天災から日本史を読みなおす - 先人に学ぶ防災 (中公新書 2295)
- 中央公論新社 (2014年11月21日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (221ページ)
- / ISBN・EAN: 9784121022950
感想・レビュー・書評
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古文書から得られる災害対策のヒント
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本書を読んで思ったのが、日本は自然災害が多い場所、ということ。だから色々対策もできる。けれどもその災害経験が生かされないことも多々あることも分かります。
先の東北大震災では海岸線の松林は役に立たず、津波で引きぬかれた松が人に対する凶器にもなるということに戦慄。このことはあまり知られてないことではないでしょうか。 -
「蛇落地」に建てられた団地
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「災害を考える」と言えば、何か“理系”な科学という印象が強いが、「過去の記録を紐解いてモノを考える」という歴史学のような「文系の科学」というのも大切であるような気がした。
とにかく非常に興味深い一冊だ!! -
2015/06/20
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著者は,『武士の家計簿』を書いた磯田道史氏。石川県人である私は,こちらの方を先に知っているので,「なんで,この先生が,こんな本を書くの?」と思ってしまった。
このあたりのことについて,著者は,あとがきで簡単に触れている。
「しかし,その間も常に災害史のことは頭にあって,武家文書の調査をしていても,地震や津波の資料があれば収集しておくことを20年間続けていた。本書はその積み重ねの成果である。」
なるほで…である。
寒川氏の著作とは,またちがう視点で,過去の地震や津波災害を捉えていて,おもしろい。もしも,あのとき,あの地震が無かったら,歴史はちがう展開になっていたかも知れない…と思う箇所もあった。
ただ,他の人がレビューでも書いているように,後半は,「先人に学ぶ防災」という感じになっていて,ちょっと「日本史を読みなおす」とは言えない内容だ。
でもでも,それもまた大切な情報であり,今後,私たちが「なぜ歴史を学ぶのか」を考える時の1つのヒントを与えてくれる内容であることは確かだ。
最後に紹介されている岩手県普代村の防潮堤と和村村長の話は,明治の話であるだけに,とても身に染みた。 -
歴史学者の磯田先生が、天災に関して残された歴史資料から防災を考えるもの。学ぶべき点が多い書です。
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防災について歴史学から見つめてみようと思い読み始める。
朝日新聞のBe連載時から読んでいたので、再読したものも多い。
昨年土砂災害にあった地元安佐南の八木「蛇落地」の話もある(『佐東町史』に詳しい)。本書を読了後に『佐東町史』の該当箇所を確認したが、この記述だけで土砂災害に結びつけれるかどうかは疑問。ただし、同じ事例の記述が今後もしあればその地域の防災意識を高めるきっかけにはなるであろう。
また、本書では津浪だけでなく台風による高潮被害への警鐘もならしている。
津浪・高潮に頻繁に襲われる日本だけに、どのようにしたら生き残れるか参考となる先人の叡智は多い。 -
慶長地震やシーボルト台風などの巨大な災害が歴史にもたらした影響のくだりは面白いが、後半は災害史が綴られるだけで「日本史を読み直す」テーマとは関係なくなる。副題はそこをカバーしてのものだが、一気に興を殺がれる印象。