怒り(上) (中公文庫 よ 43-2)

著者 :
  • 中央公論新社
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  • Amazon.co.jp ・本 (310ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784122062139

感想・レビュー・書評

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  • 人を信じる気持ちってとても難しいと思わされた作品。身近に居る人が連続殺人犯かもしれないと疑ってしまった自分の気持ちって本当に辛いだろうなと読んでて切なかった。
    洋平が愛子を、優馬が直人を信じられなかった気持ち、辰哉の泉を守れなかった気持ち、それぞれの心理描写が胸をしめつけた。
    映画のキャストをはめ込んで読んでみたけど、どの人もピッタリハマってると思う。愛子と泉がどう演じられてるのか観たいなと思った。
    吉田さんは文章も読みやすくてこういう人の悪の描き方が悪すぎなくて少し光もある感じが好きな感じ。

  • まだ誰が怒っているのかわからないが登場人物が皆謎めいてて読んでてゾクゾクワクワク。
    吉田修一の作品を読むと週刊誌の安いインクの匂いを思い出す。三面記事っぽい哀しさ。きっとこの話もやるせないんだろうなぁ…。読むけど。

  • とにかく読みやすいし、物語が色んな人の視点で書かれているから続きが気になって一気に読んでしまった。上巻は面白かったが、下巻、特にラストにかけて失速、なんだろう、最後こういう展開かぁ、と、モヤモヤして終了。

  • 八王子で夫婦惨殺事件が起き、犯人は山神一也と判明するが、行方がわからない。そんな中、千葉・東京・沖縄の3カ所に身元不詳の男が現れる。その中に山神はいるのか、どうそれぞれが結びついていくのか、下巻が楽しみです。

  •  房総の漁協で働く洋平とその娘・愛子、東京の企業で働くゲイの優馬、沖縄に離島に移住してきた女子高生・泉。3人の語り手たちの側に現れた、素性の知れない3人の男たち。それぞれの人物が交わることはないが、語り手たちは男が1年前の八王子夫婦惨殺事件の容疑者・山神一也ではないかと徐々に疑いを募らせる。
     夢中になり一気読みして映画も観た作品。吉田さんも追いかけようと思うきっかけにもなったが、あまり冊数は伸ばせていない。上巻は誰が山神なの?とドキドキしながら終了。

  • とても面白い!
    続きが気になるので早く下巻が読みたい。

    作品紹介にもあるとおり、夫婦殺人の犯人が早々に判明するが、その後行方不明になったまま一年が過ぎたところからストーリーは始まる。
    千葉、東京、沖縄の3ヶ所が舞台で、それぞれの地で身元不詳の男性が現れる。
    3ヶ所それぞれに主となる人物が登場し、事件とは無関係のような日々の出来事や身元不詳の男性との交流が、入れ替わり立ち替わり描かれており、たまに殺人事件を追う刑事の動向も織り込まれている。
    3人のうち誰かはその犯人なのだろうが、どの人も怪しいし、逆にどの描写もミスリードに思えてくる。
    場面がコロコロと入れ替わるので、一直線の時系列の中で場所が変わっているだけのように感じるが、もしかしたら時間を行ったり来たりしているのでは…?
    それなら3人は同一人物かもしれない…!

    …と既に結末をご存じの方から「なんと的外れな」と言われそうだが、そうやって色々推測しながら楽しめるミステリー要素もあるのでとても続きが気になるのである。

    また、本書は続きが気になるだけでなく、
    何故かとても感情が揺さぶられる作品だった。
    特に母親が危篤と優馬が知ったとき、
    そしてお葬式の後、優馬が受験生だった頃の母親との思い出を回想するシーンは
    込み上げてくるものがあった。
    さりげなく自分を見守り支えてくれていたのにお礼も言えずもう2度と会えない人がいること、
    自分にとって大切な人を傷つけてしまったときのことを思い起こされたからだと思う。
    本でこんなに自分の感情が揺れ動くんだと
    改めて本のすごさ、小説家のすごさを痛感した。

    下巻も読み終われば、ぜひ映画も観ようと思う。

  • 映画も原作も心に残った。映画の再現率すげ〜ってなった。

  • 生々しい、人間ドラマ。松本清張にも通じる。辛い話しだが、そこまで読んでて暗くならない。誰が本物なのかわからない。

  • 不安と諦めが不幸の材料。

  • 2019.12.22

    【感想】
    下巻への伏線

    【好きな言葉・表現】
    「俺なんかもう、こうやって楽しんでるふりしているのが純粋に楽しいってレベルまできてますからね。いや、マジで。」(P47)

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著者プロフィール

1968年長崎県生まれ。法政大学経営学部卒業。1997年『最後の息子』で「文學界新人賞」を受賞し、デビュー。2002年『パーク・ライフ』で「芥川賞」を受賞。07年『悪人』で「毎日出版文化賞」、10年『横道世之介』で「柴田錬三郎」、19年『国宝』で「芸術選奨文部科学大臣賞」「中央公論文芸賞」を受賞する。その他著書に、『パレード』『悪人』『さよなら渓谷』『路』『怒り』『森は知っている』『太陽は動かない』『湖の女たち』等がある。

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