- Amazon.co.jp ・本 (479ページ)
- / ISBN・EAN: 9784151101045
作品紹介・あらすじ
1977年、オハイオ州で連続レイプ犯としてひとりの青年が逮捕された。彼の名はビリー・ミリガン、22歳。しかし彼には犯行の記憶がまったくなかったのだ。じつはそれは、彼のなかに潜む別人格のしわざだった…一般の人々がいまだ多重人格という障害について知らずにいた1981年、作家キイスが世に問うて全米を驚倒させ、92年に邦訳されるや、日本でも空前の"多重人格ブーム"を巻き起こした、記念碑的ノンフィクション。
感想・レビュー・書評
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連続レイプ犯として逮捕されたビリー・ミリガン。逮捕後の裁判までの経過とそれ以前の彼の生活に迫るノンフィクション。
単に治療やビリーの人生の話だけではなく、逮捕後の様子やビリーの弁護士たちの活動の様子など多角的に書き込まれています。
無罪を勝ち取るための弁護士の活動や裁判にビリーを参加させることができるかなどといった、ビリーの中の人格たちと医者との会話など
興味深く考えもしないようなことがいくつか出てきて、読んでいて面白かったです。
ビリーの過去の話になってから、どうしてそのような人格が生まれてきたのか、といった話から、また各人格は行動だけでなく内面もしっかりと描写されていて、
そこの書き分けがすごいな、と思いました。
単に治療やセラピーの様子だけでなく、そのように各人格を描きつつ、ビリーの人生に迫ろうとしていることが感じられる上巻でした。下巻でもしばらくビリーの半生の話は続きそうです。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
人間が平静を保っているのは紙一重。
家族と接する自分、仕事の自分、出会う人毎の自分、一人の時の自分、寝起きの自分、空腹時の自分、寝ているときの自分。。。。。。改めて社会適合性を保つ脳みその能力ってすごいなと思うと同時に、その制御がなんらかのきっかけで壊れた時、ビリーのような多重人格にあっさりなってしまいそうな気がしてきた。
また、社会適合性というバランスをとる行為によって、人間は凡人化しているのであろう。天才とよばれる偉人達は、バランスを取ることから解放され、特定の分野へ視野をあえて狭窄化した上で大きな成果を手にしてきたのであろう。 -
世界一有名な多重人格者の話。ノンフィクションです。
物語としてもとても面白く、解離性同一性障害がどういうものなのか理解するのにもいい作品だと思います。
何よりビリーを含めた24人の人物たちが丁寧に、生き生きと描かれていて魅力的です。
「人格」と呼ぶのは本人たちに失礼なのですが、人格の誰かに皆必ず憧れるのではないかと思います。夢がある一方で、深い苦しみの描かれた作品。おすすめです。 -
幼少の頃の生活環境の大切さを知った。
ビリーが気の毒でならない。
最悪な家庭での出来事がきっかけで人格が分裂してしまった。
幼いビリーが多重人格によって人々から誤解を受けてしまう様は心が傷んだ。
しかし、いくら多重人格という精神疾患があるとはいえ犯罪が軽減されてしまうのには疑問視する。 -
24人の人格を持つビリー・ミリガン。記憶にない犯罪を犯し、その当時知られていなかった多重人格が明るみに出た。幼い頃の虐待が心理的にもたらす影響など興味深かったです。
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1977年にレイプ犯として逮捕された、24の別人格を持つ多重人格者、ビリー・ミリガンの内面の葛藤を、入念な取材に基づき小説的に描き出している。
物語調であるがゆえにどこか現実離れした眉唾物っぽさも感じてしまうが、逆に多重人格者がどのように複数の人格を体感しているのかを生々しく実感できる。多重人格者を理解不可能な精神病者としてではなく、幼少期の虐待体験を通じてそうした人格を生み出してしまい、自我を統合できずに苦しんでいる被害者として描いているところが、本書が他のフィクションとは大きく異なる点だと思う。非常に興味深く読んだ。 -
事実は小説よりも奇なりってまさにこのこと。
下巻に感想はまとめたい。 -
下巻のレビューに感想をまとめる。
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850円購入2010-01-20
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1977年、オハイオ州で連続レイプ犯として一人の青年が逮捕された。
彼の名はビリー・ミリガン、22歳。
逮捕時、彼はひどく怯え、何が起こっているかわからない様子だった。
時々、目が虚ろになり人が変わったように攻撃的になったり、明るく喋ったり、すすり泣いたりした。
拘置所に入れられたビリーは、また虚ろな目をした後、愕然とした表情であたりを見渡し「なんてことだ!」と大声を上げた。「またか!」
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アメリカ史上初、多重人格による精神障害で無罪になった実在の人物のノンフィクション。
彼には24人の人格が同居している。
人間の脳はすごいな、と感じます。
イギリスの上流階級のアクセントで話すアーサー。
ユーゴスラビア人でスラヴ訛の英語を話し、アドレナリンの流れを自在に操るレイゲン。
など、多種多様な人種と年齢、性別の人が何故生まれたのか?
