時間と自己 (中公新書 674)

著者 :
  • 中央公論新社
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感想 : 55
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  • Amazon.co.jp ・本 (193ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784121006745

感想・レビュー・書評

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  • 上から見下ろした知識がいっぱい詰まっている
    その割に面白く読み始められたのは
    知識をつなぎ合わせているところに少しだけスリルがあるからだろう
    しかしそのスリルもじきに飽きてくる
    なぜなら継ぎ接ぎだらけで、全体を包んでいるしなやかな心がないからだろう
    「もの」と「こと」を語りながら、話は掻き集めた知識ばかりの「もの」的でしかなく、底が浅い。
    下野に降りて語れる勇気と力さえ持っていれば
    くたびれずに読めるだろうにと、残念に思う

    ともあれ西洋的学問から抜け出せていない古臭さがある
    にもかかわらずどことなく一歩踏み出しているような
    おもしろさも感じられた

    あとがきに至ってこれを最初に読んでいれば
    本文を随分と素直に読めただろうと思った
    内容としては丸ごと同感であったからこそ
    随所で面白さに惹かれていたのだとわかった
    わずかなズレが魅力となるかと思えば違和感ともなることを
    証明してくれたような本であった

    論文というものの固さによる危うさかもしれない
    だとしたら読み手がその分しなやかであらねば調和できない
    硬さと柔らかさで脈打つことが現象の条件だともいえる
    脈打ち損なえばそれまでのことで
    リラックスして混沌という羊水に体を委ねて反芻してみよう

  •  
    http://booklog.jp/users/awalibrary/archives/4121006747
    ── 木村 敏《時間と自己 198201‥ 中公新書》
     

  • もの と こと の関係において、時間を考えることができる。
    もの は、時間を考えなければ、そのまま同じ状態である。
    こと が起きると、時間とともに変化していく。

    自己についても、こと と 時間の関係で描写できるだろう。

    ps.
    野口 悠紀雄著 「続「超」整理法・時間編―タイム・マネジメントの新技法 」 の参考文献に本書が掲載されている。

  • [ 内容 ]
    時間という現象と、私が私自身であるということとは、厳密に一致する。
    自己や時間を「もの」ではなく「こと」として捉え、西洋的独我論を一気に超えた著者は、時間と個我の同時的誕生を跡づけ、さらに精神病理学的思索を通じて、ふつうは健全な均衡のもとに蔽われている時間の根源的諸様態を、狂気の中に見てとる。
    前夜祭的時間、あとの祭的時間、そして永遠の今に生きる祝祭的時間――「生の源泉としての大いなる死」がここに現前する。

    [ 目次 ]
    第一部 こととしての時間(1 ものへの問いからことへの問いへ 2 あいだとしての時間)
    第二部 時間と精神病理(1 分裂病者の時間 2 鬱病者の時間 3 祝祭の精神病理)
    第三部 時間と自己-結びにかえて
    あとがき

    [ POP ]


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    ☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
    ☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
    共感度(空振り三振・一部・参った!)
    読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)

    [ 関連図書 ]


    [ 参考となる書評 ]

  • 鬱病者と分裂病者の時間感覚について論じたもの。とてもわかりやすく読みやすい。「鬱病者にとって、自己を規定しているのは役割演技」であるという旨の記述はとても納得できる。

  • 木村敏さんの思想に、私としては目新しいことはほとんどなかったが、新書ということもあり、いつもより平易な語り口で、木村敏入門として、よくまとまった本だと思う。

  • こんなにワクワクする本、今まで読んだ事がありませんでした。
    この「時間と自己」から読書にハマりました。
    また近いうちに読みます。

  • 精神病理学という、精神医学のなかの、あるいはそれを批判する学問分野で有名な人の本。哲学的な人間学的な観点から精神病を分析する。独特の理論がこの本で軽く説明されている。哲学の入門にもいい本だと思う。ハイデッガーが分かるようになるかも。

  •  時間という現象と、私が私自身であるということは、厳密に一致する。自己や時間を「もの」ではなく「こと」として捉え、西洋的独我論を一気に超えた著者は、時間と個我の同時的誕生を跡付け、更に精神病理学的思索を通じて、普通は健全な均衡のもとに蔽われている時間の根源的諸様態を、狂気の中に見て取る。前夜祭的時間、あとの祭的時間、そして永遠の今に生きる祝祭的時間――「生の源泉としての大いなる死」がここに現前する。

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著者プロフィール

1931年生まれ。京都大学名誉教授。著書に『木村敏著作集』全8巻(弘文堂)、『臨床哲学講義』(創元社)、共訳書にヴァイツゼカー『ゲシュタルトクライス』(みすず書房)ほか。

「2020年 『自然と精神/出会いと決断』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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