送り火

著者 :
  • 文藝春秋
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感想 : 82
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  • Amazon.co.jp ・本 (360ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163223704

感想・レビュー・書評

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  • 面白かったが、重松氏の他の作品と比べるとグッとくるものがなかったように思う。
    忙しくて疲れてたのかな?

  • 「富士見」って地名ないよね、実際は?架空なんだろうけど、東京のどこかにありそうな、都心からすこしはなれたところにある「富士見」という町がキーになっている短編集。「フジミ荘奇譚」「ハードラック・ウーマン」「かげぜん」「漂流記」「よーそろ」「シド・ヴィシャスから遠く離れて」「送り火」「家路」「もういくつ寝ると」9編。家族がいて、親が老いてきて、、くらいの年代のひとがいちばん響くんじゃないかな。いやでも、ハードラック~は独身でがんばってるけど仕事に行き詰まりかけてる若い女性の話だし、漂流記はいわゆる公園デビューの話だし、そうともいえないか。生きていくうちに、だれでも少なからず抱えるような、重み、重石、みたいなものをうまく拾ってある。だから読後感もすこし重め、だけど、こういう、生き様を考えさせられる読後感、みたいなものこそが大事なんだとおもう。個人的にはいちばん心に残ったのはラストのもういくつ~かな。墓。死後。夫婦。親子。難しいよね。いろんな思いがあるし。残したくないもの、忘れてほしくないもの、我慢していること。いろいろ。深みのある1冊です。読んでよかった。

  • 富士見線という地下鉄の路線を舞台にした短編小説。
    1つ1つの話に、様々な家族模様を映し出しています。

    重松清作品を今回初めて読んだんですが
    文章が綺麗だな~というのが率直な感想。
    読みやすいし、無駄な描写もなく、すっきりしている。
    それでいて、訴えかけるものが深い。
    テーマも現代の問題点を描いていて
    色々考えさせられます。
    夫婦関係だったり、団地での付き合い、マイホームなどなど・・・

    長編小説を読んでみたいと思わせる作家さんです。

    個人的には『かげせん』が一番好きでした。

  • 重松清の短編集。
    どれも富士見線沿線が舞台となっているお話。
    物語の中には、人間ならだれもが抱えている「心の矛盾」のようなものが常に流れているようで、切ない。

    それでいて読んでいると何故か心が浄化されていくのが心地よい。

  • 初期の短篇集です。

    オカルティックなお話が2つ続いて「こんな話も書いてたのか」とびっくり。
    いくつか読後感が悪いと言うよりはオチが弱いモノがありましたが、現在の重松節を思わせるモノもあり玉石混交の感があります。

  • 富士見線沿線が舞台の短編集。そんな電車が本当にあるのかも知らないけど、なんだかリアルで切ないお話ばかり。最後の話では「覚えてた方がいい、恋に忙しい君へ。いつかひとりになるんだぜ」とセカイイチが流れて止まりませんでした。

  • 私鉄沿線に住む人々の悲喜交々。そこには幽霊や化け猫さえ、巷に潜んでいる。ほんのり苦くてほんわり暖かい9つの物語。

  • 最初ホラー出てきて、意外だった。こんなのも書くんだなと。

    何人か書いているけど自分も「よーそろ」がいい。

  • 重松清『送り火』、ちょっと前に読了。架空の富士見線沿線をたどる短編集。最初にいきなりホラーは意外だったけれど、そのあとは、ゾクゾクだったり、ほっこりだったり、キューンだったり、いろいろと心を揺さぶられる。『家路』の「佐藤さん」に泣けた。

  • 初めのフジミ荘・ハードラックくらいまでは、少しホラーというか霊感もの?と思って構えて読んでいた。
    かげぜんからは重松節。喪った家族、主婦の孤独、いじめともう一つの世界、大人になって守りに入ること、家族の歴史と終わり、帰る家、そして最期に入る墓。あきらめ・哀愁の中に見える希望が、また重松作品読みたいなあと思う理由の一つかも。

    それにしても最後の「もういくつ寝ると」はやばい。自分の親じゃなくて、顔も名前も知らない何人ものご先祖さまと一緒にいつまでも眠る…既婚女性の多くは一度は考えて身震いする怖さじゃないかしら。

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著者プロフィール

重松清
1963年岡山県生まれ。早稲田大学教育学部卒業。91年『ビフォア・ラン』でデビュー。99年『ナイフ』で坪田譲治文学賞、『エイジ』で山本周五郎賞、2001年『ビタミンF』で直木三十五賞、10年『十字架』で吉川英治文学賞を受賞。著書に『流星ワゴン』『疾走』『その日のまえに』『カシオペアの丘で』『とんび』『ステップ』『きみ去りしのち』『峠うどん物語』など多数。

「2023年 『カモナマイハウス』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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