時砂の王 (ハヤカワ文庫 JA オ 6-7)

著者 :
  • 早川書房
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本棚登録 : 1587
感想 : 179
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  • Amazon.co.jp ・本 (276ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784150309046

感想・レビュー・書評

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  • そうだろなあとは思ったラストであったが満足

  • 26世紀の地球は、未知の増殖型戦闘機械軍による攻撃で壊滅的な被害を受けていた。時間遡行技術を手に入れ人類を壊滅しようとする彼らを殲滅するために、人工知性体「メッセンジャー」たちもまた過去へと遡り攻防戦を繰り広げる。長い旅の果てに、メッセンジャーであるオーヴィルは邪馬台国の女王・卑弥呼こと彌与とともに最後の戦いに挑む。
    高度な知性を持つがゆえに、『一人のすべての可能性と人類という種の可能性は、一体どちらが大切なのか』と自問するオーヴィル。
    普段SF小説を止むことはないが、これほど細部の設定がしっかりしていて壮大なストーリーが文庫で手頃な長さに詰め込まれていることに驚いた。気が遠くなるような長い時の中、終わりのみえない戦いを繰り返す彼の心を支えたサヤカと彌与の二人の女性がこれまた逞しくて格好いい。歴史に介入する度に増えた膨大な時間枝のなかに、愛した人々が暮らす“未来”は埋もれてわからないという切なさが作品全体に漂っている。読んで損はなし。

  • 天冥の標の絶賛を多数聞いたものの、本屋でそろわずこちらを購入。確かにスピード感があるエンターテイメント。ただ、舞台の奥行きがあるので、短くまとめられた感あり。ますます長編に期待。

  • 小川一水は本当に面白いですね。
    今までSFという分野をわかってなかったなと、(今でもちゃんとは理解してないかもしれないけど)他の作品も読んでみようと思います。

  • 正体不明の増殖型戦闘機械群によって、人類は近い将来全滅させられると予見された2598年。そんな未来を変えるために派遣される戦士たちと過去を生きる人のお話。

    歴史が書き換えられ、絶えず時間の枝が分かれていく中、人類を救う未来を作れるのか?戦士たち同様時間を遡ってくる機械群は何者なのか?そもそも人類を滅ぼそうとする動機はなんなのか?そんな謎を追いかけながら、戦士たちの苦悩や過去の人々の交流を描いてゆくのですが、一番驚いたのは、この本の厚さでした。

    …薄いんです。また、文字も大きめ。設定やあらすじを聞くと、この倍くらいはあっても良さそうなのに…。

    ただ、それでも中身が薄いということではないです。無駄なく状況をまとめているせいか、テンポよく物語は進んで行きます。過去の人々の言葉遣いが慣れないものなので、ちょっと読み辛い点はありますが、これもテンポを悪くするほどはないですね。

    時間を扱うSFは色々あると思います。

    正直なところ、驚かされる結末でもないし、ちょっと腕組みをしてしまう部分もあるんですけど、決して面白くないわけではないですし、なによりコンパクトなので、普段小説を読まない方などには特にお勧めします。逆に小説好きな方にとっては、登場人物たちの描写に物足りなさを感じてしまうかもしれませんね。やっぱりどうしても文章量が少ないので。

  • エイリアンの攻撃を時間を逆行しながら防いでいく戦士の物語。女王が治める古代日本での切ない思いと、明かされる事実。
    語り継がれる伝承はは現実だったのか、神話だったのか。
    そして、歴史は一回転するのであった。

  • ーーー西暦248年、不気味な物の怪に襲われた邪馬台国の女王•卑弥呼を救った"使いの王"は、彼女の想像を絶する物語を語る。
     2300年後の未来において、謎の増殖型戦闘機械群により地球は壊滅
    さらに人類の完全殲滅を狙う機械群を追って、彼ら人型人工知性体たちは絶望的な時間遡行戦を開始した。


    ごちゃごちゃ言う前に結論を先取りするなら
    この本は「買い」だ。

    過去から未来にわたる、果てしない時空間を
    一本の大樹にみたて、「時間枝」を飛び渡りながら
    人類のために戦い続ける人型人工知性体の物語

    まず、物語の密度がすごい。270ページの文庫によくこんな濃い物語を込められたなと思う。
    本格SFではあるけれど、誰もが楽しめる上質な
    エンターテイメントに仕上がってる。

    時間遡行によって絡み合う過去と未来の事象
    亡国の将のように、"良く敗ける"ことを、幾度となく強いられるオーヴィルの使命感とその原動力が切ない





    時の風はすべてを吹き散らし、時の砂はすべてを埋め尽くす。

  • レビューとあらすじを読んで、ページ数を確認せずにネットで購入。
    届いて薄さにビックリしました!このボリュームでこの内容?
    失敗したかなと思いましたが、結果一気読みでした!
    読みやすく、物語もコンパクトに纏まっていて、
    この作家さんは文章力が本当に高いのだと思いました。
    ラストはちょっとラノベっぽいかなと思いましたが、
    無駄にこねくり回すよりも美しいキレの良さが爽快でした。

  • 2012年12月8日〜12月13日

  • 未来における謎の増殖型戦闘機械群と人類との闘争、機械群ETがとった時間遡行戦略に対抗し、絶望的な闘いに臨むことになった人型人工知性体メッセンジャーたちの最終防衛線は3世紀、その一人メッセンジャー・Oの戦場は邪馬台国だった。
    タイムパラドックス、並行世界、といった要素が満載のSF長編。
    闘争の長い旅路を経てきた人工知性体Oと邪馬台国女王卑弥呼のやり取りや時間改変の波及効果、特に改変結果としての未来からの援軍といったアイデアが面白かった。

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著者プロフィール

’75年岐阜県生まれ。’96年、河出智紀名義『まずは一報ポプラパレスより』でデビュー。’04年『第六大陸』で、’14年『コロロギ岳から木星トロヤへ』で星雲賞日本長編部門、’06年「漂った男」で、’11年「アリスマ王の愛した魔物」で星雲賞日本短編部門、’20年『天冥の標』で日本SF大賞を受賞。最新作は『ツインスター・サイクロン・ランナウェイ2』。

「2022年 『ifの世界線  改変歴史SFアンソロジー』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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