これは王国のかぎ (中公文庫 お 65-9)

著者 :
  • 中央公論新社
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  • Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784122048119

感想・レビュー・書評

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  • これはおうこくのかぎ
    そのおうこくに としがあり
    そのとしに まちがあり
    そのまちに とおりがあり
    そのとおりに こみちがくねり
    そのこみちに にわがあり
    そのにわに いえがあり
    そのいえに へやがあり
    そのへやに ベッドがあり
    そのベッドに かごがあり
     かごのなかには あふれるはな
    This is the key of the kingdom,
    In that kingdom is a city,
    In that city is a town,
    In that town there is a street,
    In that street there winds a lane,
    In that lane there is a yard,
    In that yard there is a house,
    In that house there waits a room,
    In that room there is a bed,
    On that bed there is a basket,
    A basket of flowers.
    はなはかごに
    かごはベッドに
    べっどはへやに
    へやはいえに
    いえはにわに
    にわはこみちに
    こみちはとおりに
    とおりはまちに
    まちはとしに
    としはおうこくに
     これはそのおうこくのかぎ
    Flowers in the basket,
    Basket on the bed,
    Bed in the chamber,
    Chamber in the house,
    House in the weedy yard,
    Yard in the winding lane,
    Lane in the brood street,
    Street in the high town,
    Town in the city,
    City in the kingdom;
    This is the key of the kingdom.

  • また読み直したい本のひとつ。
    すこし話が急なところもあるが、主人公がランプの魔人というのが面白い。読んだときはわくわくした。

  • 普通の女の子で精霊で、という視点の取り込み方が新しくて、そのおかげで、これまで読んできた他の小説のコンテキストはこう見れば腑に落ちる、と気づいたりして、興味深かった。

    火に親和性を持つ性質が、体から絞り出したあるもののためだったというモチーフが綺麗だった。児童文学らしい繊細な爽やかさだと思う。

    それを取り戻せば、分かち難い悲しみが迫るけれど、受け入れることは、克服することの入り口に立ったということ。いつかしなやかになれる鍵を手にしたということなのかもしれない。

  •  中学生のときか高校生のときか忘れましたが、学校の図書室で出会って以来、思い出深い一冊です。当時読んだときはハードカバーでした。
     当時読んだ本のことや内容は大抵忘れてしまっているのですが、この本についてはかなり覚えています。

     アラビアンナイトのような世界へ突然放り込まれて、王子様たちの波乱万丈な人生の一端に関わることになってしまった中学生の女の子。
     知らない世界でも物怖じしないさばけた性格の主人公が荻原さんらしくて好きです。ハールーンも。

     シェエラザードの存在や言葉が謎めいていて不思議な終わり方なのですが、入れ子人形のように、物語の外側にさらに物語が広がっていて……という考えはとても共感できます。むしろ、そういう価値観をこの本から貰ったのかもしれない。
     わたしたちの知覚する世界は宇宙の遥か彼方まで広がっているけれど、もしかしたら宇宙の向こうにあるのは、女の子の部屋かもしれないし、シェエラザードのいる場所なのかもしれない。わたしたちは、寝物語に語られる世界の中の一人物に過ぎず、ジャニが海の向こうへ行けなかったように、語り手によって世界に閉じ込められているのかもしれない。
     ハールーンたちのいる世界を一番内側、シェエラザードのいる世界がその外側、そしてさらに外側に「上田ひろみ」のいる世界があるとしたら、シェエラザードの言葉も、少し分かるような気がします。
     そう考えると、物語の外へ自由に飛び出していけるハールーンが、ちょっと羨ましいです。

     ところで、文庫版の表紙、とても好きです。
     読み終わったあとに見返すと、いろいろとこみあげてくるものがあります。 

  • 肩透かし

  • 上田ヒロミ。15歳。片思いだった彼と親友がつきあいだし、失恋したて。傷ついて、自分をもやめたい、と思ったヒロミは、いつの間にか、訳がわからないことに、ターバンを巻いた青年・ハールーンに引っ張られて、アラビアンナイトのような世界に来てしまった。しかも、ヒロミは、人間ではなく、魔神族(ジン)だったのだ。

    ハールーンと旅しながらも、魔神族初心者のヒロミは、、姿を消したり、飛んだり、物を出したり、物にのりうつったり・・・ジンっぽことをいろいろ出来るようになっていった。ハールーンは、ジンであるヒロミと旅をしていても恐れず、陽気で、自分の力を試す自由な旅をしていた。

    しかし、ハールーンはある国の王子であった。自分がいれば、後継者争いが起きそうな国を一人で出た王子は、次期国王をして擁立したいお付き合いの者たちや、反対派の暗殺者たちに追われる身でもあったのだ。

    ヒロミはこの世界で、ハールーンを助け、自分ももとの世界に戻れるのか?

    アラビアンナイトも一緒におオススメしたい。

  • ハールーンという名前は良い。

  • アラビアン異世界トリップもの。
    安心安定の優しい文体に癒やされつつ、読むタイミングが今じゃなかったのか、女子学生一人称でケータイ小説を思い出していちいち「スイーツ(笑)」とよぎってしまったせいか、いまいち入り込めず。
    謎が解かれた時の衝撃がすごく好きでした。

  • 学級文庫用に購入。
    荻原規子さんというと、勾玉シリーズが思い浮かびますが、アラビアンナイトの世界でも上手ですね。

    15歳の女の子が異世界に迷い込む。

    これだけならよくある話!もう掃いて捨てるほど。

    しかし、みずみずしい感性で描かれてるので面白いです。

    ただ、歳をとりすぎたかやや入り込めませんでした。
    ハールーンもラシッドも典型的すぎる・・・。

  • 上田ひろみちゃんの「内」のお話。
    読んでくうちに、実は昔読んだことあった、と思い出しました。

    何がどうしてそうなったのかは、よくわかんなかったりするんですが(苦笑)、現実に戻って「樹上のゆりかご」につながってくんだなぁ、としみじみ。

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著者プロフィール

荻原規子・東京生まれ。早稲田大学卒。『空色勾玉』でデビュー。以来、ファンタジー作家として活躍。2006年『風神秘抄』(徳間書店)で小学館児童出版文化賞、産経児童出版文化賞(JR賞)、日本児童文学者協会賞を受賞。著作に「西の良き魔女」シリーズ、「RDGレッドデータガール」シリーズ(KADOKAWA)『あまねく神竜住まう国』(徳間書店)「荻原規子の源氏物語」完訳シリーズ(理論社)、他多数。

「2021年 『エチュード春一番 第三曲 幻想組曲 [狼]』 で使われていた紹介文から引用しています。」

荻原規子の作品

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