- Amazon.co.jp ・本 (284ページ)
- / ISBN・EAN: 9784163903255
感想・レビュー・書評
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この本を読む前に続編が出てしまって、まずは1冊目から読まねばと手に取った。
出版社勤務の娘が、学校の先生で文学に造詣の深い父親の知恵を借りて、謎を解明していく短編集。作家や作品に関するウンチクが盛りだくさんで、フムフムと感心しながら読んだ。2冊目も読みたい。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
全体的に淡々とほのぼのした、編集者や著者、古本などなどあらゆる本にまつわる日常の謎。ただいくつかは謎というより蘊蓄という感じ。お父さんが微笑ましいけど、美希があんまり好きになれなかったなあ。それこそ、1つ目のエピソードのように、その年頃じゃないのにその年齢層の人を書くのは難しいということなのかなあと思ってしまった。でも後半になるにつれて楽しくなってきたので、単純に私の慣れの問題だろうか。 -
文学的事件って、どうなんだろうと思っていたけど、予想を超えて面白かった。別に感動するとか、衝撃的な結末がっていうんじゃないんだけどさ。むしろこういう日常的風景の、かつ好きな本にまつわる事件というのが、日常的な楽しみとしてぴったりな気がする。北村薫さんて、ほんとうにこういう方面で魅力的な本を出すよなぁ。
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出版社に勤務するアラサー女性の周りの日常の謎。そのお父さんが安楽椅子探偵としてするっと謎を解いてくれます。主人公は仕事柄一人暮らしをしているもののそれほど遠くに住んでいるわけでもないのでこの「時々」実家を訪れる頻度とスタイルがとてもちょうど良くて二人の会話も微笑ましく読んでいて気持ちがいいです。謎は出版社勤務ということでもちろん本にまつわるものが多く、優しいものばかりではなくちょっと苦いものもありましたが、主人公の頑張り具合や二人の雰囲気がとても良いのでさくさくと読みやすかったです。
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博学な高校教師の父が、ぱっと解決してしまう。
ひとつひとつの話も短く、ぽんぽん進んでテンポがいい。
日常の謎でほぼ死人がでないし、明るい親子なので、ライトなタッチ。
出版社勤務の娘、国語が専門の父なので、本や文学的にまつわる謎が多め。
「幻の追伸」がおもしろかった。 -
物事を違った視点から見てみるというお父さんのアイディアにはっとさせられた。
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もう殆ど伝統芸能の域に達している北村先生の著作は、どれもこれもユーモラスで優しくて、謎解きも知的で読んでいて鎮静効果すら感じます。でっぷりと太った穏やかなお父さんの推理は明快でさわやか。でも実際にいたら日常の事を全部見透かされそうでちょっと怖いかも。
思えば北村先生の本好きだと思い込んできたけれど、コージーミステリーっぽい先生の本はあまり嵌れない自分がいます。多分言葉遊びを楽しめる鷹揚さが自分に欠けているのかも。翻って嵌りまくったのは、ハラハラする「ターン」、切なくなる「スキップ」、涙がとまらない「ひとがた流し」、そして完全に騙されつつ人間ドラマも心に染みた「盤上の敵」今まで読んできた本の中でも燦然と輝く名作ばかりです。思い返しても面白かった。
思えば円紫さんシリーズも嵌れなかったので完全に受け取り手の問題なんだろうなあ。またぴったりくる北村先生の本に出会いたいものです。 -
出版社で忙しく働く体育会系の美希が、仕事の中で得たふとした謎を、中野に住むどこにでもいるようなやや太めの父親が膨大な知識とひらめきで解き明かす「安楽椅子探偵」×「日常の謎」の連作短編集だ。
この父娘の関係性がほこほことあたたかく、父親のキャラクターがまたゆるキャラみたいでなんとも和む。
続編もありそうなやさしいミステリーだった。