富士日記 上巻 改版 (中公文庫 た 15-6)

著者 :
  • 中央公論新社
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  • Amazon.co.jp ・本 (474ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784122028418

感想・レビュー・書評

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  • 富士の別荘での、淡々とした日常の記録。
    気ままに自由にのびのびと生活されてる感じが好きです。
    他人の家族の生活をのぞき見てるようで、色々細かいことが気になったり、笑えたりしますが、全体的に雰囲気を楽しむ作品だと思います。

  • たんたんとしていて、何も考えずにちょっと読んで、そのうちスッと眠ってしまえる本。なんかオシャレ。

  • 日々を淡々と記した日記。
    朝、昼、夜に何を食べ、いくら使ったとか。
    でも日々のなかに、少しだけ変化があったり
    それは季節の変わり目であったり、犬の不調であったり。

    とにもかくにも、武田百合子さんの男っぽい性格と繊細さのバランスの良さ。これはかっこいい女性だと思う。

    そして、富士山麓の人々の良さ。
    ガソリンスタンドに行くたびに、なにかお土産をもらったり。
    ただで全部「くれてやる」という表現がたまらなく好きである。

  • なんとなくもったいなくて、少しずつ読んだ。
    その日の出来事が箇条書きに近いような形で淡々と書かかれているだけなのに、何故かひきこまれる。

  •  東京から富士山麓に移り住みつつ、両方を行ったり来たりする小説家の妻の話。

     
     しんけんには読まず、ぼーと読んでいる。随筆はぼーと読む。家がどんどん完成されていく。知り合いが増える。知り合いの言葉遣いがすごい。
    「〜しただよ」
    「〜だったずら」
    「俺ら(うら)」
     静岡の友達が俺らの方言はすごいなまりだといっていたが、そのときは話半分に聞いていた。実際百合子(随筆を読むとその人とその人の家族を覗いていて、知り合い感覚になるので大概あだなや愛称で呼ぶことになる)の周りの人は日本昔話に出てくる農民のような言葉遣いだ。でもそのあたりでは当たり前のことなので普通のトーンで書かれていて、それがたまに噴出すくらいつぼに入る。まだ上だから慣れないのだ。


     百合子は毎日のように買った食材や生活費を記入する。それがやたらに生活臭を漂わせていて、またやたら怒るし、若い男から話しかけられたら嬉々として日記するし、小説家のだんなの影は薄いし、飼い犬は足を引きずっていて臭いし、ちっともおしゃれじゃない。しかし執拗に執拗に分厚い本三冊に渡ってそんな自分の生活を文章にするのだから残り三分の二も楽しみだ。知り合いの外川さんという馬鹿な石工の総領のおじさんが気に入ったのでもっと出てくればいいと思っている。

  • 飾らない、隠さない、引きずらない。なにもかもたちまち百合子さんにむしゃくしゃと咀嚼されてしまって彼女の血や肉になって、溶けて、出て、世界と交換されてしまう。つまり百合子さんと世界はおなじもので出来ている。混沌。雑然。世界にすうっと一本線で型を取ると、女が現れる。なんとくっきりした線なんだろう。

  • 未読

  • 淡々と綴られている日常の中に、筆者の感性がきらめいている…というのがこの日記の評なんですが、確かにそういう部分もあれ、基本的には当時の通俗(かたや作家の奥さん、かたや田舎の人々の生活という対比)が面白いと思うのは人の書く日記に慣れすぎた私のせいでしょうか。

  • 小川洋子さんおすすめ。

  • 田舎暮らしの初代紹介本
    武田泰淳は一冊も読んだことはないのですが、奥さんの文章もなかなか。
    私もこんな感じで文章書こうかな・・・

著者プロフィール

武田百合子
一九二五(大正一四)年、神奈川県横浜市生まれ。旧制高女卒業。五一年、作家の武田泰淳と結婚。取材旅行の運転や口述筆記など、夫の仕事を助けた。七七年、夫の没後に発表した『富士日記』により、田村俊子賞を、七九年、『犬が星見た――ロシア旅行』で、読売文学賞を受賞。他の作品に、『ことばの食卓』『遊覧日記』『日日雑記』『あの頃――単行本未収録エッセイ集』がある。九三(平成五)年死去。

「2023年 『日日雑記 新装版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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