
    素敵なことを教えてくれた高野さんに感謝♪ 

  • いちばん好きなマンガ家は誰かと言えば、迷わず高野文子と答える。かれこれ15年ほどずっとマイ・ベスト・マンガ家であり続けている。その高野文子のひさびさの新刊。マンガ作品としては実に12年ぶりの新作。そして、12年待った甲斐のある素晴らしい新作。
    学生寮「ともきんす」の寮母とその子、そしてそこに住まう”科学する人たち”の物語。朝永振一郎、牧野富太郎、中谷宇吉郎、湯川秀樹ら、20世紀日本を代表する科学者が残した文章をたどり、それぞれの科学する心を描き出す。何が起こるわけでもなく、これといった起承転結もないのに、適度な緊張感をはらみつつきちんと成立する物語。無駄のないミニマルな絵の中の自在な視点移動と巧妙な表現。徹底的に磨き上げられた無二の表現力が、科学者たちの文章を読んだ時の感動を追体験させてくれる。

  • とても良かった。
    自然化学の本の読書案内。

    高野氏はいままで、絶対安全剃刀と棒がいっぽん、るきさんしきぶとんさん〜(絵本)しか読んだことがありませんでしたが、柔らかで繊細な、自由きままな線と温かみがありながら淡々としたストーリー(どこか観測者的な)がとても好きで。
    動機は高野氏のあとがきに…その目論みは大成功、ぜんぶの本が読んでみたくなりました。なんてあたたかな…ほんとうに、寮母さん おかあさんの眼差しで、あたたかく、それでいて入り込みすぎない…見守る姿勢、意志・意図が線に、まんがというものがたりに、ここまで表現し得るのか.と腰を抜かしました。

    話題の牧野富太郎氏も登場します。とっても魅力的なお姿で…ひらひら。

  • 牧野富太郎について気になっているものの、どこから手をつけようか迷って、この本から入ろうと手にとってみたら、思った以上に興味深い内容でした。

    四人の科学者が暮らすドミトリーともきんす。寮母さんと娘さんと彼らの会話から、彼らがどんなことを扱っていたのかわかり、しかも彼らのエッセイを中心とした読書案内もしてくれて、いい本でした。

    研究内容だけに特化していたら、多分わからなすぎて敬遠していたと思うのですが、エッセイを中心に紹介してもらうと、その人の人となりも一緒に知ることができるので、興味が持てる気がします。さて、牧野さんのエッセイを読もう。

  • 不思議な学生寮「ともきんす」に住む4人の寮生さん。朝永振一郎、牧野富太郎、中谷宇吉郎、湯川秀樹。世に出る前の彼らとの架空の交流を想像して、科学の言葉を読み返す。
    シンプルな書体とひんやりとした雰囲気、佇まい。わかるようでわからない。それでも何とか彼らの考えていることに近づいていく感覚。これはおもしろい。難しいからおもしろい。何度も読んだら科学の中にある詩に私も近づけるかしら。

  • ずっと高野文子が好きだ。
    新刊が出ると知ったらすぐに予約をするし、予約した後は発売日を心待ちにする。高野文子一色と言っては過言だけど、そんな感じになる。
    今回は科学者達の言葉がテーマ。
    学生寮で暮らしている科学者達は、寮母さん親子に研究の話を熱心にしたかと思えば、落ち込んだところを寮母さんに励まされたりする。別の日には寮母さんの子供(きん子ちゃん)に科学について丁寧に説明したりもする。
    私もきん子ちゃんと一緒に疑問に思ったり納得したりしているうちに、科学の世界に少しだけ近づけたような気持ちになる。
    繰り返し読んでるけど、読む度に驚いたり感心したりしてる。
    そして何と言っても絵が素晴らしい。ちょっとした仕草を描くのがとにかく上手い。
    出版されたのが3年前。しかも11年振りの新作。
    次の作品はいつかなあ。楽しみだ。

  • うわあ…!
    これは面白い…!
    寮母と娘、寮に住む学生達の話なのだけど、その学生達は名だたる科学者達。
    現実とフィクションの境目に落っこちたような気持ちで、楽しく読んだ。
    科学、と聞いただけでちょっと身構えてしまう私も、エピソードの面白さと引用文の良さで引き込まれる。
    道に踏み込みたくなる、良い読書案内だった。

  • 川上澄生の明治の版画を思い出した。時代の距離感がちょうど3世代分くらい、というところか。文体と画風との違い、製図ペンで書いたという均一な線。最後の3ページのなんというリリック。

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著者プロフィール

高野文子(たかの・ふみこ)
1957年新潟県生まれ。漫画家。1982年に日本漫画家協会賞優秀賞、2003年に手塚治虫文化賞マンガ大賞を受賞。作品集に『るきさん』『おともだち』『絶対安全剃刀』『ラッキー嬢ちゃんのあたらしい仕事』『棒がいっぽん』『黄色い本』がある。漫画作品の他に、絵本なども手掛ける。

「2022年 『増補 本屋になりたい この島の本を売る』 で使われていた紹介文から引用しています。」

高野文子の作品

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