下巻に続く。 -
とても信じられない。実話だったというのは分かるけど頭が追いつかない
今まで読んだ中で最も奇妙で最も不思議な話 -
258ページまで読んで返却
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ちなみに表紙のデザインが違ってます。表示されているのは古いバージョン。かなり面白い。詳細は下巻に。
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『アルジャーノンに花束を』のダニエル・キイスが
多重人格障害の犯罪者ビリー・ミリガンを描いたノンフィクション。
当時、犯罪と多重人格の関連性について裁判で争われて大変有名になったらしい。
事件自体は1977年に発生しているので、このような問題について検討されるようになったのが意外と最近であることに驚きを感じる。
当のビリー・ミリガンは去年(2014年)12月12日に59歳で生涯を閉じた。
多重人格というものがどういうものであるか、また人生においてどのような影響をもたらすのか一例を明かした興味深い書。
わかりきっていることではあるが
登場人物が多いので読んでいて混乱する。
詳しい感想は下巻で。 -
一人の体に24人の人格。
各人格は年齢も性別も特技も、そして名前すら様々。
こんなことって本当にあるの!?冗談じゃないの?
そんな風に思ってしまいます。
とっても興味深いです。 -
ビリーは、幼児の時の虐待された経験が原因で、多重人格者となってしまった。本人が眠っている間に、他の人格たちが悪事をして、刑務所や精神病院へ何度も入る目に遭う。ビリーを理解してくれる人が少なくともいてよかったと思う。
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疲れきってしまい、自分を抑えられなかった。目を閉じ、緊張を解いた……。
数秒後、ダニーはまわりを見まわし、どこへ連れていかれるのだろうといぶかった。寒くて、寂しいし、怖かった。
2014/07/08-07/18 -
アルジャーノン直後に読み始めたからでしょうか、ちょっと思ってた内容、というか書き方じゃなくて上巻は最後まで馴染めなかったです。フィクションの体裁かと思ってたら、完全にレポートの方だったのよねえ…。
あと、精神病理という問題に対して、私があまりに無理解かつ懐疑的なのも一因かなあ。 -
下巻も購入。
ダニエル・キイスさんがお亡くなりになったと伺い、是非読んでみたいと思いました。読み終えたら、感想に差し替えたいと思います。 -
精神的苦痛から、自殺をしようとする基本人格を守るために作られた23の人格たち。
何故、国や年齢まで違うのだろう。 -
魂というものは存在するのではないかと思える。
死ねば魂の集合に戻り、再び生を受けるときには多数の魂と
混じり合って生まれてくるということはないのだろうか。 -
すごくいい本だった。
多重人格の人間がどういった考えをしているのか自分には分らんけど、
もしこんなことになるなら、とてもつらいだろうと思う。
親父に犯されるなんて想像もつかないし、無罪判決が出た後の彼の人生はあまりに悲惨にすぎる。
ただ、それでもこの本が読めてよかったと素直に思う。
面白かった。 -
24人が一人の頭の中に同居するというのはどういうことだろう?それを考えると、人間の自我と脳の関係はますます不思議に思える。自我が魂だとしたら、24分割された魂になるということか?ところが、人格は全てビリーの想像力が生み出したもので、当然一人に統合することが可能である。となると、人間の自我とかいうもの自体、そもそも脳が作り出している錯覚に過ぎないのではという疑問も湧いてくる。
もう一つ興味深いことがある。ビリーの支配的な権限を持つ人格アーサーが作った規則により、各人格は時間を浪費せず、専門能力の向上に使うことが推奨された。結果的に、各人格が先天的に持つ肉体的・精神的特徴もあわせて、信じられないほど多彩な能力を持つ人間が生まれることになった。しかし、それらを統合したあとのビリーは一人の天才であると言えるだろうか?
普通の人間がペルソナを使い分ける以上のレベルで周囲に適応出来る点で、分離状態にあるビリーは超人的と言える。この驚異的な体験記を読むと、健全な範囲で心をコントロールする術が必要な人にも、意識的に複数の自分を持つという考え方は応用できるのではないかと感じさせられる。 -
多重人格きょーみぶかい!
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犯罪被害者の側に立てば、ただの加害者でしかないが、多重人格という病気が認められてない時代には、裁判や治療にとても苦労したことが伺える。ビリーの小さい頃からの、それぞれの人格が入れ替わる話がとても面白かった。
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下巻参照のこと