博士と狂人: 世界最高の辞書OEDの誕生秘話 (ハヤカワ文庫 NF 306)
- 早川書房 (2006年3月31日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (358ページ)
- / ISBN・EAN: 9784150503062
感想・レビュー・書評
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2021-11-10
先に映画を観たのだけれど、映画よりスリリングだった。けどそれは文章ならではのもので、映画も悪くは無い。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
辞典を作るという途方もない作業
その作業に人生を捧げられる人物とは?
悲しい運命の上に成り立つ辞典編纂の物語
南北戦争などの勉強にもなる -
映画が面白そうだったので、映画を観る前に原作を読んでみた。
オックスフォード英語大辞典(OED)の編纂のノンフィクション。事実は小説より奇なりというしかない。
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英語の辞書をめぐる物語。
映画を観て原作を知り、読みました。
映画とはまた違ったところから始まるので、違う物語を読んでいるようでもありました。
映画の時も『舟を編む』の時も思いましたが、小説が一から作っていくものだとしたら、辞書の編集はあるべき場所に収めるような感じでした。
正確さが大事。
それにしても当時の辞書の膨大なこと。
何冊にも及ぶ辞書だそうなので持ち歩くなんて考えもしなかったのだろうな。
そして映画でも挙げられてたけれど、マレー博士とマイナー博士の相対する感じが面白かったです。
彼らの天才的な言語センスはどうやって生み出されるものなのか。母国語にすら、英語ひとつにすら苦労する私に教えて欲しいです。 -
出町柳の古本屋さんで偶然見つけて購入.
「オックスフォード英語大辞典」はよく知らなかったのだが,語源,意味の変遷を,時代ごとの大量の例文によって示した大辞典で,編纂には足かけ70年を要したという大作である.清の時代の康熙字典のようなものか.
その編纂作業の中盤の中心人物であったマレー博士と,在野にありながら多大な貢献をしたマイナー博士の二人を描く.独学で言語学の第一人者となったマレーと,蔵書から大量の,しかも適切な例文を見つけて提供してくる謎の人物マイナー博士の交流には,何か胸が熱くなる. -
オックスフォード英語大事典(OED)を作った二人の天才、ジェームズ・マレーとウィリアム・マイナーの人生を描いたノンフィクション。
マレーは貧困の中に生まれて独学で学び、友人の伝手で言語協会の会員になり、OEDの編纂に加わることとなった。これも十分にドラマティックだが、マイナーの人生はさらに数奇。彼は裕福な家の出で高い教育を受け医者になったものの、精神を病んで人を殺め、病院の中から手紙で用例文を送り続けることで辞書編纂に多大な貢献を行った。
両者とも当時の正統なアカデミックのキャリアからは外れていたと言える。特にマイナーの方は、最後まで妄想から自由になることはできず、社会から切り離されていた。そういう人物が辞書編纂に携わることを可能にしたのが、閲読者という制度。学者に限らず一般のアマチュアに、用例収集を広く呼び掛けたもの。現代で考えればWikipdeiaの成り立ちを思わせる。
OED編纂に至る背景として、17-18世紀の英語辞書の歴史も概観する。帝国の版図拡大につれて規範たる英語の在り方が求められるようになり、かつその動きはイタリアやフランスに比べても遅れていたこと。辞書編纂者の苦労話は[ https://booklog.jp/item/1/4167906856 ]等も思い出させる。またOEDの話も含む、辞書編纂にまつわる話ならこちら[ https://booklog.jp/item/1/4121022513 ]。
「あとがき」で、著者はマイナーの衝動的殺人の被害者となったジョージ・メリットの人生の証として本書を書いたとしている。病ゆえ隔離され、隔離されたことによってOEDの協力者として名を残したマイナーと、彼に殺されたことによって縁もゆかりもない日本人読者の脳に名を残したメリット。世の中は妙なもの。 -
「辞書に取り憑かれた天才たちの奇想天外な実話」
所蔵情報
https://keiai-media.opac.jp/opac/Holding_list/search?rgtn=K26652 -
ノンフィクション
ことば -
あの殺人事件がなければオックスフォード英語大辞典(OED)はあの時期に発行されなかった、いやもっと極端に言うと、発行が頓挫してしまったかもしれない。こう書くとミステリー小説の惹句のように思えるが、実はこれはノンフィクション。OED編纂の中心人物と、彼に多大な協力を惜しまなかった人物の何とも数奇で切ない人生が意外な形で交差する。「事実は小説よりも奇なり」とはよく言われるが、その言葉がここまでぴったりはまる話はそうそうない。