Think Simple アップルを生みだす熱狂的哲学

  • NHK出版
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  • Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784140815458

感想・レビュー・書評

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  • シンプルであるべきか、複雑であるべきか。シンプルであることは誰が見ても正しいように思えるのに、いざ自ら行動すると簡単に複雑な道へそれてしまう。「複雑」というものは、とても魅力的なのだ。
    あらゆるデザイン、あらゆるオプション、あらゆる価格帯の統一性のない型番の商品の中からひとつの製品を選ばなければならないというのは、考えただけで重い作業であるけれども、iPhoneを選ぶなら、もしくはMacBookを選ぶなら、考えることはとても少ない。これほどユーザーに親切な商品は、作る側に立つと不思議となかなか作れない。
    『Think Simple』では、シンプルを貫くということがいかに難しいかということを延々と語ってくれる。「シンプル」というのは生易しいものではなく、どんなときでもシンプルであることが求められるからだ。気まぐれのようにシンプルを選んだり、誰かの真似のようにシンプルを使っても、その恩恵を受けることはできない。これは信仰にも似たものだと、著者は時折語っている。
    そんな厳しい「シンプル」の申し子がスティーブ・ジョブズだった。スティーブ・ジョブズの振るうシンプルの杖に、私も叩かれてみたいと思った。

  • アップルという会社に「シンプル」というマインドがいかに根付いているかが、数々のスティーブジョブスの逸話にそって描かれています。

    「シンプルであることは複雑であることを圧倒するが、シンプルで居続けるのは難しい」

    この本で強く訴えられているのは、この点です。



    読んで、印象に残ったエピソードを挙げていきたいと思います。



    Think Brutal(容赦なく伝える)より

    「アカウント(取引先担当)で働いてます」と伝えると、スティーブ・ジョブズは、

    「そうか、オーバーヘッド(圧縮削減が可能なムダな処理)だな」と。 と言う会話。

    よくある話ですが、会社が大きくなると会社の付加価値に貢献しない部門や役割が増えてきます。企業として成り立つためには必要ではあるものの必要最低限に抑え込まないといけないのですが、気をぬくとどんどん増殖します。優秀な経営者でも複雑さに毒されていき会社は付加価値を生まない部門で溢れかえります。

    個人としてもシンプルに自分がやるべき事を考え続ける必要があることを気付かされます。



    Think Small(少人数で取り組む)より

    スティーブ・ジョブズの話ではありませんが、ある経営者が会議に参加しているメンバーを見渡し、そこに出席しているメンバーに対し「君たちはここで何をしている?」と問いかけ、

    「さあ、わかりません。呼ばれたからきました」とメンバーは答える。

    その経営者は「そんなことをほざいているやつは、ここに座っているべきじゃない。他で建設的なことをしろ」と伝える。

    会議にやたら多くの人間が出席しているのは、メンバーそれぞれに能力が欠けていると言うこと。プロジェクトを強力に進めるために必要な素質を持った少数のメンバーで構成されていること。

    「念のために」と呼ばれる会議に対しては、なぜ自分が必要かを問いかけ、本当に自分ができるべきかを考えるようにしてますが、それでもなんだかわからないうちに巻き込まれる会議ってあるんですよね〜。気を引き締めなくては。



