ものすごくうるさくて、ありえないほど近い

  • NHK出版
3.85
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  • Amazon.co.jp ・本 (488ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784140056035

感想・レビュー・書評

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  • なんぞ?なんぞ?なんぞ?と思いながらも、読み進めてしまう、とても不思議な作品でした。

    911で父を失った、ちょっと変わった少年が、救いを求めながら、NYの街で様々な人々と出会っていくお話。

    911のみならず、広島だとかいろんな悲劇(と一言で片づけられない出来事の数々)が挟まれながら、
    したいように出来ない、それが出来る場所にいて何もできない、そうゆうもどかしい感覚だらけの人生というものをしみじみ感じた。
    それを悔んでも悔やんでもどうにもならないけど、遠回りでも、この少年は誰かを救い、救われたと思う。

    視覚的な仕掛けは、この本を手元に置いておきたいという、遙か昔に置き去りにしたような感覚を思い起こしてくれたし、映画も見てみたくなった。どうなってるのかがちょっとだけ怖いけど。

    それに、少年が、間借り人に「あなたは人間ですか?」って聞いちゃうところが単純にかわいくって好き。

  • 登録番号10073 分類番号933.7 フ
    (DVDあり。)

  • 映画を見たあとでこれを読んだが、成功作とも思えない映画に比べても小説は遥かに凡庸
    こけおどしの写真や印刷になんらかの感慨受けるなら、よっぽど退屈な人生送ってきた読者さんなのですねとしか言えない

  • 911で父親を亡くしたオスカー少年。クローゼットの花瓶から1つの鍵を見つけ、父親のことを知るために鍵に合う鍵穴を探し始める。そのオスカー少年と、祖母、祖父のお話。

    翻訳本独特の読みにくさに負けそうになったけどそれでも最後まで読めたのは、家族の死をどう受け入れてどう生きていくのかを感じられるからかもしれない。
    発語できない祖父の手紙やオスカーが病院で先生と母親の会話を途切れ途切れに盗み聞きする部分など、視覚的にも伝わる本。

  • 第2回(2012年度)受賞作 海外編 第2位

  • 主人公、アスペルガー症候群かと思って読み始めたんだけど、どこにもそんな話は出で来ないが、どうもこの少年なんか不自然な感じ。

  • 読書会課題図書。特定の事件を主題にしながらも、間接的に描くのはすごく好みだじそのようにしてでしか接近できないこともあると思う。視覚的にも仕掛けが施された作品。最初は大量の写真が無意味に感じられるが、読了後あらためて見ると、解釈の余地があるので、読書会向きだと思う。

  •  視覚的に斬新な試み(ビジュアル・ライティング)へと目を奪われがちだが、「現実との境界があいまいな寓話的ディテール」、「言語的コミュニケーションな質的な障害をもっている少年を主人公としていること」、「複数の人物による一人称的な語り」といったテキストそのものの仕掛けでじゅうぶんに成功している作品だ。
     それはまるで、いままでの言語=文学の枠組みを超克しないかぎりは、9.11の傷痕を受け止めて乗り越えていくことはできない、と言っているかのようだ。

     少年オスカーは、父を喪失した語り手であり、父の残した鍵の鍵穴を探す者であるにもかかわらず、さまざまな家を訪れてはその住人自身の話しをまず聴くことからはじめ、手掛かりを求めるはずが、ただ相手の話しを聴くだけで終わってしまったりする。「受け入れられる者はまず受け入れる者でなければならない」というジャン・ジュネの言葉を思い出す。

     当事者の語りを重要な資源として、それを丹念に紡ぎあげていくこと。その語りによって各自の視点が相対化されることで、さらに当事者が語りやすくなっていく。そしてその重層されていった物語がやがて歴史となる。これこそが『「フクシマ」論』を端緒とした3.11をめぐる議論や活動にとって重要な支柱になっているだろう社会学的な実践論であり、それをサフラン・フォアは(なんらかのメッセージや主張を動機とした創作を彼は否定するが)すでに文学によって表現してくれている。

  • 書籍(本)としての形での表現を追求した一冊。

  • 読み終わってからたくさん涙が出た。

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著者プロフィール

1977年、ワシントンDC生まれ。プリンストン大学在学中に作家のジョイス・キャロル・オーツに才能を認められ、2002年に『エブリシング・イズ・イルミネイテッド』(ソニー・マガジンズ。電子版はNHK出版)で作家デビュー。全米ベストセラーとなった同書はガーディアン新人賞、全米ユダヤ図書賞など多くの賞を受賞、世界30カ国で刊行された。2005年に発表した長篇2作目『ものすごくうるさくて、ありえないほど近い』(NHK出版)も各方面で絶賛され、ロサンゼルス・タイムズ、シカゴ・トリビューンなど各紙でベスト・ブック・オブ・ザ・イヤーに選出。同書はハリウッドで映画化され、アカデミー賞にノミネートされた。2009年に食をテーマとしたノンフィクション『イーティング・アニマル』(東洋書林)を発表し、アメリカの食肉・水産業界に一石を投じる。本書『ヒア・アイ・アム』は11年ぶりに上梓された小説で長篇3作目にあたり、前2作と異なり自伝的要素を踏まえ、多視点で登場人物たちの心情をリアルに描くという新機軸の構成が各メディアに絶賛された。ニューヨーク、ブルックリン在住。

「2019年 『ヒア・アイ・アム』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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