ドミトリーともきんす

著者 :
  • 中央公論新社
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感想 : 207
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  • Amazon.co.jp ・本 (126ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784120046575

感想・レビュー・書評

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  • おお、高野文子さんの新作!待ってました!「黄色い本」以来だからずいぶん久しぶり、それはそれは楽しみにしていた。大判で柿色の美しい表紙を目にしただけで胸が高鳴る。こんないい気持ちってちょっと他にないなあ。

    読み出すと、もうそこは独特の高野ワールド。太めの線で、あえて平板に描かれたページにどんどん引き込まれる。コマ割の仕方も、初めて見るようなのが幾つもあった。ゆっくりした呼吸で読んでね、と語りかけられているような感じだ。

    内容がまた感涙もの。科学者(の卵)四人が下宿する小さなドミトリーが舞台として設定されている。朝永振一郎と湯川秀樹はまあ当然として、牧野富太郎と中谷宇吉郎という人選がまことにしぶい! あとがきに、いつもなら自分の気持ちが一番にあるが「今回は、それを見えない所に仕舞いました」とあるように、過剰な思い入れやドラマティックな要素を一切排して、静かに描かれているが、それでもなお、著者の心からの敬意が伝わってくる。「涼しい風が吹いてくる」愛すべき一冊だ。

    終わりの方に配された、湯川秀樹「詩と科学」の一節が素晴らしい。ここまで読み進めてきて、この絵とともに味わうことで、言葉が心の深い所に届いてくるようだ。しみじみ良かったです。

  • Book Cafeで、ふと気になって手にしてみた。
    著者のプロフィールに、「2003年に手塚治虫文化賞マンガ大賞受賞」とあり、なるほどな、という画風に納得。

    不思議な学生寮「ともきんす」の二階に、時代も異なる4人の科学者(の卵?)である学生が下宿しているという体で、物語が進む。
    個々の回で、それぞれの科学者の著作のなかの印象的な言葉を中心に、その科学者のパーソナリティや、研究対象への興味、世に伝えたい思いを探っていく。

    独特のペーソスと、科学者たちにも若い学生時代があったのだなと、そのヒトトナリに触れるようでもあり、面白い。

  • ずっと気になってて、図書館で発見でラッキー。
    マンガで書いてあるとはいえ、私にはなかなか刺激的で眠気を誘う本でした。こういうのもアリだな~って。
    第2弾もあったら読みたい!

  • おまけのような位置付けの、冒頭の『球面世界』が、発想が奇抜で一番面白かった。
    きん子ちゃんが作中で少しづつ成長してしているのが嬉しい。

    四人の科学者(とガモフ氏)はそれぞれカッコよく、紹介してある本を読みたくなった。

  • 4人の日本の科学者をマンガと文章で紹介した本。
    ある人のブログで紹介されていて、牧野さんと湯川博士の名前があったので購入。

    牧野富太郎氏は小学生の頃、伝記を読む授業でランダムに渡されたのが氏の。読了できなかったが、全く知らないその人の努力と動植物への愛が伝わった。

    湯川氏は彼の子どもの頃の友達のいない悲しい体験を教科書で読んで、ノーベル賞受賞者にもこんな経験があるんだと親近感を。

    中谷氏は北大のキャンパス(母校ではないのが残念)で見かけた「低温」の文字と雪の結晶の碑。白銀荘も身近な場所だし。

    朝永氏は知らないけど、みんな懐かしい友達みたい。文豪や大作家の作品を読んでもこんな気持ちにはならないのに、とっても親しい気持ち。

    もうちょっと分量があってもいいかなぁ、

  • 高野文子 | Matogrosso
    Webメディア マトグロッソ(イースト・プレス)
    http://matogrosso.jp/author/fumiko-takano/

    中央公論新社のPR
    「異才・高野文子が新作のテーマに選んだのは「科学者たちの言葉」でした。朝永振一郎、牧野富太郎、中谷宇吉郎、湯川秀樹……日本の優れた科学者たちが遺した文章を、なぜいま読み返すのか。その意義を著者は、架空の学生寮「ドミトリーともきんす」を舞台に、そこに暮らす「科学する人たち」と一組の母娘の交流を通じて丁寧に描いていきます。 「道具を持ち替えることから始めた」と著者が語る通り、画面を行き交う線はさらなる進化を遂げ、フィクションとノンフィクションのあわいに、唯一無二の世界が生まれました。 本書には、Webメディア「マトグロッソ」で連載されていた表題作「ドミトリーともきんす」に加え、連載への布石となった短編「球面世界」「Tさん(東京都在住)は、この夏、盆踊りが、踊りたい。」の二篇を収録。漫画単行本としては前作『黄色い本』から12年――大判サイズで絵の魅力をあますことなく伝える、ファン待望の一冊です。 」

  • 大好きな科学本。漫画であって、科学であって。とても大好きな一冊である。

  • どんな内容なのか、知らずに高野文子さんだからという理由だけで読んだ。
    やはり、高野文子さんのことは信じていいのだと確信。
    漫画による科学の本の読書案内。読んではいないが、この1年でよく目にした朝永振一郎、湯川秀樹の2人。そして、牧野富太郎。初めて知った中谷宇吉郎。読んでみたいとは思っていた人たちの本。高野文子さんのおかげで読まなくてはいけない本に昇格。
    それにしても、高野文子さんってすごい人だな。高野文子さんの作品も全部読みたくなる、読書案内でした。

  • すごーーーーくいい本でした!
    「球面世界」だけ立ち読みして、かがくのほんみたいな感じなのかな? と勘違いしていたのですが、科学者たちのエッセイが主な題材で、それぞれの方の人となりや学問への姿勢、未来をまなざす力が可愛らしい画風で描きだされています。
    ノートに書き留めておきたい言葉、手に入れたい本がたくさん出てきました。

  • ちょっと読みかけて勿体なくて止めて、その間に中谷宇吉郎を岩波少年文庫で読んで、高野さんラジオ出演を機にようやく再開したら、これに載ってた中谷さん。
    シンクロニシティ!というわけでもなく、無意識に意識に残ってたんやろなー。
    しばらく浸りそう。

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著者プロフィール

高野文子(たかの・ふみこ)
1957年新潟県生まれ。漫画家。1982年に日本漫画家協会賞優秀賞、2003年に手塚治虫文化賞マンガ大賞を受賞。作品集に『るきさん』『おともだち』『絶対安全剃刀』『ラッキー嬢ちゃんのあたらしい仕事』『棒がいっぽん』『黄色い本』がある。漫画作品の他に、絵本なども手掛ける。

「2022年 『増補 本屋になりたい この島の本を売る』 で使われていた紹介文から引用しています。」

高野文子の作品

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