    Think Minimal(ミニマルに徹する)より

    一つのCMで4〜5個の特徴を伝えたいスティーブ・ジョブズを、1個に絞りたい広告代理店がとったやり取り。

    「スティーブ、キャッチしてくれ」と1つの紙の玉を投げ、それをキャッチするスティーブ。

    「これがいい広告だ」

    「スティーブ、もう1回キャッチしてくれ」と今度は5つの紙の玉を投げ、1つもキャッチできないスティーブ。

    「これが悪い広告だよ」

    アップルの広告が優れているのは、スティーブ・ジョブスが完璧にシンプルだったからではないんですね。



    Think Motion(動かし続ける)より

    初期のiPhoneは、「アプリ」をサポートしてなかったが、その後の製品とOSの更新でアプリケーションを追加できるようなり、その魅力は革命的に増したと思います。

    iPhoneはその後も毎年なんからのアップデートがくりかえされ、今も続いてます。



    Think Iconic(イメージを利用する)より

    ボタンがたくさんある従来のスマートフォンに対し、iPhoneは1つのホームボタンで挑み、そして勝ち残ったことはシンプルの勝利と言えるでしょう。

    なお著者はそのうちボタンは0になるかも知れないと書いてますが、iPhone Xで、まさにそうなりました。



    Think Phrasal(フレーズを決める)より

    「iMac」は「Macman」になっていたかもしれないというエピソード。

    ステイーブが推していた「Macman」は、ソニーの「Walkman」からインスパイアされたそうですが、もしそのネーミングだったらあそこまで売れなかったでしょうね~。

    「iMac」を粘り強く推した広告代理店の人(=著者)の勝利ですね。

    もう1つ、「ファイナルカット」というアップルの動画編集のソフトウエアの開発のエピソード。

    通常版とプレミアム版の2種類を発売したいと言う開発テームに対しスティーブ・ジョブスは「1つに絞り込む」ように指示を出したという。

    このエピソードを読んで思ったのは、今のiPhoneのラインナップ。

    「11、11Pro、11ProMax」はスティーブの目にはどう写るのかな...。



    Think Casual(カジュアルに話し合う)より

    前提条件からスタートするプレゼンはハッキリいってムダ。

    事前にインプット資料を配布し、プレゼンではコアな部分のみに絞って議論すべきだと思います。

    シンプルさはせっかちです。



    Think Human(人間を中心にする)より

    アップルの「Think different」キャンペーンで流れたCM 「The crazy ones」より。

    クレージーな人たちがいる
    反逆者、厄介者と呼ばれる人たち
    四角い穴に 丸い杭を打ちこむように
    物事をまるで違う目で見る人たち

    彼らは規則を嫌う 彼らは現状を肯定しない
    彼らの言葉に心をうたれる人がいる
    反対する人も 賞賛する人も けなす人もいる
    しかし 彼らを無視することは誰もできない
    なぜなら、彼らは物事を変えたからだ
    彼らは人間を前進させた

    彼らはクレージーと言われるが 私たちは天才だと思う
    自分が世界を変えられると本気で信じる人たちこそが
    本当に世界を変えているのだから

    Think Simpleの中では、これはまさにスティーブ・ジョブズの事を表した内容だと書かれています。

    確かに、、、反逆者で、クレイジーで、世界を変えて。

    そして「死」がスティーブ・ジョブズを更にシンプルな高みに押し上げます。

    晩年は禅にもハマり、シンプルさを更に追求していき、アップルという企業とブランド価値、そして生み出すプロダクトの質を高めていきます。

    そして根底にあるのは、プロダクトやサービスの質ではなく、それを使う人間がどう感じるか。



    例えば、こんな商品出しました。こんな凄いスペックの沢山の機能がついていて素晴らしいですよ。

    ではなく、この商品で、貴方はこんな素晴らしい体験ができます。

    最近は後者のような商品フレーズを見かけることは多くなりましたが、初めたのはアップルでしょう。

    そういった意味でアップルの人間を中心に考えたシンプルな考え方の勝利と言えるでしょう。

    シンプル、奥が深い、、。



    Think Skeptic(不可能を疑う)より

    ある検討案件で、スティーブ・ジョブスに「それは不可能です」と言い切ったが、その後可能にする方法があることがジョブスに知れてしまって、、、というエピソード。

    普段の仕事でもありますよね。ただ相手がスティーブ・ジョブスだと思うとおそろしい…。

    「できない」を「可能」にする方法はあるが、今のご時世、優先的地位の濫用、パワーハラスメントといった落とし穴もあるので程々にしなくていけませんが、安易な不可能ですは創造的な発想をストップさせることになると思ってます。

