それをお金で買いますか――市場主義の限界

  • 早川書房
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  • Amazon.co.jp ・本 (336ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784152092847

感想・レビュー・書評

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  • 第5章 命名権 の自治体マーケティングの話が印象に残った。 サンデルが指摘する、民間企業の広告が公的領域のどこまで進出することができる(≒相応しい)のかという議論は、わが国の自治体経営の方向性を考える上で整理しておきたい議論だと感じる。
    少子高齢化、財政状況の悪化が進み、新しい財源確保の手段が求められている中で、公共サービス、公共施設への民間企業の参入についてどのように考えるか。ともすれば無条件に良いものとして受け入れられがちな「公民連携」という言葉について、本書は問い直すきっかけを与えてくれた。

  • コンサートの行列に割り込むために人を雇いお金を払う
    生徒が読書をしたらインセンティブを払う

    色々な実例をきっかけに、市場主義の広がりが公共の善を「腐敗」させるという問題を投げかけている。

    お金のないひとがコンサートを見れない、裕福な人が有利になってしまう、という不平等の問題だけで片付けられない、もう一つの問題。

    経済学の専門書を読んでいなくても、高校生くらいで分かる文章で書かれているので、爆発的に流行ったわけもわかった。

    考えを深めるためには、経済学と倫理学の重なる境目をひもといて行かないといけないだろう。

  • 市場主義が行き過ぎたらどうなるのか?市場主義vs社会道徳・市民善はどこで線引きされるのか?と言ったことを考えさせられる内容でした。

    アメリカで実際にあった様々な事例(どんなものが売られていて、どんな反応であったのか)が紹介されていて興味深かった。

    <覚えておくこと>
    ・罰金vs料金
    ースピード違反の罰金→スピードを出すための料金
    (お金持ちほど犯罪を買えることに繋がらないか)
    ー保育園の迎えが遅れることに対する罰金→延長料金
    (遅れることへの罪悪感をなくす。実際遅れる人が増えた)

    ・値段を付けることは、公平性をなくす、腐敗を招くことにもつながる場合がある
    ー行列への割り込み券
    ー読書した子どもにお金をはらう、臓器売買

    ・値段を付けることは相手の公共的善・思いを踏みにじることにつながる場合がある

  • ゼミで輪読しました。
    身近にある様々な市場。それはお金で取引されるべきなのかを道徳的観念や市場の腐敗などを盛り込みながら考えていくという本。
    実際にアメリカや中国で行われているような市場取引などが取り上げられている。
    例がいくつも挙げられているため理解しやすかった。勉強になる一冊。

  • サンデル先生の考えを知ることができるというより、事実のの紹介の感じが否めなかった。

  • 白熱教室で提示された問題事例が、いろいろ。
    お金を払って利便性を買うのか、金がある人だけが優遇されるのか・・など、考えさせられる。

  • 現在のアメリカの自由市場主義の結果どんなことになっているのかという事例。
    広告に関する是非とか、腎臓の売買についてとか、子供の売買についてとか。

  • 行き過ぎた商業主義という視点はいいのだけど、結局事例紹介にとどまっているのではないか。

  • 2014/11/24読了。

    市場主義の限界というテーマは、非常に奥深い。紹介されている例は議論に適した極端な例、いわば限界の境界に位置すると考えられるものであるが、議論となっている「市場が不平等と腐敗をうむ」というテーマは、全ての商品や経済に通じるものであると感じた。

  • 市場原理主義に対して、具体的な事例を挙げながら、倫理的な面からの考察をしている。
    事例が秀逸で、非常にわかりやすい。
    倫理的に許される範囲なのかどうかの線引きは明確にはしていないが、そこはコミュニタリアニズムのサンデルらしい落としどころ。
    良著。

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著者プロフィール

1953年、アメリカ合衆国ミネソタ州ミネアポリス生まれ。アメリカ合衆国の哲学者、政治学者、倫理学者。ハーバード大学教授。

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