- Amazon.co.jp ・本 (193ページ)
- / ISBN・EAN: 9784121006745
感想・レビュー・書評
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上から見下ろした知識がいっぱい詰まっている
その割に面白く読み始められたのは
知識をつなぎ合わせているところに少しだけスリルがあるからだろう
しかしそのスリルもじきに飽きてくる
なぜなら継ぎ接ぎだらけで、全体を包んでいるしなやかな心がないからだろう
「もの」と「こと」を語りながら、話は掻き集めた知識ばかりの「もの」的でしかなく、底が浅い。
下野に降りて語れる勇気と力さえ持っていれば
くたびれずに読めるだろうにと、残念に思う
ともあれ西洋的学問から抜け出せていない古臭さがある
にもかかわらずどことなく一歩踏み出しているような
おもしろさも感じられた
あとがきに至ってこれを最初に読んでいれば
本文を随分と素直に読めただろうと思った
内容としては丸ごと同感であったからこそ
随所で面白さに惹かれていたのだとわかった
わずかなズレが魅力となるかと思えば違和感ともなることを
証明してくれたような本であった
論文というものの固さによる危うさかもしれない
だとしたら読み手がその分しなやかであらねば調和できない
硬さと柔らかさで脈打つことが現象の条件だともいえる
脈打ち損なえばそれまでのことで
リラックスして混沌という羊水に体を委ねて反芻してみよう詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
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── 木村 敏《時間と自己 198201‥ 中公新書》
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鬱病者と分裂病者の時間感覚について論じたもの。とてもわかりやすく読みやすい。「鬱病者にとって、自己を規定しているのは役割演技」であるという旨の記述はとても納得できる。
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木村敏さんの思想に、私としては目新しいことはほとんどなかったが、新書ということもあり、いつもより平易な語り口で、木村敏入門として、よくまとまった本だと思う。
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こんなにワクワクする本、今まで読んだ事がありませんでした。
この「時間と自己」から読書にハマりました。
また近いうちに読みます。 -
精神病理学という、精神医学のなかの、あるいはそれを批判する学問分野で有名な人の本。哲学的な人間学的な観点から精神病を分析する。独特の理論がこの本で軽く説明されている。哲学の入門にもいい本だと思う。ハイデッガーが分かるようになるかも。
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時間という現象と、私が私自身であるということは、厳密に一致する。自己や時間を「もの」ではなく「こと」として捉え、西洋的独我論を一気に超えた著者は、時間と個我の同時的誕生を跡付け、更に精神病理学的思索を通じて、普通は健全な均衡のもとに蔽われている時間の根源的諸様態を、狂気の中に見て取る。前夜祭的時間、あとの祭的時間、そして永遠の今に生きる祝祭的時間――「生の源泉としての大いなる死」がここに現前する。