    出来ない理由ではなく、出来る方法を考えよう。



    Think War(戦いを挑む)より

    アップルは、マイクロソフト、デルといったPCソフト、PCメーカーとの闘いを続けてきました。

    また、サムスン電子やファーウェイといったスマホメーカーとも戦ってます。

    平和が一番ですが、競争相手が居ないと、そこでイノベーションは止まります。

    我々も日常生活で色々と「競争」をしています。

    仕事上のライバル、恋のライバル、などなど。

    相手を貶めるような策略をとるのではなく、お互いに高めあう様な関係を築き上げたりするのも良いだろうし、自分なりの強みを尖らせて相手と違う面で勝つのもありだと思います。

    戦いから逃げず立ち向かうことで自分は成長できると思います。

  • アップを世界一の企業とした考え方を解説した書。シンプルという秘密を世界に開示したところで、名だたる世界的企業は大企業が故に真似をすることが出来ない。そこにはただシンプルに考える。徹底的にムダを削ぎ落とす。そこにムリという考えは存在しない。世界を驚愕させたThink Differentキャンペーン。そこに至る経緯、アップルを再生させたジョブズのブレない哲学と、サポートする人々の献身的な努力。シンプルは全ての人を魅了する。


    説明
    内容紹介
    複雑に考えて仕事する自分を、誇りに思っていないか。

    「シンプル」は現代ビジネスにおける最強の武器だ
    スティーブ・ジョブズのもとでアップルの「Think Different」キャンペーンにたずさわり、iMacを命名した伝説のクリエイティブ・ディレクターが初めて明かす、ビジネスとクリエイティブにおける「シンプル」という哲学。
    いまや世界一のテクノロジー企業となったアップル躍進の秘密とは?もちろん誰もが知っている事実がある。アップルには偉大なるビジョナリーがいた。デザインに優れ、エンジニアリングにも、製造も小売もマーケティングもコミュニケーションもすべてが優れていた。だが、それらすべてを超越した何かが、真にアップルをアップルたらしめたのだ。
    ――アップルは「シンプル」の熱狂的信者なのだ

    本書は著者にしか知りえないさまざまなアップルでのエピソードを題材としながら、〈シンプル〉という哲学を、核となる10の要素に落としこんで紹介する。マーケティングの考え方、イノベーションをいかに生みだすのか、組織の生産性をどう高めるのか、アイデアを実現させる方法、意思決定の仕方、社内や顧問とのコミュニケーションのとりかたまで ―あなたも〈シンプル〉という武器を手にすることで、この複雑な世界においてクリエイティブな力を発揮することができるはずだ。

    Introduction シンプルの杖
    第01章 Think Brutal 容赦なく伝える
    第02章 Think Small 少人数で取り組む
    第03章 Think Minimal ミニマルに徹する
    第04章 Think Motion 動かし続 ける
    第05章 Think Iconic イメージを利用する
    第06章 Think Phrasal フレーズを決める
    第07章 Think Casual カジュアルに話し合う
    第08章 Think Human 人間を中心にする
    第09章 Think Skeptic 不可能 を疑う
    第10章 Think War 戦いを挑む
    Conclusion Think Different

    内容(「BOOK」データベースより)
    著者にしか知りえないさまざまなアップルでのエピソードを題材としながら、「シンプル」という哲学を、核となる10の要素に落としこんで紹介する。

  • 著者も予防線を張ってますが、シンプルを語る上でシンプルじゃなくなるのが、分かりにくいポイントでした。
    まだ、クソだ、セクシーじゃないと判断した補足があった方が有用でした。
    単にジョブスをハタ目に見てたorプロジェクトを一緒にしてたって方なのかなと感じました。
    良書のエッセンシャル思考の知見拡充にはなりました。

  • スティーブ・ジョブズと計12年間も共に働いてきた広告のクリエイティブ・ディレクターによる,アップルの哲学を説いた良書。
    公式伝記と同じくジョブズの良いところも過激なところも公平に紹介しており,巷にあふれるジョブズの分析本とは一線を画している。
    最初は「こんなに分厚いなんて,タイトルに反して全然シンプルじゃない」と思ったが,これは間違いだった。必要な厚さだ。シンプルというのも奥が深い。

