マルドゥック・スクランブルThe First Compres (ハヤカワ文庫 JA ウ 1-1)

著者 :
  • 早川書房
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  • Amazon.co.jp ・本 (316ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784150307219

感想・レビュー・書評

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  • 持たざる者が持ち得たとき、かつて自分を虐げた者を虐げたいと望む叫びを、どうしたら止められるか。

    生きていてもいい、と赦されたい。
    愛している、と理解されたい。
    少女の希みはせつなく、傷の痛みに我を忘れるほどつよい。
    力を手に入れて、それに酔い痴れるほど、かなしい。

    バロットの危うさ、ウフコックの真摯さ、深く響く。
    難解さがなく、世界観を洒落て語るルビがいい。

  • マルドゥック市で生きる15歳の少女・ルーン=バロットは自分を専属娼婦にした賭博家、シェルの計画によって命を落としかけるが、生命保護に限り適応される「マルドゥック・スクランブル-09法」に基づいた科学技術によって常人離れした能力を身につける。
    バロットは彼女に手術を施した事件屋ドクター・イースター、あらゆるものに姿を変えることが可能な金色のネズミ型兵器ウフコックとともにシェルを追うが…

    だいぶ前に2巻の「燃焼」まで読みました。最初は「オ、09(オーナイン)?なんじゃそりゃ?」とついていくのに精一杯でしたが慣れてきたら普通に楽しめました。がっつりSFだけどそれよりもバロットの人間的成長の物語といったほうがいいかも。
    「死んだほうがいい」
    世界に絶望していた彼女はドクターやウフコックとの冒険によってどう変わっていくか。

    話のなかで好きなのはバロットとウフコックの微妙な関係。人語は話せるし匂いで感情を読み取れるけど「性」というものを理解することができないウフコックに対して「私はあなたがいれば生きれるから、あなたも私を愛して」とストレートに相手を求めるバロット。彼女にとってウフコックはたとえネズミでも生まれて初めて自分を理解しようとしてくれ、心から彼女を心配してくれる男性なので、きっと恋愛感情を抱くだけではなく父性も強く求めているんだろうなと思います。バロットの切実な要求に恋愛は無しとしてもどうにか応えてあげたいのに理解できないためにどうにもできないウフコックがもどかしい。

    文体や雰囲気はかっこつけてるのに何故か鼻につかない感じ。
    ポピーレッドの口紅とか、言葉のチョイスも素敵で全体的に海外の映画みたい。
    アクションシーンも疾走感があって刺激的。

    いい加減3巻買います。

  • スタイリッシュな文体で、とてもスマート。車をカーと呼ぶとかなんかオサレ。何にでも変身できるネズミもあまり違和感がないね。攻殻機動隊みたい。みたことないけど。
    2ndが楽しみですね。

  • 最初はキャラの把握に手間取ったが、途中から非常に面白く読めた。
    ウフコック欲しい。
    アニメが見たくなった。

  • 結構面白かったです。
    近未来の退廃的な世界というのは、攻殻といい、不思議な魅力がありますね。

    読んでいて、映像が浮かんでくるような感じで、一気に読めました。それじゃあアニメも観てみよっかな。

  • おもしろかった!!

  • 煤けた感じのSFってなんでこんなに良いんだろう。独特の文体とか、ルビとカタカナのオサレっぽさが洋画っぽい。ラストシーンの引きも映画っぽい。

  • アニメを見てから読んだのですが、アニメを見てからだと読みながら映像が思い浮かんでとてもわかりやすいと思います。

    続きが気になりますね。

  • 何故か、読むのにものすごく時間がかかった。描かれてる光景を頭のなかで想像しにくかったのかなあ……半分過ぎてカジノのカードゲームのくだりはおもしろく、するする読めたんだけど…。
    悪くないけど自分には向いてなかった…そんな感じです。読み終わった達成感はあった(笑)。

  • (2011/10/30購入)(2011/11/02読了)

    少女娼婦バロットの再生の物語。第1作目。

    「死んだほうがいい」→「死にたくない」→「殺されない。殺さない」と変化していくバロットの思いが上手く描かれている。バロットとウフコックの関係がプラトニックなのも、バロットのそれまでの人生との対比となっていて良かった。文章が淡々としているので、設定・状況が過激でもそれほどエグくは感じない。ただし、キャラの立ち方が過剰すぎて、所々白けてしまった(特に敵役)。それでも一気に読みたくなる、力のある物語。

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著者プロフィール

1977年岐阜県生まれ。1996年『黒い季節』で角川スニーカー大賞金賞を受賞しデビュー。2003年『マルドゥック・スクランブル』で第24回日本SF大賞、2010年『天地明察』で第31回吉川英治文学新人賞、第7回本屋大賞、第4回舟橋聖一文学賞、第7回北東文学賞、2012年『光圀伝』で第3回山田風太郎賞を受賞。主な著書に『十二人の死にたい子どもたち』『戦の国』『剣樹抄』『麒麟児』『アクティベイター』などがある。

「2022年 『骨灰』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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