    覚えておきたい言葉:
    ・人はあることを重要だと思うならば、そのために時間を見つけるのだ。(p58)
    ・偉大なことを成し遂げるには、二つのことが必要だ。計画と、充分ではない時間だ。(レナード・バーンスタイン) (p110)
    ・助言は全体の状況の中で評価して、リスクよりもリターンが上回っていれば、前進する力を持つことだ。(p251)

  • 1.以前、スティーブ・ジョブズの本を何冊か読み、興味を持ったので購入しました。

    2.この本は、スティーブ・ジョブズと共に長年仕事をした広告代理店のケン・シーガルからみたジョブズ(アップルも含む)の仕事ぶりです。ジョブズがシンプルさを常に大切にしており、それを実現するために10この行動を実践してきたと述べています。その行動はそれぞれ章立てされており、現代の多くの企業が見直さなくてはならない部分だと改めて実感させられます。ジョブズを長年間近で見てきた方が書いているので、かなり分厚い本となってますが、新たな気づきを与えてくれる一冊になると思います。

    3.外国人特有の遠回しにかつ小説的な書き方で理解しづらい文章ではあったものの、物事をシンプルに考えることが大切ということは理解できました。

  • とてもよかった。
    シンプルさは都合のいいときだけ持ち出してすぐに手に入るものではなく、不断の努力と鉄の意志によって手に入れることができるものだということがよくわかる。

    マーケティングの人が書いた本だけど、内容は全くマーケティングに限った話ではなく、普遍的な学びがめちゃめちゃある本だった。

  • アップルの、そしてジョブズの物語。中途半端なシンプルさなどは無いこと、プロジェクトの成果はPIの関与に比例し、メンバーの数に反比例することなど。チームに最高の結果をもたらすために、シンプルに全部容赦なく伝えよう。

  • 断捨離、禅など、シンプルの精神に共通する概念が、最近やたらと支持されている。
    アップルが支持されるのも、アップルが生み出す製品や、そこに息づく精神が時代の潮流とマッチしているからだそう。
    その潮流とは?目の前にはものが溢れ、めまぐるしく入れ替わり、自分自身もその中で糧を得て暮らしているのに、
    どこかでそんな暮らしに嫌気がさしている。
    そこに現れたのがシンプルの権化アップル。普遍のでざいんと、堂々とした佇まい。好きにならないわけがない。
    シンプルに生きれば物欲もなくなるのだろうか。

    ・社内でやりとりされる電子メールをあけて、厳しい目で読んでみるといい。あいまいな表現がはびこっていることに気づくはずだ。(容赦なく伝えよう)
    ・プロジェクトの成果の質は、最終的な意思決定者がかかわる程度に比例する
    ・広告代理店の案をスティーブ・ジョブズより先にアップルの社員が見ることを許さなかった。
    ・優れたアイデアにはある程度のリスクがつきもの。欠点がひとつやふたつあるのは当然で、すぐれたアイデアとはそれを補ってあまりあるもののはずだ。
    ・スティーブは創造性の天才というよりは、創造性を愛する天才だ。
    ・誰も不愉快にしない完璧な広告は、良い調査結果をもたらすが、消費者との感情的なつながりを作れない。
    ・偉大なことを成し遂げるためには、計画と、十分でない時間が必要
     →余裕のあるスケジュールは疑わしい
    ・”マーケティングの歴史における最良の例にして、もっとも偉大な作品のひとつはナイキだ。ナイキはコモディティを売っている。靴だ。だが、人々が
     ナイキについて考える時、ただの靴のメーカーと思っていないはずだ。彼らは宣伝で価格について語ったことがない。偉大なアスリートをたたえ、
     偉大なスポーツをたたえているのだ。それがナイキであり、ナイキはそのためにあるのだ。”
    ・よいネーミングの原則は、ものを作るときだけでなく、人に何かを伝える時に役に立つ。
    ・新しいアイデアを付け加えるのであれば、古いものを再提案してもいい。
    ・シンプルさをもっとも凝縮して表してくれるのは新商品のネーミングだ。
     →楽しく、願わくば利益になるようにネーミングする
    ・すばらしい名前は常に存在し、発見されるのを待っている。
    ・3つの文章で言えることを20枚のスライドを見せられると、スティーブはもうがまんできなかった
    ・シンプルさは好きな時だけに選ぶのではなく、心から傾倒することが必要なのだ。
    ・スティーブは集めたデータを熱心に見るが、最終的な決断では頭と心をよりどころにした。
    ・アップルのデザイナーは、ベンダーが「できません」と言ったとkには、それは特別な努力なしではできないという意味だと知っている。
    ・自分のアイデアを前進させる時に、チャンスはすべて使わなければならない。
     →スティーブはクリントン大統領に電話までして、ネルソン・マンデラのCM出演をトライした。
    ・ブランド銀行の預金を増やす。
    ・「快適なスケジュール」は常に警戒したほうがいい。ある程度のプレッシャーが目標に向けて物事を前進させることはまぎれもない事実だ。
    ・アイデアの精神を象徴するイメージを使うことで、自分の考えを具体化することができる。
    きれいに飾られたパワーポイントはすでに世の中にあふれていて、ほとんどの場合効果がない。あなたのアイデアの本質を表しているコンセプトのイメージを見つけよう。シンプルで力強いものがいい。
    ”シンプルであることは、複雑であることよりもむずかしい。物事をシンプルにするためには、懸命に努力して思考を明瞭にしなければならないからだ。
    だが、それだけの価値はある。なぜなら、ひとたびにそこに到達できれば、山をも動かせるからだ。―スティーブ・ジョブズ

  • 献本御礼。

    「Think Different」という余りにも有名なアップルのキャッチコピー。本書の著者はそのキャンペーンにクリエイティヴ・ディレクターとして関わり、iPod、iPhoneなどアップル社の「i」革命を産み出す切っ掛けとなったiMacの命名者でもある人物だ。


    アップル社の製品がそうであるようにこの本のメッセージもシンプルだ。
    つまり、<b>人間はシンプルさを好む</b>。

    この本ではスティーヴ・ジョブスが如何にシンプルを好み、形式ではなく本質的なビジネスをしてきたかが仔細に語られている。

    <blockquote>アップルは初代のiPodを説明するのに、5ギガバイトのドライヴを搭載した、重さ185グラムの音楽プレーヤーとは言わなかった。シンプルに「1000曲をポケットに」と言っただけだ。これが人間のコミュニケーションのとり方だ。だから、つまり、これがアップルのコミュニケーションなのだ。</blockquote>

    形式的な多くの会議や多すぎる出席者、煩雑な決済承認システムなどが槍玉にあげられているが、これは大企業病というよりも多くの会社組織で行われている(当たり前のような)光景だろう。

    こういった構造を不要なものだ、もっと本質を見極めようと言うのは容易い。
    しかし、アップル社がこのような「Think Simple」を会社組織として行えられたのはジョブスの強力なリーダーシップと時として残酷なまでに率直になれる性格に拠るところが大きいだろう。

    <blockquote>他人の意見によって、自分の内なる声を溺れさせてはならない。何よりも大切なのは、自分の気持ちや直感に従って行動する勇気を持つことです。
    </blockquote>

    これを実践できる人間が果たしてどれだけいるだろうか。
    多くの人は周囲に流され、余計なことを考えて、本来は簡潔であるはずの物事を複雑に考えてしまい、勘違い・捉え違いを起こしてしまうのではないだろうか。
    かくいう自分もそうだ。

    余計な手順を踏んだり、複雑に考えるというのはそれなりに努力を要するものだ。そして能力も必要なことだ。だからこそ、考え違いをしてしまう。自分は一生懸命しているのだと。
    違うのだ。肝要なところを外してしまえば幾ら積み重ねても無駄なのだ。
    本質はシンプルだ。何故なら人間はシンプルを好むからだ。
    アインシュタインが相対性理論でE=MC2という式に辿りついたように、明確な思考はシンプルな回答を説き解すのだ。

    <blockquote>シンプルでることは、複雑であることよりもむずかしい。
    物事をシンプルにするためには、懸命に努力して思考を明確にしなければならないからだ。
    だが、それだけの価値はある。なぜなら、ひとたび底に到達できれば、山をも動かせるからだ。 ―― スティーヴ・ジョブス</blockquote>

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